閑話 ローズマリアとサクロス

ローズ編§



「って、何かしらローズ!」

「ですが……お母様、私はやはり男の人は気味が悪くて!しかも獣人ですわ。あの、獣人が入れたお茶なんて、飲めないですわよ!」


 と家族全員の前で、言ってしまった……。


 わ、私、ま、不味いわ!メイドのマルレイを見るとマルレイが私に何か、合図をするけれど……なにを言っているのかわからない。

 そして、ルーお兄様を始め次々にお兄様達が食堂を後にして出ていって仕舞われた。

 食堂に残ったのは、お父様達と執事のフォルクスとメイドのリタ、マルレイだけがそこに残った。

 そしてお父様が口を開く。


「ローズ」

「な、何でしょうか?お父様」

「お前、差別と言う言葉を知っているか?」

「え?差別?知っていますわ?馬鹿にしないで下さいませ?」


 そんな事は、中等部の頃に学ぶ事ですわ。


「なら、その意味を。私達に教えて?後マルレイ貴女もよ?さあ、言ってみて?」


 と、お母様にも言われる。なぜ?


「い、意味ですか?意味は………確か……。どんなものでも平等に人を別視しない。つまり個人に対して、その属性を理由にして特別な扱いをする行為である。それが優遇か冷遇かは立場によって異なるが、通常は冷遇、つまり正当な理由なく不利益を生じさせる行為。でしたか?」

「それがわかっていて、お前はサクロスに対して差別をしたのか?」

「え?差別…マルレイ?私サクロスを差別したのかしら?」

「い、いえ、お嬢様に限って。さ、差別などそんな酷い事は致して降りませんわ」


 そして、マルレイが顔色を悪くして私から顔を背ける。なぜ?


「二人とも、自覚なしか……これは」

「貴方………どうしましょう」


 え?何んですの?

 私何もしてないわよ?

 ただ、側に来られるのも嫌だっただけで…?

 あら?これって……差別に…なるわね…。


「あ!」

「なんだ?ローズ」

「………い、え。何でも………」

「はぁ~もういい。食欲も無くなった!私は自室に戻る。フォルクス!後で私の部屋へ」

「畏まりました。ではその様に、奥さまはどうなさいますか?」

「私も、ガウルと戻ります。ローズ暫く謹慎!そして、マルレイお前は自室で謹慎よ。その後の事は追って沙汰を出します。全く、私達に恥を掻かせてくれたわね?貴女の実家にも、連絡を出しますわ。覚悟なさい!」

「そ、そんな!お、お嬢様、なんとかしてくださいませ!たかが、獣人の事ですわ?」

「そうよ?お母様!それは酷いですわ。私達は、なにもしていないですわ」

「お黙りなさい!いつまで、子供の様な気分でいるのかしら?ローズ貴女はもう、成人してるのよ?此からは、この領地の為に一緒に…。全く何を考えて!こんなに、腹が立つ事はそうそう無いわ!この恥さらしが!エルクとルーク、それに私達を怒らせたのよお前は。その意味がわからないの、人を預かって仕事をして貰う!その意味が分かるかしら?まさかお前は、雇ってやってる。なんて、傲慢な事を考えてるのかしら?はぁ~もう良いわ?お部屋で良く考えて見なさいな?」


 そして、お父様達が揃って食堂を出て行ってしまわれた。 


 ………なぜ?




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