第47話 お荷物ライン

 兄達が何やら話をしている一方で、弟達二人はと言うと。

 未だに、ラインが飛び上がるのに苦戦中である。


「お~い!飛べなかったら、連れてかないぞぉ~。ライン兄!」

「てめ~ぇ!ルークの癖に生意気だ!俺だって、出来る。ぐぬぬぬぬ!」


 すると、ラインが僅かに浮かび上がる。


「うお、お、お。え?でき、出来たぁ~!ルーク!うぉぉ」


 約1m弱浮き上がった瞬間に、バランスを崩して地面にどさりと落ちる。


「つっ!たたぁ。痛てぇ!」

「ライン大丈夫か?ほら」


 といって手を出す。


「おお、サンキュー。ルーク!」


 礼を言って、ルークの手を握ると立ち上がる。


「今のは惜しかったね?何回か練習すれば上に上がれるけど………飛んで移動するのも大変なんだけど出来るの?」

「ん~。考える!」

「そう?なら、暫く練習しててよ?明日はとりあえずラインは留守番しててな?」

「ええ!やだぞ!俺も行く」

「な、何でそんなに嫌がるのさ?屋敷に居れば良いだろ?」

「ばっか!それがやなんだよ!考えても見ろよぉ絶てぇ~明日は、屋敷の中が荒れるだろが!」


 ローズの事で兄達が騒ぐ筈だぞ!と、コソッと俺に耳打ちしてくる。

 まぁそうだろうなぁ~と、俺も思うよ。


「それは、分かるがなぁ~。だがなぁ……」


 飛べないのが3人………。

 連れてく人材………。

 ウオル、オルタ、は決まり。

後は~ムムム……腕組みして考えてると、ラインが聞いてくる。


「お、おい!ルーク顔が難しくなってるぞ?どうしたよ?」

「むー」仕方ない!


 庭からリビングに、戻りエルクに話し掛ける。


「兄上」


 のんびりと、カミルと酒を飲んでいたエルクが突然呼ばれて僅かに驚く。


「ん、何だルー?ラインの練習は、終わったのか?(焦った、油断してたな)」

「終わったと言われれば、まぁ終わってますね。後は、本人の頑張り次第ですがね?って、そんな事はどうでも良いのですが…………」

「なんだ?」

「先程私の影達全員の訓練を、お願いしましたが。少し日程の余裕を頂けませんか?明日ラインが同行すると成ると。安全の為に護衛となる物が数人、必要に成りますので………」

「………そうだねまぁ、良いよ。日程は暫く伸ばす。全くラインが我が儘を言うから」


 困るね。とカミルを見る。


「エルク、私を見るのは止めてくれますか?ラインに直接言って下さいよ。それにしてもエルクは、ルークに甘いのだね?」

「(甘い?俺がルークに?)バカを言わないでくれよ?カミル。なぁルー私かお前に甘かったことなど一度もないよな?」

「ええ、鬼ですね?」

「ルー!」

「アハハ。で、では。我が儘を言いますが、お願い致します兄上」

「ハハハ、分かったよ」

「で?ライン連れ行くのかい?ルーク」

「ええ、行くと言って利かないので。仕方なく」

「おい!ルーク。それじゃ俺がまるでお荷物みたいじゃねぇかよ」


 当たり前じゃないか!何を呑気なことを当事者がほざくのか!


「大荷物ですよぉ~。何せ明日は王都に近い場所まで、空を飛んで行くのですよ?ラムセス、サクロスも飛べないのに、追加でラインですよなので影を連れて行かないと行けなくなる」

「う!何もいえねぇ」

「ですよね?」ニコリと笑う。


 分かるなら、遠慮してくれないかな?

 屋敷に居たくないのは、分かるがな?

 ………こっちも大変なんだよ。


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