第35話 子犬のワルツ (改定)

 ションボリしているローズを、見ていられず助け船を出す。


「母上、ローズが寂しそうですよ?」


 母がサンドウィッチに手を出して、一口食べるとお茶を飲み手を止めてローズを見る。


「あら、ローズ!何だったかしら?」


 ガックリと肩を下げ、残念そうにするが母上には逆らわないのが、マクゥエル家の家訓である。(笑)


「お母様、見て下さいまし!ルー兄様が一足早く、プレゼントをくれましたわ」

「それは……良かったわね何を頂いたのかしら?」


 事前に知って居るが、敢えて知らない振りをしてくれる、こう言う事は気が廻る親だ。


「未だ見ていないのですが、此処で開けても宜しいですか?ルー兄様」

「私に聞くなよ?どうせ、母上に自慢したいのだろう?」

「フフフ、バレてますわね。では!何が入って居るのかしら?」


 渡したの物は、一つは綺麗な袋にリボンが掛かった物を。もう一つは、箱にかわいい紙を包装してリボンを掛けた物だ。

 妹は、どちらから開けるか迷っているようだが。どうやら、袋の方のリボンをほどく様だ。

 すると、袋から可愛い熊のぬいぐるみ、テディベアを出して喜び。首に掛けた綺麗な赤いリボンをの中央の宝石を見て、ニヤリと笑い。そして、テディベアの首に掛かる、ネックレスを見て大喜びをする。なんとも騒がしい妹だ。

 更に、箱のリボンを外し中の物を出すと、綺麗な木の箱を出して不思議がる。

 箱全体に、薔薇の花が彫刻されていて石が散りばめて在る箱を、手にとって眺めてから目を輝かせる。(うん!不気味だ)

 

「ルー兄様!何て素敵で可愛いのでしょう。ありがとうございます。大切にしますわ」

「はは、それは良かった!その熊はテディベアと言うんだ。デディの首にネックレスが在るだろ?」

「ええ、石が綺麗ですね」


 ローズがネックレスの、石を見るとあら?とテディベアの、リボンに着いている石と見比べる。


「気がついたかい?ネックレスとリボンの石はお揃いだよ、それと木の箱の石も一石同じ物を使ってるよ」

「綺麗な石ですねルー兄様」


 ペンダントトップの石に、手を触れてウットリと見る。「綺麗………」


「それは、宝石だよローズ君の守護石になる。石の名前はタンザナイトと言って、12月の誕生石だよローズマリア誕生日おめでとう」


「まぁ、ルー兄様!(お兄様の言葉を聞いて、嬉しくて堪らなくなる。心の籠ったプレゼントに嬉しくて、涙が出そうになるが必死で止めるわ)」

「フフフ素敵ねぇローズ、テディベアのネックレスは、外せるのかしらルーク?」

「ええ、外して使える様にして在りますよ、それと木の箱は蓋が空くよ、空けてごらん」

「えぇ?」


 ローズは不思議そうに、言われるまま箱を手に取り蓋を開けた。

 中を見ると、裏蓋の部分に鏡が付いていた。

 箱の中は、綺麗な赤いベルベットを張り。下の深い部分は、2つに仕切りがあり片方には二体の男女の小さな人形とねじ回しを入れた物だ。


「ルー兄様これは?」


 箱の中の人形を、不思議そうに取り出した。


「これは、オルゴールど言うんだ。貸してごらん先に蓋を閉めて、箱に小さな穴がある。そこに、ねじ回しを差し込んで回して、よっと。で!蓋を開けると音が鳴るだろ?そしたら塞がって段に成っている方に人形を乗せるとほら……」


 ルークが人形を乗せると、音に合わせて人形が回り出した。

 二体の人形が、クルクル回る音に合わせ回る。

 何ともかわいい光景だ、そしてルークには懐かしい音楽だった。オルゴールから流れる音楽のタイトルは子犬のワルツだ。


 自分で作ったが……懐かしいな。


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