第8ターン(十月)
第八回:個別マスターより
「今月も『Drハルマゲの危険な世界』に参加してくれてありがとうございます。今回も私信をありがとうございました。
最終決戦に向けた大きな準備といった回でしたね。
あちこちから強大な戦力が集結してくる状況は、私も描写していて震えが来るほどでした。……と言っては大げさですか(笑)。
成人向けPBMについて興味がおありですか。
ええ、確かにかつては成人向けPBMというジャンルはありました。
セクシャリティも、暴力も、謎解きも、まさしく大人向けといったかなり濃い内容の難易度の高いゲームでした。
設定もグラフィックもセックス的な物を強調していました。
やはりそれが一番の売りだったのです。
しかし、大人向けであるが故に弱点があったのです。
成人向けなのは運営がPLに、性的にも、知的にも、経験的にも、そしてマナー的にも「大人である」のを求め、それを前提にしてゲーム内容を作っていたのだと思います。
しかし初の成人向けPBMが始まった時、参加してきたPLの多くはセックス的なゲームへの好奇心のみを抱えたゲーム初心者でした。
運営はまず彼らに『ゲーム』というものを説明する処から始めなくてはならなかったでしょう。
実際、ゲームの初期は初心者に対するフォローが多く見受けられました。
私個人の感想で言えば、この成人向けPBMにPLとして参加する事は歯ごたえがあって、楽しかったです。
MSも実力者が多く集まっていた印象でした。
それ故に今の自分は「何故、もっと真剣にゲームに向き合わなかったのだろう」とこのPBMに対して考える事があります。
もっと、ちゃんと『ゲーマー』でいるべきだった、と。
結果としてこの成人向けPBMは、PBM自体の凋落より早く廃れていきました。
大人向けのクオリティを保ち続ければならない事が遅刻多発を生んだ、というのも成人向けPBMの寿命が短かった原因かもしれません。
念の為に言っておくと、私はこのゲームで活躍出来なかったわけではありません。
それよりも命の危機的状況にあったPCを通じて「死ぬ覚悟があるのだったら、その覚悟を生きる為に使った方がいい」という事を学びました。
これに気づかせてくれた当時のMSにも感謝です。
私は実際、自分が『ゲーマー』である事が誇らしいです。
さて、もうすぐ決戦です。
私達の運命も二か月後に決定します。
あなたも『ゲーマー』として悔いがない様に生きていってください。
では、来月もあなたにPBMの守護精霊の御加護がありますように。
十月某日 百円アイスMS拝」
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