第5話 閉ざすわけ
彼女は
僕に問う
どうして誰とも話さないのか?
不思議だろうな
だけど
僕だって
初めから一人でいることを選んだわけではない
入学する前
中学生のころは
それなりに友達はいたし
一人でいる時間の方が少なかった
だけど
ココに来て
一人でいることが心地よくなったんだ
”人に対して
興味がなくなってしまった”
という格好のいい言い訳を自分自身にしながら
拗ねていたんだ
だって
僕は高校受験に失敗してしまって
実は一年浪人しているから
大学受験ならまだしも
高校で浪人って
珍しすぎるだろ?
滑り止めは受けていなかった
自信があったから
先生にも
塾の講師にも
親にも
友達にも
”絶対に合格する!”
って言われていたし
僕も
そう思っていたから・・・
落ちてしまった時は
テレビの電源がプツリと消されたように
目の前が真っ暗になった
それから僕は
それまでの友達とも
気を使って
気を使われたくなくて
会わなくなっていた
この学校を選んだのは
学力に合わせてではなかった
それだったら
もう3個は上の学校を選べた
家から通うのにはギリギリの遠さのあるここを受験した
中学までの友達と会いたくなかったから
そんな状況
それを笑いに変えられるほど
僕は愉快な人間ではないから
口を閉ざしたんだ
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