第2話 誘われ、和国へ

 さて、今回はガタノトアのレベル上げを中心にするか、と大雑把な予定を決めたところ……。


 ──プレイヤーネーム:まくらから文章が送信されました。


 メールか。部長以来で存在を忘れかけていたが、そう言えばこんなのもあったな。


 特に急用があるわけでもないため、ベッドに腰掛け、文章を表示した。


送信者:まくら

件名:お誘い!

内容:メールを送るのは始めてだね!

色々書きたいことはあるけど、こーはいはまどろっこしいの嫌いでしょ? だから、単刀直入に言うね。


和国の神様、一緒に殺さない?



 ──なるほど、まくらさんからのお誘いとは珍しい。基本、しまんさんは天羽先輩と行動する。それに梅原先輩や部長が加わることもあるが、二人行動が主だ。

 そのため、誰かを誘うのは二人では人手が足りないときや純粋に厚意のときである。しまんさんはつれごさんへの異様な信仰心を除けば、案外真面なのだ。……まぁ、それが大問題なのだが。


 はてさて、今回はどちらだろうか?


 和国といって思いつくのは、八宝菜さんから貢がれた着物である。リアルで聞いてみたところ、あれは和国で作られたものらしい。割と着心地が良く、性能も高かった。そのことを聞き付けて善意で誘ったということも考えられる。口止めしていないことに関しては情報漏洩が常となる文芸部では、大抵のことが知られていると思った方が良い。この約一年で私も学んだ。


 かと言って、100%他意がないか? と問われれば微妙なところである。泉の女神の討伐を頼まれた前例もあり、「前にもやったから」と盛大に利用される可能性もある。

 それにしても何故今回も神を殺そうとしているのか。趣味なのか???

 まぁ、そこら辺は追々といったところだろう。


 ……あの女神とは異なる神。興味がないと言ってしまえば嘘になる。清廉潔白、純情可憐、温良恭倹な私が嘘を吐くわけにはいかない。それに、私に合わせて端的にお願いをしてきたのは嫌いじゃない。着物の件も相まってタイムリーな話だ。ここは二人について行くとしよう。


送信者:こーはい

件名:了解

内容:日付と時間、集合場所はそちらに合わせますよ。後、旅費はそちら持ちでしょうね?


 返信はすぐに来た。


送信者:まくら

件名:勿論!

内容:ありがとう! 僕たちはもうログアウトしちゃうから、詳しくはリアルの方のメールで送るね!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る