第4話 二匹目
護衛をする。引き受けた以上、それは確定事項だが、私はまだ雑魚の部類に所属する。これではマフィア相手にマリリンさんとヤクチュウさんを守るどころか、自分の身すら守れない。「私もそこまで信用されてるわけじゃないし、来るとしてもマフィアの下っ端も下っ端だから、大丈夫でしょ」とマリリンさんは言っていたが、それでも念には念を入れておく。
『FMB』内での五日後に取引があるらしい。それで私は、グロ画像及び映像を売った金で召喚陣を購入することにした。いやほんと、やばい金額が手に入ったから、とっとと使ってしまいたかった。私は大金を所持ていると落ち着かないタイプである。ついでに、現時点で購入可能な中で容量が最大のマジックバッグも買った。世界最大容量のマジックバッグは王国の国宝になってるらしい。
私は金遣いが荒い方である。欲しい物とかすぐに買う。物欲に負けた。ショゴスの召喚陣で物欲センサーには勝ったからとんとんだな。意識してなかったけど。
さて、ここまでの流れで何か質問は? はい、どうぞ。何々? お前魔法と魔術両方使ってるから魔術ギルドに迂闊に出入りできない上に、使役術師
ごもっとも。では、質問にお答えしましょう。
まぁぶっちゃけ、マリリンさんに頼んで買ってきてもらっただけである。錬金術師って言ってたし、どうせ魔術ギルドに所属してるだろうと思ったが、当たっていたようで何より。「私にも準備があるんだけどなぁ……」とか言っていたが、そこは「私と先輩の仲じゃないですか。だから、ね???」でごり押した。私の戦力増強はマリリンさんにも利があることなので問題ない。先輩をパシリにするのは問題だろとか、ちょっと何言ってるか分からないです。本当はヤクチュウさんに頼もうとしたのだが、
そうして手に入れた召喚陣だが、一つ問題がある。
召喚陣:繧エ繝悶Μ繝ウ
何の魔物のものか分からないのだ。
何でも、数十年前の魔物の
「何が出てくるか分からないから、召喚陣にしては安価で購入できたんだよね。逆にラッキーだよ!」
とは、実際に魔術ギルドでこのどす黒い血が滲んだ召喚陣を買ってきたマリリンさんの言葉である。
何がラッキーだ。私、ガチャ運ないんだぞ。十連ガチャやっても大体最高レア度のキャラ、確定のやつしか出ない。もっと言えば、最低レアリティだけ死ぬほどダブる。それ以来、100%以外の数値は信用しないようになった。
現在、夜。『FMB』では異世界ファンタジーによくある中世ヨーロッパ
今回は何が出るか分からないので、宿屋の中ではなく外で召喚する。移動する時間が惜しいため、今は西側の山岳ステージにいる。ここなら、見通しも悪く誰かに目撃される心配もないだろう。
「召喚」
文字化けされている部分は言いようがない。まぁそもそも、魔術に詠唱は必要ないのだが。そこはノリと気分である。
ショゴスのときと同じように光を放ち、魔術陣が広がり、収縮。
そして現れた魔物を見て、私は膝から崩れ落ちた。
「何故だ……!」
何故、スライムと並び雑魚として有名なゴブリンが……!
いや本当に何故??? 私が一体何をしたと言うのだ。ただちょっと先輩をパシリにしただけじゃないか……! それか。
待て、希望を捨てるには早い。ショゴスに<模倣>という強い(かもしれない)スキルがあったように、こいつにも何かあるかもしれない。そうであってくれ。
名前:なし
種族:ゴブリン
スキル:<進化>
またよく分からんものが……。あれか? ラノベでありがちな進化して強くなるタイプのゴブリンなのか? そうだよな? な???
まぁ、こいつは将来に期待しつつ、期待しないでおこう。矛盾。
「……こいつにも名前つけた方が良いのか?」
「グギャア!」
何だそれは。肯定の意か? あ、頷いてる。これが人型の利点か。
ふむ、人型。人型か。ゴブリンは、小鬼と表記されることがある。鬼。……あ。
……
鯨のような皮膚に、蝙蝠のような翼、牛のような
一々、
「お前の名前は
「グギャギャ!!」
よーし、これから地獄のレベリングだ。覚悟しておけ。五日後、使い物になるレベルにしてやる。
え、ショゴス? 馬鹿野郎、実戦投入するわけないだろ。思いっきり甘やかすわ。
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