Freelife・Make&Break~文芸部のプレイログ~
魚水水鬼
後輩→こーはい
第1話 オープニング
「祝・仮眠室確保ぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「「「いぇえええええええええええええええええええい!!!!!」」」
その日、パソコン室に雄叫びが上がった。
獅子高等学校、文芸部。顧問が放任主義であることとたまたま部員にゲーム好きが集ったことにより、半ば部室のパソコンや各々が持ち込むゲーム機でゲームをするだけとなった部活である。
かく言う私もその文芸部員の一員であり、文芸部唯一の一年生である。
活動内容が“ゲームをすること”という夢のような部活なのに、何でこんなにも部員が少ないんだろうと零すと、部長は、
「まぁ、ここ私立だからねぇ。態々部活行ってゲームするやつなんて物好き少数派でしょ。文学部も別にあるし」
と言っていた。正論である。その後、「そんな物好きなお前は嫌いじゃないぜ!」と付け加えられたが。
「ちなみに! 部活用のヘッドセットを部費で購入するわけにもいかないので、そこは全員自腹で! ……と言いたいところだが、部員全員分のヘッドセットは梅原が買ってくれたぜ! 太っ腹ぁ!」
「流石イケメン!」「愛してる!」「抱いて!」
なお、基本的にこの部活はノリが良いので、漫才やコントは日常である。体験入部のときもこうだった。これ一年生面くらったんじゃねーかな。部員が少ない理由、あんたらにもあるだろ。
「早速何かやろうぜ!」
「何かって何だよ」
「せっかくだからVR系!」
「じゃあ、これとか?」
部長の横に真顔で突っ立っていた副部長が、すっと取り出したのは、超有名タイトル『Freelife・Make&Break』(略称は『FMB』)である。直訳すると、『自由な生活、作るそして壊す』である。直訳の意味はあまりない。多分。
このゲームが有名となった理由は真の意味で何でもありであるからだ。何でもありというよりかは何でもできると言うべきか。世界観はよくある一般的でごくごく普通な中世ファンタジーなのだが、自由度が途轍もないのである。戦闘、建築、生産、商売、果てはNPCとの恋愛までできるのだからとんでもない。ちなみに、実験によると宿屋の娘やそこら辺の通行人でも、愛を育めば結婚が可能らしい。なんてゲームだ。
収入さえあれば、普通に生活さえできるゲーム。当然人気を博し、今も新規購入者が絶えないそうだ。それでも、文芸部員は全員一つずつ持っている。我が高校の文芸部はガチ勢の集まりなのだ。ソフトが部室にある理由は、仮眠室が確保できたら皆でやろうと約束していたためである。部長が態々何をやるか聞いたのが、ネタなのかガチで忘れてたのかは不明。
平原に人影が一つ、という手抜きなのか、そういう演出なのか分からないパッケージにテンションが上がる先輩方。
「よっしゃー! じゃ、者共! 仮眠室へゴー!!」
「「「イエッサー!!」」」
……本当にノリ良いな。
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