ねえねえあのさあ


死体がある

死体は部屋の隅に隠されている

わたしたちの視界に入らないでいる

消臭剤が多量にばら撒かれている

死体がある

それは最初から死体だったわけではなく

わたしたちと同じように生きて

思考していた

けれど今となっては何もかも無意味だ

頭の中を自由にさせていては困る連中がいるのだ

真実が気に食わなければ殺せば良いと

死体は音も無く殺されて

それ以降はずっと死体である

わたしたちの目の前には紅茶が用意されている

(疑問を抱くな)

そう脅迫されているようなものだった

気付かないふりをして

お喋りはますます弾む

やがて誰かが何かおかしいと気付き

また死体の数が増える


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