人生の終わり


おれの人生も終わった気がした

気がしただけで実際にはまだ終わっていなくて延命処置が施されているのかもしれなかった

管まみれになって何とかここにいてくださいと命令されているのかもしれなかった

(何かがおかしい)

でもぼやけていてよく見えない

おれはかつてこの星にとって無くてはならない存在のような気がしていた

それは素晴らしい季節だった

(あの頃は良かった)

だが実際にはそんな瞬間はかつて一度たりとも訪れたことはなかった

記憶は脆く捻じ曲げられていた

おれの家族と呼ばれる人たちがぞろぞろおれの周りに集まって来て

泣いたり哀しんだりしているようだった

うるせえな

何もわかっていない愚か者共だ

ちっ

おれは心の中で舌打ちした

こんな狂った世界から卒業、出来るたった一度きりの好機が今、降り注がれようとしている


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