犬物語


犬がいた

ただの犬だ

特殊ではない犬だ

子供たちは指差して言った

「あ犬だ」

その後、駆け出してここから去った

個性の無い犬だ

だから物語など大抵、始まらなかった

ただの犬が冒険に出ると車に撥ねられて死ぬのだ

退屈で下らない日常を送ることを余儀無くされていた

犬の意思なんて関係無い

嫌なら橋から飛び降りて水死しちまえ

つまりはそういうことだった

強制される運命

世界

それは今日も揺らがずに確固たる存在感を示していた

反乱軍は一瞬で鎮圧

ちwwwんあつw

ぐるりと覆い尽くす世界はこちらに自己紹介をする

「わたしは狂っています」

知ってる

丁寧にぺこりとお辞儀をする

「なんとかしてお前を殺したいんだけど」

「すいません無理です」

とんでもなく鋭利な刃物をこちらに向けている


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