生きるに値する世界


おれはお買い物へと出掛けた

そうすることにしてみた

具体的に言うとお買い物だった

それをすることにしたのだった

お買い物をする時には注意点がある

肺呼吸をしなければならないのだ

お買い物にばかり気を取られて

肺呼吸を疎かにしていると死ぬのだ

途中で三匹の若い猿に遭遇した

おれは順番に引っ叩いてみた

よくみたら近所の下校中の小学生だった

小学生たちは叫んで逃げ出した

おれは満足げにお買い物へと歩むのを再開した

お買い物の帰りに県警とすれ違った

「この辺りで不審事件が起こったらしいですね?」

おれは尋ねた

警官はおれの右手に握られている物を見て言った

「もしかしてそれは並んでも買えるかどうかわからない有名店のバームクーヘンですか?」

おれは言った

「違いますよ、ガムテープです」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る