そいつ


そいつ

おれの頭上で割れてしまった

そいつ

球体だった

そしてひどく脆い性質を持っていた

だから簡単に割れてしまった

ぱきゃん

そのような音を立て割れた

もう二度と元通りにならないことはその瞬間にわかった

ぺろぺろと舐めたい気分だった

春の日射しのようにおれの心は穏やかだった

なんだかこんな日が来るのをずっと待っていたようなそんな気がした

拳銃を取り出し自分の頭にあてる

多分、ぶっ放すことはないが一瞬先のことはよくわからない

おれは拳銃を元の場所へと戻した

だがそれは妄想なのかもしれない

あの時ぶち抜いた頭で考えている幻なのかもしれなかった


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