合格
おれは
合格した
「合格です」
そう電話で言われた
「え?」
思わず訊き返した
「ほんとですか?」
「ほんとですよ」
嬉しいなあ
電話の向こうははっきりとした声だった
「あなたは合格しました」
念には念を押した
「しかも本当なんですよね?」
「そうです」
えふふ
おれは合格をした
だから寿司を食べることにした
勿論、河童巻きだ
それを作成することにした
早速、地元の川へと向かって網を仕掛けた
その最中おれは思った
(ところでおれは一体、何に合格したのだろう?)
問い合わせてみた
すると相手は驚いて言った
「え? 何に合格したのか知らないでさっき喜んでいたんですか?」
ああ
そういうことになるな
その時、放り投げた網に河童が掛かった
「す………すいません、また後でかけ直しますっ」
じたばたともがく河童
網を引っ張ると河童が急に立ち上がった
「よくここに河童がいるってわかったね」
「ああ」
おれは答えた
「河童なんて存在しないのによく捕まえることが出来たね」
「まーな」
不可能を可能にする男
それがおれだ
おれは河童を断首すると履歴で電話を掛け直した
「………もしもし?」
切り離された河童の目がずっとこちらを見つめている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます