第118話 帰還

 朝食を終えると皆で買い物に出かけた。

 早速女性陣は可愛い物を探しに散っていった。


 ベルナリアは買う物はほぼ買ってしまったので、今日はカフェテリアでゆっくりした午前中をお過ごし中です。

「そんなの今回助けた女性の中から何人か見繕えばいいじゃない」

「いや、だからってそんなに簡単じゃないだろ?」

「助けた女性の中には恋人や亭主を盗賊に殺されちゃった人だっていたんじゃない?あなたの収入なら10人くらいなら行けるでしょう?だったら……」

 ベルナリアもそうだがこの世界の女性の考えがたくましすぎる。

「貴方は平和な国から来たのかしら。もう少しわがままでもいいと思うのだけれど……」

……14歳の女の子に焚き付けられる俺って……

「しかし、強引に行って万が一レイプだと言われてしまっては……」

「えっ?本気で相手をしないのですか?」

「いや、相手をするなら本気だが……」

「貴方のは充分大きいとタチアナから聞いています。貴方は顔もいいのでそのような事にはならないでしょう」

「ん?」

 何か変な事を言われた気がした。

 何が変だった?

「貴方が本気で相手をしたら不本意な性交レイプとは言われないでしょう」

「つまり満足させてしまえばレイプだとは言われないと」

「えっ、ええ。但し貴族や王族は別ですが」

 何かこの世界怖い。

 まあ、科学的な捜査とかあるわけじゃないし、こんなものか?

「しかし犯罪者に都合のいい社会だな……」

 まあ、社会がそういうシステムで動いているなら、それに合わせて賢く生きるか、それに合わせずに泥臭く生きるか。

 俺は精神的に無理するよりは後者の方がいいな。


 夕方に帰ってきた皆の買った物を預かったのだが、テレーゼが衣装を買ってきたのがうれしかった。

 何か俺との関係からいい意識の変化が現れたようで個人的にうれしい。

 タチアナさんは相変わらずだった。

 タチアナさんは日本の100円ショップに連れて行ってみたい人だ。


 皆の荷物を選別して、これは半年後になると告げて、半年後の約束を取り付ける。

 そしてノーラタンにゲートを開いた。

 ノーラタンの街の外で馬車に馬を繋いで街の中に入ると、ピリピリとした緊張感が消え去り、笑い声が溢れていた。

 聞くと本日、テサーラの街から盗賊が退治されたとの早馬が領主の館に入ったとの事でお祭り騒ぎ状態なんだそうな。

 そんな街中を静々と通っていく。

 館の門を潜って馬車が止まると執事がやって来た。

「お嬢様、お早いお帰りですが何か問題でもありましたか?」

 まあ、そうだろう。

 予定通りだとやっと王都に着いたかといった日にちだからな。

「ここでは……先ずはお父様にご報告をさせてください」

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