第106話 王都旅立ちの日

 朝チュン。

 何故なら行為はあったが特筆することは無かったからである。


 いや、太陽の明かりが窓の板の間から差し込んでいる。

 その明かりに照らされて艶めかしく近くで動く気配がする。

 重力に負けじと頑張るフランの胸、ほぼ重力に逆らっていないルリの胸。

 皆違って皆愛しい。


 まだ夢の中な二人を起こすため二人の胸をいじる。

 ポヨン、プルン。

 至福の時間が流れている。

 ポヨヨン、プルン。

 早くルリがバインバインにならないかな。

 ポヨン、プルン。

「あのユウキ?何やっているの?」

 至福の時間は終わってしまったようだ。

 雌伏の時間は終わらないけどな。

 昨日の夜は男から守ってあげたからサービスタイムだったのに。

「ルリ、起きて」

 ルリの肩を揺する。

「むにゅ……あっ、あん……」

 ちょっと激しめの反応がかえってきたので手を止める。

 ふ~っ危ない。

 起こしてしまうところだった。

 セーフ。

「いや、そこは起こしなさいよ」

 フランから突っ込みが入る。

 そうでした。


「ルリ」

「んっんん?」

「起きろ」

「ん~んん」

 起きない。

 昨日買った肉串を倉庫から取り出す。

 ルリがピクピクと反応する。

 肉串を倉庫に仕舞う。

 手に付着した串のタレだけを使う。

 鼻にタレを近づける。

 アっつ手を掴みよった。

 あ~っ、しゃぶりよった。

 ルリが舐めて奇麗になった指でルリの鼻を挟んだ。

「ル~リィ、起きなさい。依頼主より遅く起きるのは冒険者失格だぞ」

「はい!!」

 起きた。


 40秒とは言わない、40分で準備をしなさい。


 それは朝食を取りながら排泄をして浄化、乾燥、消臭をするのはOKなのか?

 答え、不可である。


 え?緊急事態でもですか?

 答え、緊急事態でもです。


 洗面から食堂に下りて、朝食を取ってトイレを済ます。

 部屋に戻って荷物を倉庫に詰める。

 二人の衣服をチェック、うん可愛い。

 買い物は普段着でいいだろう。

 鎧が要るわけでもあるまい。


 一足先にサイダルの街の外に移動する。

 特に異常もなく100G払ってサイダルの街の中に入る。

 街の雰囲気はそうだな……インド……いや、トルコのバザールのような感じか。

 道の両側に露店が並べられ、細くなった道を人が行きかう。

 そんな感じ。

 雑然としていて人に優しくは無さそうな感じがするが、独特な雰囲気がある。

 ちょっと厄介だな。

 ゲートを設置して出入りを人に見られなくする場所の気配すらない。


 ここなら大丈夫かな?

 街中を水路が通ってる、水路の上に小さな橋が架かってるんだがその下に橋の上からは見にくい部分がある。

 そこにゲートの出口を設定しよう。


 先ずは宿にゲートを繋げる。

 宿をチェックアウトしてフランとルリを橋の下に移動させて、辺境伯邸の門の外にゲートを開く。

 申し訳ないが門の前から貴族街の外へ出てもらい、王都の中で合流。

 王都の中から街門で記録に残して、王都の外で馬車を倉庫に……あれ?マルケスはどこで何をすればいいんだ?

 いいや、王都郊外の牧場に案内した。

 夕方まで待ってもらおう。

 ボロウィンさんとサーシャンさんに頼んで昼食を頼んで海鮮BBQの材料を渡しておこう。

 馬ものびのびできるだろう。


 で、人だけの6にんで橋の下へ。

 時間で言えば9時頃だろうか、買い物の準備は完了した。


 買い物の注意を聞いてもらった。

 サイダルで買ったと分かる物は避ける事。

 予算を超える物は避ける事。

 ノーラタンの屋敷の部屋に入らない物は避ける事。

 但し部屋のドアより大きくても部屋に入る物なら特別にOK、直接出してしまいますからね。

 日持ちしない物は駄目、ノーラタンのお屋敷で解散の時に受け取っていい物だけです。


「何か質問はございますか?」

「部屋の入り口より大きくても大丈夫なの?」

 お嬢様から質問が来た。

「ウィーマダム。部屋の中に大きさがあれば大丈夫でございます」

 これは実際の話、あったのである。

 筆者の聞いた話ではタンスの大きさに合わせて家を作ったら、置くスペースはあったが通らなかったという話を聞いたことがあります。

 結果、タンスを諦めたとか。

 今回はユウキが頑張っちゃうのでありです。


 今回の担当はベルナリアはユウキが、タチアナさんにはルリが、テレーゼさんにはフランに就いてもらいます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る