第49話 ベルナリアの悩み2

 実際問題、俺は商人とかをすれば人並み以上の活躍はできる。

 商人にとって倉庫と転移門だけで充分にチートだろう。

 でも商人をするギフトポイントの使い方はしていない。

 このキャラクターは戦う為のギフトを取得した。

 元引き籠りなりになりに戦う為に……

 なんか平穏無事な人生は望めない気がしてな……


「まぁ俺が冒険者になったのは仕事もせずにブラブラしてたら親に放り出されたってだけなんだが……」

「えっ?!」

 ベルナリアがぽか~んってしてる。

 あ~、フランもだ。

「やりたい事とやる理由を同時に失った時に落ち込んじゃってね。なかなか立ち直れなかったんだよ」

 薪を割りながら何んとはなしに話していたんだが余計なことを言ってしまったかな?

「俺は幸いネクロマンサーの才能が有ったみたいだし、仲間もできたからしばらくは冒険者を続けないとな」

 ネクロマンサーならスケルトンを盾に逃げることもできるし、安全を確保しやすい。

 それにあと8000年生きるとしたらお金はいくらあっても足りやしない。

 ……本当に俺、あと8000年もこの世界で生きるのか?


「ところでベルナリアは何をそんなに考え込んでいるんだ?」

「……」

 あらら、これは重症だ。

「今回の王都行きは学校の下見ですが、そもそもの学校行きは嫁ぎ先の選定と花嫁修業が目的と言われています。どちらかと言えば見初めてもらう為の」

 テレーゼの話によるとそういう事らしい。

 下級とはいえ貴族の娘、そんなものだろう。

 どんな相手に見初められるか、それが一番の問題なのだが……


「まぁ、一度その列車に乗ると途中下車は難しいか……」

 呟くように声が漏れた。

「13歳のハ〇ーワークか……」

「何か言いました?」

 フランに聞かれてしまったらしい。

「別に何でも無いよ」

 俺は何かを断ち切るように斧を振り下ろす。

 カランと断ち切られた薪か左右で乾いた音を立てる。


「旅が終わって帰るまでまだ20日はある。君よりも選択肢も時間も残されているさ」

 フランには両方あげられなかったからな。

 我ながら酷い男だ。


 竈の前でタチアナが手を振っている。

 夕食ができたらしい。

 すっかり任せてしまったな。

 明日の朝からは手伝いを申し出た方がいいかもな。

 割った薪を斧と一緒に収納した。


「さぁめしめし、タチアナさんの渾身のめしを堪能するぞ~っ!!」

 俺はやや強引にフランとテレーゼの肩に腕を回し、竈の傍で手を振るタチアナさんの方に歩くことを促した。

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