第35話 眠れぬ夜
あと冒険者ギルドでやることは、クエストの完了の手続きとテサーラの街への指名クエストを受ける事との二つだな。
まず薬草の採取のクエストを完了させる。
タグと採集した薬草をカウンターに置く。
クエストは薬草10で500G、採取したのは薬草40。
パーティ共有資金に400G、残りを人数で割るからフランと俺にそれぞれ800G。
コボルトの討伐はパーティ結成前なので俺に9000G入った。
討伐クエストはコボルト5体で3000Gで、15体持ってた。
タグを見せたことで受付の女性から指名クエストが届いていることを告げられた。
帰還の指名クエストは商隊の護衛、24000Gのクエストだ。
受けることを承諾すると手続きに入った。
これでギルド内の用事は完了。
買い物タイムだ。
ギルドの外に出ると正午前の広場は露店と買い物客とでごった返していた。
先ずはフランの衣装だが俺に女性の服の良し悪しなど分る筈も無いのでフランに任せた。
その間に俺はパーティ用のテント、リュックサック、毛布、食器、鍋、お玉と食料を買い足す事にした。
・テント 650G
・リュックサック 600G
・毛布3枚 750G
・食器三式 600G
・鍋 250G
・お玉 50G
合計 2900G
食料一式 3000G
フラン衣装
・フード付きローブ 600G
・衣類(中古二式) 1800G
パーティ共有資金にはとりあえず俺の資金から20万G貸し出しておいた。
パーティ共有資金にゆとりができたら返してもらえばそれでいいだろう。
フランの衣装についてだが今まで俺のローブを外に羽織って隠していたがかなり切り裂かれていたため修復は断念。
替えの衣装を含めて2セットの購入となった。
他に欲しい物は無いかと聞いたが、今は無いとの返事をいただいた。
早く立ち直ると良いのだが。
エルガライズ商会に寄ってクエストを受けたことを報告、パーティを組んだので食料等、一人分増えることをお願いした。
あっさりと了解を取れたけど、笑顔(ニヤニヤ?)で返してきたので何か誤解されているのかも。
明日の朝の予定を確認して今日は宿に向かった。
かくれんぼ亭についてシングル2部屋無いかと聞いたら無かった。
ツインが1室なら用意できるとの事だったが……
近くの宿を紹介してもらったが生憎他も同じようなものだった。
フランに相談したらあっさりツインでいいと……
マジか。
晩餐が緊張で味が分からなかったなんて、俺って……
その夜、もはやすべきことも無くなり微妙な雰囲気になりかけたので明日は早いぞと寝ることを宣言してベッドに入った。
枕元のサイドテーブルに置かれた魔法で作った照明のライトがランプシェード越しに柔らかな光を部屋の壁に当てている。
人間は(エルフもだが)暗闇では何も見えない。
いざという時の為に灯りを目立たない程度に点けておくことにしている。
夜襲の警戒用にスケルトンも4体出してある。
勿論、何か起こるまで動かないように指示してある。
動き回られては寝れるもんじゃない。
だが寝れん。
原因は分かっている。
それは俺じゃどうにもならない事だというのも分っている。
こんな状態で平然と寝られる程人生経験が豊富な訳でも、ましてや何も考えていない訳でもない。
最後に異性と寝室を共にしたのは小学生4年生位の頃だっただろうか。
相手は勿論美樹だった。
その頃はまだ異性という認識も無く幼馴染という意識しかなかったから何の問題も無かった。
だが今の状況は違う。
フランは実はかなりグラマラスだ。
現代日本の女性と比べるとやや健康的で逞しい部分もあるがそれを考慮に入れてなお自己主張の激しい胸をしている。
仰向けに寝ている現在でも横から見ると見事な山を形成しているのが確認できる。
その2つのマウンテンが水面に遊ぶ釣りの浮きのようにエサを揺らして誘うのだ。
そんな理由で動いている訳では無いのは分かっているのだが、実際に猫じゃらしは目の前で動かされているのだ。猫にしてみれば飛びつく以外の行動が取れるであろうか?いや取れまい。
俺は猫ではない。
猫よりは理性はあるつもりだ。
我慢はできるが意識しないということはできない。
依って眠れぬ夜になる。
簡単な方程式だ。三段論法だ。
静かな寝息を立て始めたフランの横で寝たふりをするしかできない俺は何度も寝がえりの真似を繰り返した。
男の体って奴も業が深い。
寝れないからと言って何もしないのは勿体ないとサーナリアさんに呼びかけてみる。
「サーナリアさん、今大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。どうしましたか?」
「ちょっと寝れないので相談できますか?取得した方がいいスキル等を聞きたいのですが……」
それからしばらくスキルの相談していたのだがいつの間にか寝落ちしてしまったようだ。
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