第7話
鈴木は酔った足取りで自分のアパート着いた。明日も仕事があり早めに休まなければいけない為、二次会には参加せず帰宅したのであった。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一気に飲み干した後ソファーにドカっと腰を下ろした。
ふぅー、楽しかったな。また来年も集まれたらいいな……。
そう思いながら高橋の言葉を思い出していた。
……今日、参加出来なかった二人も……。
あ、そうだ。あの二人の女性だ。気になる……。
ひょっとして凄い美人になっているかも。
鈴木は本棚から相川高校の卒業アルバムを引っ張り出した。
えーっと、3年7組と……。
目的のページを見つけた。
吉川、渡辺。吉川、渡辺……、と。
鈴木の指が吉川の所で止まる。
え、お、お、男?
鈴木は幾分驚いた。
ヨシカワハルカ
女性だと思っていたヨシカワハルカは男性であった。
ハルカという名前の男も有りかも……。
鈴木は自分自身を納得させ次に渡辺加代子を探す。
いた。普通に女性だった。髪は肩までのボブで確かに地味な印象だが、これはひょっとしたら美人になっているかも知れない雰囲気が漂っていた。
会ってみたかったな……。
鈴木がそう感じていた時だった。携帯電話の着信が鳴る。
吉田明美だ。出席番号33番。吉川の後ろの席に座っていた女生徒だ。
鈴木は高校卒業後も明美とは交流が有り、良く電話でも話す仲だった。
「鈴木、アルバム見た?」
「おう、明美か。うんうん、今ちょうど見た所だよ」
「吉川遙って男じゃん」
「俺も今みて驚いた。結構シュッとしてイケメンだな」
「だよねー。きっとこの人カッコよくなっているよ。あー会いたかったな~。残念」
明美ががっかりしたように言った。
「いや、それより渡辺だよ、明美、覚えてないのか?」
「知らなーい」
「うわ、お前本当に薄情なやつだな」
「だって後ろなんて見ないし、なんか印象が薄いんだもーん」
確かに鈴木の記憶にもない。
「でも、この渡辺加代子も結構美人になってそうじゃね? そんな雰囲気ないか?」
「どれどれー。うーん、たしかに。髪伸ばして化粧してたら結構美人かも」
「そうだろ? いやー、会いたかったな。すぐに第二回同窓会やんねーかな」
鈴木が無責任に言った。
「ははは。高橋君に相談しなよ。でも私も吉川君に会ってみたいから賛成ー」
酔いの回った二人の会話は長く続いた。
鈴木は明日も仕事なのだが……。
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