第101話 事件の発端

 腹を割って話すという宣言通り、颯月は自身の出生と抱えるトラウマについて説明した。

 領主の屋敷で右京の出自を聞かされて、何かしら感銘を受けたのか――もしくは、陽香が突然オーバーサイズの服を着なくなる日を恐れているだけなのかも知れない。


 一通り話を聞き終わった陽香は、なんとも言えない複雑な表情を浮かべた。右京もいつもの険のある態度は鳴りを潜めて、困惑しているようだ。


「紫電一閃は、義母――正妃様と本当の母子おやこのように仲が良いって噂を、聞いた事があるんだけど――」

「人前では見えるよう心掛けて来たから、当然だ。正妃サマと側妃の子の間に確執があるなんて事がバレたら、王家にとって恥にしかならんだろう? 下衆の勘繰りほど、煩わしいものは――義弟のためにも、無用な波風は立てたくない。そもそも波風を立てた時の正妃サマの反応を想像すると、バカな真似はできん。一体何を言われるか――」


 颯月は、言いながらぶるりと体を震わせた。その様子を見て、彼は嘘でも演技でもなく本気で正妃が恐ろしいのだ――と感じ取ったのか、右京は途端に同情するような顔つきになった。

 長年受けたスパルタ教育の弊害で、正妃に似た華奢な女性が全てスケルトンに見えると言うのだから――同情のひとつもするだろう。何せ、颯月が住まうアイドクレースの女性は総じて痩せ気味なのだから。


 一方陽香は、右京と違う点が気になったらしい。


「颯様の母ちゃんが王様の側妃で、もう居ないって事は……まさか、アーニャがって言われてるのって――」


 ちらりと綾那の顔を一瞥した後に颯月を見やった陽香の顔には、どこか幻滅の色が滲んでいる。その表情から彼女の言わんとしている事を察したのか、颯月は首を横に振った。


「確かに、綾の笑い顔には母上の面影があるらしいが――勘違いするなよ。今話した通り、俺は母上の顔を知らん。母上に似ているからこの顔を好んでいる訳じゃねえ、俺にマザコンのはない」

「ほぉん……幼少期に母親の愛情を受けられなかった子供は、母を求めてマザコンになりやすいって聞いた事あるけどなあ」

「むしろ、俺の気持ちも考えてくれ。と思って攫った矢先に、禅の口から母上に似ていると知らされた時のショックと言ったら――分かるか? 笑い顔だけだと言うから、まだ良かったものの……もし何から何まで生き写しだと言われていたら、泣く泣く森へ戻しに行くところだった」

「おっ? 今、攫ったって言わなかったか?」


 呆れるように目を眇めた陽香に、颯月は咳払いをした。


「言葉を間違えた。正しくは、あの手この手を使って上手く誘導した――だ」

「それって結局、悪意があって水色のお姉さんを誘拐した事に変わりないよね」

「どうしても欲しかったんだ、仕方がないだろう? 綾は「一人でどうにかする」、「この顔の傍には居たくない」と言って、俺から逃げたがるし――」

「アーニャお前、一応抵抗はしたんだな……無駄に終わった結果が、なんだろうけど」


 ため息交じりに指摘された綾那は、グッと言葉に詰まったのち「面目次第もございません」とだけ答えた。

 綾那だって、初めの内は必死に抵抗したのだ。まあ、陽香の言う通り全て無駄に終わった結果が、いつの間にか互いに「契約エンゲージメント」をかけ合っているという、訳の分からない現状なのだが。


「――とまあそういう理由で、俺は華奢な女が苦手なんだ。悪いが、陽香の顔つきはただでさえ正妃サマを彷彿とさせる。その上、体のラインが出るような服を着られたら卒倒する自信がある。俺の前では一生そういう服を着ていて欲しい」


 どこまでも真剣な表情で懇願された陽香は、ムスッとしてどこか不服そうである。彼女自身、太りたくても太れないという悩みがあるからこその憤りだろう。陽香だって、丸くなれるものならとっくに丸くなっているのだから。


「オネーサンって結構食べるけど、全然肉がつかないよね? 食べたものどこに消えてるんだろう」

「師匠に聞いた話じゃあ、どうも代謝が良すぎるんだと。しっかし、そこまで筋肉質って訳でもないんだけどなあ――マジでどっかに消えてんじゃねえかってレベルだぞ」


 陽香は憂鬱そうにため息を吐き出した。太りやすい綾那からすれば、いくら食べても太らないなんて夢のような体質だが――女性らしく柔らかい体つきになりたいと願う陽香からすれば、いい迷惑なのだろう。結局は無いものねだりである。


「ただ、その体質のお陰で、アイドクレースでは正妃サマの再来ともてはやされるだろう。『広報』、引き受けてくれるんだろ?」

「そりゃもちろん! こんなに長期間動画から離れて生活したなんて、マジでいつぶりだよ……早く撮りたいな、帰りの馬車もっと飛ばせねえの?」

「バテた馬を街へ立ち寄る度に交換すれば、もう少しスピードが出せるだろうけど……すごいお金かかるよ」

「う……いや。なんか馬を交換しまくるって聞くと、虐待っぽいからやめとくわ――」


 途端にしょんぼりした陽香は、通りがかった店員を引き止めると、追加のリンゴジュースを注文した。そして気を取り直したように、動画の撮影へ思いを馳せる。


「最初は、魔物の肉をテーマにした動画を撮ったんだよな? うーたん、なんで時間が経つと激マズになるって教えてくれなかったんだよ。いっつも旨いで終わってたじゃん、あたしら」

「美味しいものを美味しい内に食べて、何が悪いの? 言っとくけどアレ、本当に風味なんだから」

「分かってないな。動画には「面白味」「意外性」「事件」がなきゃダメなんだぞ」


 陽香と右京が二人で旅している間は、道中現れる魔物の肉を焼いて食べる事が多かったらしい。金がかからないし、魔物の方から飛び込んでくるため探す手間も省ける。

 彼女はずっと、魔物の絶品肉料理に舌鼓を打っていたらしいのだが――しかし、綾那に魔物肉編の動画を見せられた際には、かなり衝撃を受けていた。


 時間が経つだけで絶品料理が激マズ料理に早変わりなど、そんなものスタチューバーの好奇心が抑えられなくなるに決まっている。かくいう綾那も、好奇心が抑えられなくなった結果実食して、「未精製でヤバめの魚醤風味」という結果を導き出したのだから。


「次回作は何にするか、もう決まってんの?」

「いや、実はまだあんまり決まってなくて……あの一本だけで街の女性に火がついて、騎士の皆さんには迷惑をかけちゃっているから。多少なりとも火消しができれば――とは、思ってるかな」


 とはいえ、折角『騎士』という職業が盛り上がりを見せたところで、いきなり鎮火するのはよくない。必要なのは、上がり過ぎた熱を少しでも良い方向へ修正する程度の火消しだ。

 女性視聴者の心は掴んだままつかず離れずの距離感で、男性視聴者の獲得も狙いたい。そのために必要なアイドクレース騎士団の『アイドル』こそが、陽香である。


「あ。あの動画、うーたんにも見せて良いか? もうほとんど入団決まったようなモンだしさ」

「構わない、好きに見てくれ」

「勝手に入団するって決めないでよ、僕まだ悩んでるんだから」

「はいはい。ツンデレ、ツンデレ」


 ぷりぷりと文句を言っている右京を軽くあしらうと、陽香は綾那に「魔具カメラ貸して」と手を差し出した。綾那が鞄の中から魔具を取り出して渡せば、陽香はすっかり慣れた手つきで操作して、その手元を右京が覗き込んでいる。

 その様子はまるで、本当に仲のいい姉弟のようで微笑ましい。


「弟――」


 綾那は、「転移」もちの男達を集めた黒幕が、陽香の実弟かも知れないという話を思い出した。つい弟という言葉が口をつけば、陽香は目線をカメラの液晶に縫い留めたまま、他人事のように話す。


「うん? おーそうか。颯様が腹割ったから、あたしも割らなきゃな。つっても正直、弟の事は話せるほど詳しくないんだけど――」


 そう前置きした陽香は、動画を眺めながらぽつりぽつりと語り始めた。



 ◆



 神子として生を受けた陽香は、出生後すぐに国の教育機関へ預けられた。

 それから十四、五歳になるまで両親の連絡は一切なかったし、彼らが迎えに来る事もなかった。しかし、それがある日なんの脈略もなく、陽香を引き取りたいと申し出てきたのだ。今まで一度の連絡もなかった両親が、突然に。


 十四、五歳といえば、もう十分に物事の分別ふんべつがつく年頃だ。世の中の事も大人の抱える事情も、ぼんやりと見え始める。血の繋がりがあるとは言ったって――逆を言えば、他人を迎えに来るなんて、裏があるといぶかしんで当然だ。


 神子の恵まれた容姿か、それとも複数あるギフトが目当てか。それらを利用して、陽香に何かさせようとしているのではないか。そうでなければ、国から支給される多額の支援金を自ら棒に振るはずがない。子を引き取れば、支援は即座に打ち切られるのだから。


 仮に幼少期から密に連絡を取り合っていれば、こうして親愛の情を疑う事はなかっただろう。けれど、タラレバの話をしても詮無き事である。結局、陽香は親元へ戻る事なく、今まで通りに国の教育機関で過ごす選択をした。


 しかし両親は陽香の答えを聞いて、どこか安堵した様子だったらしい。自ら迎えに来ておいて、その反応はどうかなのだろうか。もしかすると、親族の誰かが「親なら子を迎えに行け」と余計な横槍を入れたのかも知れない。強制されただけで、両親の意思は最初からそこになかったのだ。


 そして肝心のはというと、陽香の三つ下で今年十八歳。

 実は、彼は両親よりも先に繰り返し陽香の元を訪れていたらしい。たった一人で足を運んでは、「俺がお前の弟だ」と主張するために――けれど陽香は、彼に何度「弟だ」と言われても「ふぅん、そうなんだ」と聞き流して、まともに取り合わなかった。実はこれがまた、神子ならではの『あるある』なのだ。


 実際は血縁関係のない全くの他人が、「お前の血縁者だ」と揶揄いに来る――そんな暇人が訪れるのもまた、決して珍しくない事である。神子は、家族との縁が薄すぎるのだ。大抵は早々に諦観して孤独を受け入れるが、中には『家族』に酷く強い憧れをもつ者も居る。


 そうして、初めて現れた血縁者に舞い上がる神子を騙して、バカにする目的の者。見目麗しい神子と会話するきっかけ作りという、ナンパじみた目的の者――悪質なかたりの理由は、人によって様々だ。

 とは言え、身内かどうかは遺伝子を調べればすぐに分かる事だし、国だって調査確認なしで神子を送り出したりしない。神子が赤の他人に引き取られるなんて事態は、起こらないようになっている。


 それでも、揶揄い目的で血縁者をかたる者が多いのだ。陽香も例に漏れず、その頃兄弟を自称する存在は、彼含め二十人を超えていたという。誰が本物か、そもそも本物が居るかどうかも分からないのに、いちいち相手にしていられるか――それが神子の本音である。


 ただ、当時なかなかのヤンキーだった彼女が手出しせずに「ふぅん、そうなんだ」で済ませている辺り、相当の気遣いを感じる。さすがの陽香でも、「もし本物の血縁者が混じっていたら、ヤバヤバのヤバ」という思いがあったのかも知れない。


 最終的にどうを見分けたのかと言うと、両親の申し出を断った翌日に「なんで断ったんだよ」と抗議しに来たからだ。

 国に対して「娘を引き取りたい」と申請した両親は、間違いなく血縁者である。彼らの個人情報はもちろん、引き取り申請をした事だって秘匿される。それは、陽香の出した選択についても同様だ。


 その秘匿された情報を知っている事からして、彼は間違いなく血を分けた弟なのだと判明した。しかし断った理由を問われたところで、当時十歳かそこらの少年に、大人の事情が理解できるはずもない。

 どうも弟は、姉が生家せいかに戻ると信じて疑わなかったようだ。無垢な少年に向かって「でもぶっちゃけ、断ったら親は安心してたけどな」なんて、夢のない事も言えないだろう。


 結局、断った理由については濁すしかなかった。そして、「弟として認識はするけど、戻るつもりのない家や家族他人の話で時間を取るのは勘弁してくれ」と、強引に話を切り上げたのだ。



 ◆



「それで、まあ……アイツと会った時は、挨拶くらいするようにしてた。ただ、そもそも「本物の弟だから何?」って感じだからな。結局一緒に住む事もねえし、血の繋がりがあるだけの他人感は拭えねえし――だからと言って、血縁である以上はダチにもなれねえだろ?」


 言いながら陽香は、見終わったカメラを片付ける。そして、長いため息を吐き出した。


「しかもちょうどその頃、動画撮影に興味もち始めた頃でさ。アーニャ達と配信もしてた訳よ。したらもう爆発的に人気出ちゃって、金まで稼げるようになって……顔が売れると住む場所に困るようになったから、国の施設を出て引っ越したんだ――四重奏家族と」

「へえ、夢がある仕事なんだね」

「夢しかねえ仕事……そう、視聴者に夢を見せる仕事だからあ? どっかのゴリラみたいに、男の影をちらつかせるなんて嫌でさあ?」


 じとりとした目で一瞥された綾那は、小声で歯切れ悪く「ゴリラではないです……」と答えた。陽香はふんと小さく鼻を鳴らして続ける。


「いくら弟とは言え、が四重奏の家に来るのは嫌だった。折角スタチューバーとして成功したのに、ゴシップ誌に写真載せられたら面倒くさい。「弟です」って弁解するのも、証明するのも手間がかかるし――必死に証明したところで、絶対に信じないヤツが出るのは分かり切ってる。周りに変な勘繰りされたくなくて、あたし弟に引っ越し先を教えなかったんだよ。何回聞かれても隠し通して……それぐらい距離のある仲だって事。だからまさか、これほどまでに恨まれてるなんて予想外だった」


 陽香の説明に、綾那は「だから私、陽香に弟が居る事すら知らなかったのか」と納得する。綾那よりも彼女と付き合いの長いアリスでさえ、弟の存在について初耳と驚いていたくらいだ。彼とは、よほどドライに徹底した付き合いを心掛けていたのだろう。


(でも、陽香は「距離がある」「恨まれてる」って言うけど……実際、弟さんはどう思っていたんだろう?)


 綾那は、会った事もない陽香の弟に思いを馳せた。

 両親が迎えに行く以前から陽香の元を訪れていたという事は、きっと神子の姉が居るという話を聞かされて育ったのだろう。だから国の教育機関へ足繁あしげく通って、姉の姿を探した。実際に陽香と会って、自分の目で見て、話して――何を思ったのだろうか。


 神子とそうでない者の兄弟は、関係性が複雑になりやすい。大抵方が恵まれた神子を妬み、不仲だと相場が決まっている。

 それなのに弟は繰り返し陽香を訪ねて、血縁関係を主張し続けた。それが意味するところはつまり、少なからず陽香の事を慕っていたのではないだろうか。


 しかし陽香は、弟を信用できずに軽くあしらい続けた。ようやく血縁関係を証明できた後も、二人の関係が大きく変わる事はなかったし――それどころか、姉は実家へ戻る事すら拒絶した。

 一向に距離が縮まる事はなくて、陽香はスタチューバーとして成功し、弟に新しい居住地も教えられないほど疎遠になってしまった。


 その結果が、四重奏カルテットを家ごと「奈落の底」へ「転移」する事件に繋がるならば――それは、もしかすると。


「いや、恨まれているっていうか……たぶんオネーサン、その弟に相当好かれてるんだと思うよ」


 くしくも、右京の導き出した意見は綾那と同じだった。「私もそう思います」と同意して眉尻を下げた綾那に、陽香はぽかんと呆けた顔つきになる。しかしすぐさま噴き出すと、彼女は「ない、ない」と言って笑った。


「好きになる要素なんて、最初からひとつもないんだって。マジ、他人だぜ? アーニャも神子なんだから、分かるだろ」

「神子――私達の側からすれば他人だけど、弟さんは本気で陽香と一緒に住みたかったのかも。ご両親に陽香を迎えに行くよう頼んだのも、弟さんだったのかも知れないし」

「いや……だから――」


 綾那の言葉に、陽香は段々と笑みを消して思案するように黙り込んだ。


「陽香と疎遠になるキッカケのスタチューも、四重奏も……目障りで仕方なかったんじゃないのかな。たぶん弟さんは、を「表」から消したかったんだよ。「怪力ストレングス」もちの私に暴れられると厄介だから、除外せざるを得なかったとして――陽香だけは、何があっても「表」に残すつもりだった。殿堂入り直前のスターオブスター前日に「転移」を実行したのも、意味を持たせているような気がする」


 スターダムチューブ史上初の殿堂入り目前だった、四重奏。わざわざ結果発表前日に「転移」で邪魔するなど、よほど『四重奏』に対して思う所があったに違いない。恨みがあるとすれば陽香個人に――ではなく、四重奏に対するものだろう。


「それに陽香、視聴者からソロ活動について質問がある度に答えていたでしょう? 「ソロにはならないし、四重奏が一人でも欠けたらスタチュー辞める」って……弟さん、解散が目的じゃなくて、陽香にスタチューを辞めさせたかったんじゃないのかな。有名人じゃなくなれば、また接点をもてるようになるでしょう?」

「うわぁ……笑えねえ――いや、マジで笑えねえわ。もし仮にアーニャの言う通りだとしたら、陽太ひなたのヤツ相当病んでる気がするんだけど。結果、あたしの弟が一番ヤバヤバのヤバだって事か……?」


 頭を抱えた陽香に、綾那はどんな顔をしていいものやら分からなくなる。

 結局は全て推測の域を出ずに、本人がこの場に居ない以上、本当の所は分からない。ただ、弟は陽香を慕い、執着している気がする。陽香に自覚がなくとも、例え彼女の中で好かれる要素がなかったとしても――だ。


「まあ、元気出してよオネーサン。血を分けた弟なんていっても結局、一緒に住んでなきゃ全くの他人だからさ。価値観も考え方も、何もかも違うよ。オネーサンの尺度で測れなくても、仕方がないって事」


 右京は小さな手で、陽香の肩をぽんぽんと励ますように叩いた。ほんの数時間前に血を分けた弟――伊織の暴走を目の当たりにした右京の言葉には、強い説得力がある。陽香も彼に通ずるものを感じ取ったのか、「まあ、そうだよな……ここで悩んでたって、仕方ねえわな」と顔を上げた。


「とにかく理由はどうであれ、弟の不始末でこんな事になってるのは間違いねえんだ。責任もって、アリスとナギを探すしかねえよな」


 陽香は深く長いため息を吐き出したあと、切り替えるように軽く頭を振った。そして綾那に目線を投げると、「飯食い終わったら酒場でも行って、アリスの噂が回ってねえか調べるか」と口にした。

 綾那は頷き返して、もし今後陽香が精神的に参った時には、せめて傍に寄り添おうと心に決めたのであった。

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