三たび悪魔
@ungo
極上の魂
時刻は午前二時過ぎ、ここはある男の部屋、赤黒く渦巻く闇の中から悪魔が現れた。
耳元まで口が裂けた悪魔は、目をぎょろつかせて、いかにも悪そうな笑い方で笑う。
「フハハハハ!貴様の魂を奪ってやる!ただし今すぐじゃない!五十年後だ!覚えておけ!五十年後の今日、怯え切った貴様の魂を食ってやる!フハハハハ!」
そう言うと、悪魔は男の表情を覗き込んだ。男が心の底から怖がっている様子を見ると、満足そうに闇の中に消えていった。
悪魔が去った部屋で男は一人、ガタガタと震えながら布団に潜った。
五十年後、悪魔は再び地上に降り立った。当時と変わらぬ姿のままの悪魔は、周囲をぐるりと見渡す。そこは悪魔が見たこともない巨大なお屋敷の中庭だった。
歩き回った悪魔はこれもまた豪華な寝室の扉を見つけた。中に入ると、寝室のベッドの上に品の良い紳士が腰をかけていた。悪魔が歩み寄ると、紳士はそちらを一瞥し、にっこりと笑った。
悪魔は激昂した。
「貴様!図ったな!クソッタレめ!」
そう言うと、悪魔は男の魂を奪うことなく、消えていった。
三たび悪魔 @ungo
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