第3章 第1話 同じ日本なのに


いつもの日常、いつもの部屋。

楽しかったコミコミも終わり地元に帰って来た。


「本当にあっという間の三日間だった」


わたしはえいなちゃんのグッズや写真を見ながらベッドでニヤついていた。

初めてえいなちゃんに会ったのが嘘のようだ。

一枚一枚ベッドに写真を並べ額に入れる。


「もう会いたいよー!えいなちゃん。めちゃくちゃ可愛かったよーー」


「ひかり!うるさいわよ」


突然扉が開いた。


「東京から帰って来てあんたずっと叫んでるけど頭大丈夫?ママは心配よ」


ママは部屋を見て呆れてる。

えいなちゃんコレクションがまた増えたからだ。


「えいなちゃんもいいけどひかりだって華の高校生よ!彼氏とか作らないわけ?」


彼氏だなんて考えたことない。

今はえいなちゃんに全てを捧げることしか考えてないからだ。


「彼氏はいないけど彼女ならいるもん。ねぇーえいなちゃん」


あたしは自分で撮ったえいなちゃんの写真にチューをした。


「ひかり、あなたは女の子なのよ、えいなちゃんもいいけど彼氏とか作ったり友達と遊びなさいよ!あっという間に大人になっちゃうんだからね!」


今しか、若いときしか出来ないことたくさんある...ママはそう言うけどえいなちゃんを全力で応援するのも今しかないんだけどな。


「わかったよ!忠告ありがとう!」


あたしはママの背中を押し部屋から出した。

扉に背中を付けため息をつく。


ピヨピヨ


スマホが鳴る。


「あっえいなちゃんSNS更新してる。」


えいなちゃん専用でえいなちゃんがSNSを更新するとヒヨコの鳴き声が鳴るようにしてある。

あたしはさっきママに忠告されたことを忘れベッドにダイブしスマホを見る。


<みなさん、コミコミお疲れ様でした♪


たくさんの人に会えてとっても嬉しかったです(о´∀`о)


SNSにもわたしの写真乗せてくれてありがとう!

保存しました。


あと今日はみなさんにお知らせがあります!>



「お知らせ?何だろう?」


あたしは下にスクロールした。



<なんとこの度エリンとコスと言うわたしが大好きなアニメの公式コスプレイヤーになることになりました>



「こ、公式?何それ!」


あたしはワクワクしながらえいなちゃんのSNSを読んだ。


ピロリローン


一生懸命えいなちゃんのSNSを読んでるところにひなさんから連絡が来た。


「ちょ!ひなさん、あたし今忙しいんですけど」


あたしが少し膨れて電話に出ると、ひなさんもえいなちゃんのSNSを見て興奮し電話をかけてきた。


「ついに、えいなちゃんが大手に見つかってしまいましたね」


ひなさんの話を聞くと多分だけど、と前置きされ公式コスプレイヤーとはその名の通り公式(アニメ会社や原作の方など)から正式にそのアニメのコスプレをしてくれと頼まれ宣伝したりすることらしい。


「えいなちゃん凄いじゃないですか!」


「公式コスプレイヤーなんてなかなかなれるものではないですしそんな言葉を生み出したのもえいなちゃんが最初です。それで...」


ひなさんが話終わるとあたしは焦った。


「ちょっと待ってください。学生で地方のあたしはどうしたら...とりあえずスケジュール見てみます!はい、はい。ではまた」


ひなさんとの電話を終えあたしはバイトのスケジュール帳を開いた。


「9/21...ダメだ!絶望的...バイトだ」




<公式コスプレイヤーになるに辺り急ではありますが来月イベントを開催することになりました。


詳しくはこちらのサイトに書いてありますので是非チェックしてね


チェキ会とアニメグッズ手渡し会があります>



※今回の推しあるある


イベントと自分の予定が合わない



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