『歌姫』の兄

 次の超速カタツムリの最高責任者になる予定だった青年。

 妹とは異なり明るく朗らかで人懐っこく、誰からも愛される心優しい青年であったため超速カタツムリの住人達からの人気は高かった、また愛妻家であったこともよく知られている。

 奏者としての才能と容姿は妹には劣るものの、それ以外は彼の方が上だった。

 一族の悲願に関しては自分の代で世界を水で満たすことはできないと理解していたものの、自分と自分の最愛の人の血を継いだ子供達がいつか雨降る世界を駆け回る事を願っていた。

 クサリの兄(次男)を従者としていた。

 また歳が近いクサリのことを弟分のような友人だと思っていたらしい。

『歌姫』がクサリに向ける執着は知っていたもののクサリが内心では『歌姫』を嫌っていることも知っていたため、両者にそれとなくフォローをいれてはいたらしい。

 またクサリがルエカと交際を始めたことも結婚したことも知らなかったが、いい人ができたのだろうなということをクサリの周囲では唯一察していた。

 妻が妊娠したことを妻と共に母親に報告していたところ、突如割り込んできた妹を母と共に窘めようとした。

 しかし暴走した妹が操った超速カタツムリにより母親が殺され、彼自身は軽傷で済んだものの彼を庇った妻が瀕死の重傷を負う。

 異常事態に気付いた自身の従者によって妻と共に逃され、部下達の助力に頼りながらなんとか病院に駆け込むが、程なくして妻は死んでしまう。

 その後、自分達を逃した自身の従者が自分の妹によって殺されたこと、妹が超速カタツムリの暴君として君臨したという報告を受けた後、姿を消した。

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