早咲きの花は修業が足りない

米元言美

第1話

みんなが


早く,花を咲かせたい


早く,夢を叶えたい


早く,認められたい


と焦り、足掻く



でも、早咲きの花は


木枯らしが運んで来る,冬の寒さも


嵐の夜に吹き荒れる,風の強さも


星がひとつもない,曇天の夜空の暗さも


知らない



早咲きの花は,一見立派に見えるけれど


人間の夢の如く,儚く


人間の願いの如く,もろく


人間の体の如く,弱く


呆気なく,たちまち散ってしまう



遅咲きの花は,


冬の酷い寒さを,耐え凌ぎ


嵐の風に度々,吹き荒らされ


明けない長くて,辛い夜を知り


鍛えられている



おまけに


早咲きの花に,取り残される悔しさ


現実が思うままに,ならない不甲斐なさ


他の花と比較され,レッテルを貼られる辛さ


を知っている



だから,遅咲きの花は


冬の霜がかかっても


嵐が襲って来ても


すぐに明けない夜が訪れても


耐えて,簡単には散らない



だから


早く、夢を実現したくても


早く,現状を変えたくても


早く,形にしたくても



早く,悪循環から抜け出したくても


早く,手に入れたくても


早く,何者かになりたくても


遅咲きの花の忍耐と根気が欲しい



そして,花を開くときには


全てを覆い尽くす冬の寒さのように,強く


嵐を運ぶ風のように,たくましく


夜が明けるのを待つように,粘り強く


咲かせたい

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早咲きの花は修業が足りない 米元言美 @yonekoto8484

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