Chapter18.出会い

GM:さて、どうにか息を吹き返したHP1のヴォックスとHP11の門番さん。


ヴォックス:はい。

門番:はい。


GM:謎の少女がお2人に伝えたいことがあるらしく、島の外側を指差しています。

ヴォックス:「ああ?なんだよ…こっちはもう遊んでる余裕ねーんだけど」


少女(GM):「あれ!あれ!」


GM:指さす方を見ていると、空間がギギギっと裂け、アルボルシニア、オーガバーサーカー、オーガウォーロード達が現れます。


ヴォックス:げっ、さすがにウォーロードは偽物だろうけど他の2体は〜〜。


GM:そしてお2人とアルボルシニアの目が合います。

門番:「ひっ!」

GM:彼は部下のオーガウォーロードになにか話しかけると、そのまま一団は皆さんの方へと歩き出します。悠長にしていれば蛮族たちと戦闘になることは間違いありません。


ヴォックス:「やべぇ!おいお前ら!とにかくあの塔まで全力で移動するぞ…!」

門番:「わわわわわわかったよ!」

バイナル(GM):「追いつかれたらどうすんだよ!」

ヴォックス:「いいからとにかく進むしかねえ!今にも意識が飛びそうだ!」

少女(GM):「わーい!わーい!」

門番:「ああああああ帰りたい…!!」



GM:塔の前で待つことを選んだレド、ルカカフィーネ、ナージェンカチームは回復の準備なんかをしていると坂を登ってくる影に気付きます。


ルカカフィーネ:「来たわね!」と少し高いところにピョンと飛び乗ります。


GM:それは門番に支えられながら脇腹を押さえているヴォックス、バイナル、そして見知らぬ少女です。


ルカカフィーネ:「なにあのヴォルクシミリアン…!と、知らない子がいるわ!」


ナージェンカ:「あっ!みんな!」

門番:「ナージェンカさあん!」


ヴォックス:「ととにかくやべえ!奴らがきてる!」

レド:「よし、よし。まずは情報を交換しよう」


GM:皆さんは情報を交換しつつ、現状が前門のドラゴン、後門のオーガバーサーカーだと認識してください。そして蛮族たちは20分後に来ますので回復や準備などしたければその時間で行ってください。


ルカカフィーネ:魔香草、救命草とかを使うにしても2回かあ。(薬草類を使用するのには10分かかる)


GM:そしてここで本シナリオにおいての謎かけの答えを要求します。この状況、そして依頼ももちろん達成しなければいけませんね。どうするのがいいか考えてみてください…!


PL一同:回復中(ナージェンカにマナチャを押しつけてめちゃめちゃキュア・ウーンズ打たせたり魔香草でヴォックスやナージェンカのMPを回復した)


門番:「で、オーガバーサーカーとかドラゴンって僕たち勝てるんでしょうか」

ヴォックス:「まあ落ち着け、囲まれてるって考えるからまずいんだ。そもそもあいつはなんでその虹色のアビスコアを守ってるんだ?」


門番:「なんでだろうね?」

ヴォックス:「ともかく俺らを倒したら次は蛮族はアビスコアを壊しに行くはずだ。それはドラゴンにとってもよくないだろ?それを利用できねえかな」


レド:「ドラゴンと協力して蛮族を倒す、か」


GM:一理ありますね。ただ、ドラゴンと共闘できるような材料があるんですか?


ヴォックス:「じゃあどっかに隠れてドラゴンと蛮族が戦うのを待つとか?」

門番:「蛮族はバイナル君を見つけるまでドラゴンと戦ったりしないんじゃないかなあ…」


レド:シャロウアビスの力を使って、今なにか別の姿になることを望んだら、その姿になれないかな?


GM:…実はそのギミックはシナリオを作ってる時に1回考えたんだけどこの世界線では採用してません(笑)

ヴォックス:そ、それが正解だー!って今思っちゃった(笑)


GM:ここで皆さんのすぐ近くに、例の散発的な雨が降ってきます。すると…地面がところどころ虹色に輝いているのがわかります。


ナージェンカ:おお…!?


GM:皆さんがなんだろうと拾い上げると、それは虹色に輝く魔晶石のちっちゃな粒です。つまり本シナリオの根幹にあるユゥリーラガナル。そしてドラゴンが抱えていた虹色に輝くアビスコアと酷似しているとも思います。


ルカカフィーネ:「あのドラゴンがリーラかガナルって可能性は…ない?このシャロウアビスがある島にユゥスが私たちを連れてきた理由は…ここなら顔料が作り得て、つまりこの場所にあと2人がいるからなんじゃない?」


門番:「じゃあ、ドラゴンともう1人は…」


一同が少女の方を見る。


ヴォックス:「つってもこいつ喋れねえしなー!」

ナージェンカ:「名前を呼んでみたら?…ボクも古いドラゴンの言葉に精通してるわけじゃないけど、多分ガナルがドラゴンの方じゃないかな…だとしたら」


ナージェンカ:「君は、リーラ?」


少女(GM):「りーら!りーら!わたし、あそぶ?」

ヴォックス:「あー頭痛くなってきた…まさかこんな近くにいたとはな…」


ナージェンカ:「遊んであげたいのは山々なんだけど!彼女がいたらガナルさんとお話しできるんじゃないかなあ?」

レド:「その可能性はあるな」


ヴォックス:「オマケにあの蛮族どもはユゥを捕まえちまってるわけだしな」

門番:「バイナル君もそのドラゴンさんに会わせてみようよ…!」

ヴォックス:「決まりだな!全員で塔を登ろうぜ」


GM:さて、皆さんが塔へ上ろうとすると声をかける者があります。



アルボルシニア(GM):「ようやく追いついた。それじゃあそのガキを渡してもらおうか」背後には雄叫びをあげるオーガバーサーカー。命令があればすぐにでも飛びかかってくるだろう。


ヴォックス:「しょうがねえ、ここは俺が引き受けた」

門番:「えっ、どうする気だよ!?」

ヴォックス:「とにかく時間を稼ぐんだよ」


ナージェンカ:「バイナル君、大変かもしれないけど…リーラさんを連れて行けるかい?」


バイナル(GM):「…わかったよ…。お前ら死ぬなよ!」バイナルはリーラの手を取って2人は塔へ入っていきます。


アルボルシニア(GM):「おやおや、塔の中へ逃がすとはなんたる愚策」


ヴォックス:「くそ、キツイなぁここでまた戦わなきゃなんねぇのか…」


アルボルシニア(GM):「さて、どうだろう?もし君たちが顔料の製法を彼から聞いたのなら…。教えてくれたら1人くらいは殺さないであげるよ?」


ヴォックス:「はっ!残念だが俺らも知らねーよ!」

アルボルシニア(GM):「ほう、そうか…」


レド:「悪いなヴォックス、俺はさっきお前が魔香草をスパスパしている間にバイナルから作り方を聞いてきたんだ」

ルカカフィーネ:「えっそうなの!?私にも教えてよレド!」


レド:「既にバイナル少年は顔料の製法を整え、まんまとアビスコアから抜け出して実家にユゥリーラガナルを持ち帰るだろうよ」

ルカカフィーネ:「まあ私も知ってたけどね!だから私を捕まえられたら教えてあげるわよ?」


レド:「ヒントをやろう。あんた達の足元に雨が降る瞬間をちょっと待ってみたらどうだ」

ルカカフィーネ:「そうよ!私も雨が降った瞬間にピーンときちゃったんだから!」


アルボルシニア(GM):「ふむ…。魔晶石の屑か。これが原材料であることは我々も知っている」足元のまだ濡れた輝く魔晶石を見て笑います。


アルボルシニア(GM):「どうやら大した情報は知らないようだ。ならば時間稼ぎにこれ以上付き合う気はない。さっさと始末させてもらおう」と言い、蛮族たちが得物を構える。



 その時だった。

 塔の最上階が崩落し瓦礫を吹き飛ばしながら竜が飛翔する。凄まじい速度で地上に降り立つと作り物の島がずしんと震えた。


 「我と戦いたいというのはどいつだ…!」


 竜が蛮族を見据えて吠えると、高揚し理性の限界を迎えたオーガバーサーカーが雄叫びを上げながら竜に向かって猛進していく。


 「オオオ!強者!コロス!コロスコロスコロス!!」


 「チッ、ドラゴネットが相手では見ているわけにもいかん!まずはやつから殺せ!」


 アルボルシニアの指示に従い蛮族が一斉に竜に襲い掛からんとする。

 だが—。


 「おおっと!そうはさせないぜ!」


 これを絶好の機会と判断した冒険者たちは竜とオーガーバーサーカーの戦いに蛮族を向かわせまいと立ち塞がった。


 「ドラゴンをやらせるわけにはいかん!こいつらを倒して加勢するぞ!」


 「どけ…愚かな人族ども!そんなに死にたいのなら我が炎で焼き殺してやろう!」

 

 アルボルシニアの真っ白い体から紅蓮の炎が万丈に燃え盛り、草木を濡らした雨をあっという間に蒸発させる。

 不思議な顔料を巡る人族と蛮族の最後の戦いが始まろうとしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る