Chapter15.雨音の中で

GM:では先に落ちた組の描写をしていきましょう。ヴォックス、門番、バイナル。


門番:短い人生だったなあ…。

GM:モブい。


GM:皆さんはシャロウアビスに落下しましたが、どんな景色が見えているかというと…。先ほど見た湖の小島が歪に形を変えている様を見ることができます。


門番:「あれ…ここはどこだい?」

ヴォックス:「たしかシャロウアビスに落ちて…」


バイナル(GM):「えっと…?ここってさっきの島と似てる…けどなんか違うな」


GM:イメージとしては、さっきの小島と同じパーツを使っているものの、その組み方が全く違うという感じです。島の形をした積み木をバラして悪魔的に作り替えたようなそんな歪さがあります。

ヴォックス:魔改造レ○ブロック!


GM:PLの皆さんに説明してしまうとですね。このシャロウアビスは侵入したタイミングによって、どこに出現するかが変わります。空(と言ってもシャロウアビス内なので本物の空ではない)を見上げると時折水の塊が出現しては弾けて雨になっている様子が見えます。


門番:さっき樹の中で断続的に降ってた水がシャロウアビスではランダムな位置に降ってきてるのね。


GM:そうです。なので同じタイミングで落ちた皆さんは同じ場所にいる、ということです。

ヴォックス:PLとしては理解しました!


GM:そしてですね、次にバイナル・イラドの描写をします。ヴォックスと門番の眼前にいる彼は身長が伸びて豊かなヒゲを蓄えています。


門番:「え、え?あれ?…誰ですか!」

バイナル(GM):「誰ってなんだよ!俺はバイナルだよ!」とあの少年と同じ喋り方ですが大人のレプラカーンがいます。


GM:そして門番とバイナルがヴォックスを見ると、彼も身長が伸びて筋骨隆々になっています。

門番:「誰ーーー!?」


GM:これはバイナルとヴォックスがそれぞれ望んだ自分の姿ですね。ちなみに門番はよーーく見るとちょっとだけ鼻が高くなってます。


ヴォックス:なんでだよ(笑)


門番:「バイナル君とヴォックス君だよね?あの…どうしたのそのカラダ」

ヴォックス:「ああ?なにがだよ。それよりバイナルお前なんだその見た目」ムキムキです。

バイナル(GM):「やっぱ男ならヒゲがないとなあ!今俺結構いけてんじゃね?」とヒゲをさわさわしています。


GM:皆さんは今自らが望む見た目になっていますが、大事なことを言います。能力値が変わっているわけではありません。シャロウアビスの効果で「それぞれが望む見た目になっている」だけです。


門番:なるほど…「ヴォックス君、腕相撲してみない?」

ヴォックス:「お前、この見た目になった俺様に腕相撲を挑むとはな。そいつは無謀ってもんだぜ…。だが良いだろう、挑戦者がいるならばいつだって受けてやる…さあかかってきたまえ」


門番:「じゃあいくよー」

ヴォックス:「ああ、いつでも良いぞ…」キリッ。


門番:「よーいドン」

ヴォックス:「うおおおおあおお!あああああああああ!」

門番:「あんま変わってないみたいだね…」

ヴォックス:「いいや!ちっと手を抜いちまったがこれからだ…!!燃えろ俺の筋肉…!!ああいああああああああアアア!!!??ぐあっハーッ!!」


ナージェンカ:まず他に考えることがあるんじゃない?

GM:爆笑


バイナル(GM):「で、なんで俺ら島の中にいたのに島の外にいるんだ?」

門番:「似たような見た目だけど。ここは多分シャロウアビスの中だよ…。すごくいやだけど…」

バイナル(GM):「えっ!それ、大丈夫なのかよ!シャロウアビスに入ったら戻ってこれないって聞いたことあるぞ」


ヴォックス:「まあ一応出る方法はあんだよ。どっかにあるアビスコアってのを壊せばいい」周囲はどんな感じでしょう。


GM:はい、この島は大きく4つのエリアに分けられます。皆さんがいる島の外側、島の中層、島の上層、上層から伸びる塔。冒険者の感覚として最上の塔にコアがありそうだな、と思うことでしょう。


ヴォックス:「つーわけで、あの塔がくせぇ。コアを探すためにまずは島の上の方にあるあの塔を目指そうぜ」と島の高いところを指差します。


バイナル(GM):「なるほどなあ、ようやく

お前らが冒険者なんだなって感じがしてきた」

ヴォックス:「この期に及んでようやくかよ!」

門番:「僕は違うんだけどね…」ただの門番なんだけどね…。


門番:「まあとりあえずバイナル君は僕たちのそばから離れないでね…」

バイナル(GM):「わかったよ」



GM:ではまず皆さんは島の中層に向かいます。ここもまた歪に組み替えられた景色が広がっています。異世界から来た心ない存在がラクシアを乱雑に模倣したような。木や岩や草などの構成する要素は同じなのに、とにかく意味不明な配置です。ときおり雨がザアッ、と降ってはすぐ止みます。


門番:「なんか気持ち悪いなあ…」

ヴォックス:「ゾワゾワする」


GM:するとバイナルに突然飛びかかってくる人影があります。どーんとぶつかります。


バイナル(GM):「ぎゃっ!」


GM:バイナルが押し倒され、そのうえに馬乗りになって笑っている人。人間の感覚でいうと10歳前後くらいの見た目の女性。顔の一部が花になっています。


ヴォックス:「なんだこのガキ!バイナルから離れろ!」


GM:えーいま交易共通語で話されましたかね。彼女には言葉が通じません。

ヴォックス:「なんだこいつ言葉が通じてねーのか…?」


少女(GM):「ねえ、だれ?だれ?」妖精語で言葉を発しています。


ヴォックス:「おっ、こりゃ妖精語だな。お前こそ誰だ!とにかくバイナルから離れろ」と妖精語で話しかけます。


少女(GM):「ばいなるだれ?だれ?」

ヴォックス:「オメーが今組みついてるやつだよ!」

少女(GM):「くみつい…?」と首を傾げます。


ヴォックス:「なんでもいいよ…とにかくお前の下にいるやつだ」

少女(GM):「このこ?このこ、いいにおい!」


GM:はい、この謎の少女の言葉が理解できるのはバイナルとヴォックスだけです。


ヴォックス:「やべーぞ門番、こいつ話が通じねーぞ」

門番:「えっ?言葉は通じるのに?」


ナージェンカ:そういうことはあるよね…。


GM:門番はまた子供が増えて、大人の自分がなんとかしないと、と思ってください。

門番:パンクしそう。


ヴォックス:「お前名前はなんていうんだ」

少女(GM):「なまえ?」首を傾げます。

ヴォックス:「名前だよ名前」

少女(GM):「ねえ、なにしてあそぶ?」


ヴォックス:「すげえ、ここまで言葉が通じねえとは…。お前その見た目もしかしてメリアか?」

少女(GM):「めりあ?…めりあ!」ワーイって万歳します。

ヴォックス:「うーん…メリア、なのかな」


GM:見た目は人間でいう10歳くらいですが、精神的にはそれよりも幼い印象です。

門番:そうか、この子も本当はもっと子供なのかもしれないね。


バイナル(GM):「いいからどけ!」とバイナルが立ち上がり、謎の少女はコテンと倒れます。


GM:そこでふと、この空間のどこかでギギギと軋むような音がします。空間が歪み、そこから何者かがエントリーしてきます。それは皆さんの進行方向。つまり今中層にいるわけなので上層へ向かう坂の途中。


GM:それは豊かな宝石を身にまとい、輝く剣を持った一体の高貴なオーガです。【魔物知識判定】をお願いします。


ヴォックス:頑張れ門番!

門番:セージ技能ないんだわ。

ヴォックス:俺もない…。


門番:(自動成功狙いでダイスを振る)…4ですわ。

ヴォックス:11…!(あと1で自動成功!)


GM:では相手が何者かわかりませんが、そいつが現れ「力が溢れる…早く人族を捻り潰してその血を浴びたい…!」みたいなことを蛮族語で言ってます。ヴォックス惜しかったね。


ヴォックス:「さて…どうすっかなこいつ…この混乱した状況で戦っていいやつに見えねえ…」

門番:「すごく強そうだよなんだか!」

ヴォックス:「どうする門番、逃げるか?」


門番:「…あいつ本当に強いのかな」


ヴォックス:「そうなんだよ。門番この俺の姿を見てどう思う?」ムキッ。

門番:「つよそう…」


ヴォックス:「あいつ随分見た目は派手だけどさ、この世界のせいでそうなってるだけかも知れねえ。俺みてえに見た目と中身が伴ってるやつなんてそうそういねえ」

門番:「腕相撲負けたじゃん…」


ヴォックス:「そんな話はどうでもいいんだ。なあ、俺らでも倒せるんじゃねえか」

門番:「逃げるわけにもいかないよね…あいつを倒さないと先へ進めないし…」バイナルと少女を見ます。


ヴォックス:「ああ。ここで逃げても変わんねえんだよな、なんも」

門番:「とにかくバイナル君はそこに下がってて…」

ヴォックス:「メリアのお前もじっとしてろよ…!」


GM:では宝石をまとい王者の証たる剣を提げた王の風格漂うオーガに喧嘩をふっかけてください。


オーガウォーロード(GM):「人間か…!このオーガウォーロード様の前に首を捧げにくるとは殊勝な心がけ…!」2人に気づいたオーガが交易共通語で吠えます。


ヴォックス:「へっ、お前こそ俺らの前に出てきたこと後悔させてやるぜ!」


オーガウォーロード(GM):「ならばよし。我が剣の錆になるがよい…!!」

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