Chapter6.舟の旅
GM:皆さんはキャンプを片付けて、ついにフレジア森林国の領地へとたどり着きます。すると川の周囲に武装したエルフが何名かいます。君たちはもしかすると樹上にもエルフの影が見え隠れしているのに気づくかもしれない。
門番:樹上!門番のスタイルにも色々あるんだなあ。
レド:樹の上から弓うたれたらなす術ないですねえ。いや別に暴れたりしませんけど。
GM:はい、フレジア森林国ではドルイド技能が結構発展していて、その中には離れた場所と場所をつなぐ…まあテレポートみたいな魔法があるんですね。その空間転移のポイントがこの森には無数に張り巡らされてあって、エルフの兵達はその地の利を活かした神出鬼没さと弓の技で侵入者を撃退しています。
ナージェンカ:かっこよ〜。
ルカカフィーネ:ふふーん!
GM:さあ、ここでエルフの兵の1人が「持ち物を見せろ」と要求してくる。
ヴォックス:あ〜〜あれか、火が出る物を没収されるって言ってたやつだ。
GM:はい、そうです。列車でメイ・ユロイド達が教えてくれた情報のとおりですね。別に隠したり抵抗したかったらしてもいいですよ。
PL一同:大人しく出します。
ヴォックス:「わぁってるよ!俺だってルールぐらい守るからよ」
門番:「うっかり出したら矢まみれになっちゃうよ…」
レド:松明もダメですよね?
GM:松明…松明自体は大丈夫ですが着火剤の類は全部没収です。
門番:あ、いいんだ。
GM:皆さんが検問を突破したところに川があるんですが、皆さんは船を持っていないので川沿いを、歩いて行くことになります。ちなみにこれから向かうのはフレジア森林国内のフレジスファ原初都市というところです。
門番:「いやーきれいな川だね、それに大きい」
レド:「確かにな」
ルカカフィーネ:「そう!この美しい自然の先がフレジア森林国なのよ!エルフの国ってわけ…どう?いい匂いとかしてくるでしょ!」
レド:「ん、ああ、そうだな。…ルカカフィーネ、あの象に乗っていた時に来た冒険者どもだが、お前の目から見てなにかわかることはあったか?」
GM:ルカカフィーネは雑魚だったと感じていたでしょうね。
ルカカフィーネ:じゃあそのまま伝えます。ふふん。
レド:「そうか」
ルカカフィーネ:「実際ヴォックスより弱いと思うわ」
ヴォックス:ハックション!
ルカカフィーネ:「よーし、森を突き進むわよー!しゅっぱーつ!」
GM:と歩き出した時、後ろから「おい待て待て!」と声がします。
レド:なにやつ…!
GM:そこにいたのは3人の冒険者。拳闘士風の男、神官戦士風の男、魔導士風の男です。そのうちの拳闘士が前に出て話しかけてきます。
拳闘士(GM):「お前らそのまま森の中突っ切る気か?自殺行為だぜ」
ルカカフィーネ:「…なによ?私はエルフのレンジャーよ。森を突っ切るなんてどってことないわ」
拳闘士(GM):「お前はそうかもしれないが、周りの人間はそうじゃねえだろ。いいか?森の中を突っ切るなんて普通の人間には無理だぜ」
GM:君たちは彼の立ち居振る舞いなどを見て、それなりの実力を感じます。聞く価値があるなと思ってください。
ナージェンカ:ほお。
ルカカフィーネ:MPを1消費して素敵に変身リボンを使い熊の着ぐるみに変身します。「うるさいわね!ガオー!」
門番:かわいいかよ。
レド:「まあ待てルカカフィーネ、確かに旅慣れていない者もいることだし…」
ヴォックス:「冒険者ですらないガキもいるしな」とバイナルを見ます。
バイナル(GM):「あんたら誰だよ?俺たちがどんなコース辿ろうと勝手だろ」と突っかかります。
GM:さてルカカフィーネとレドは【見識判定】を行ってください。2d6+セージ技能もしくはアルケミスト技能+知力ボーナスです。
ルカカフィーネ:15です!
レド:13…!どうかな?
GM:おっ、2人とも成功ですね!
門番:キレてるよ〜。
GM:お二人は彼らが“鋼鉄の糸団”の冒険者だと気づきます。
ヴォックス:列車で我々が気づかなかったやつですね。
門番:さすがグレートソード級。
GM:さあ、彼らの身元がセンチネル級冒険者(超実力者)であることに気づいた君たちは更に彼らの話に信憑性というか、信用を感じることになります。
拳闘士:(GM):「でな?この森にはこんな魔物やこんな魔物が出て危険なんだぜ——」という風に説明をします。
GM:皆さんはそれを聞いて「あっ、それはマジで生きては抜けられない」と思ってください。
レド:なるほどなるほど。
ルカカフィーネ:「えーっ!ここヤバイ森じゃん!」ヤバ森じゃん!ってなります。
レド:「そうだな…。この森をこのメンツで行くのは自殺行為かもしれない」
ルカカフィーネ:「もちろん私は余裕よ!?でもみんな死んじゃうかも…」
門番:「えええっ!それじゃあ蘇生もできないじゃないですか!嫌ですよ知らない国の土になるなんて!」
ヴォックス:「なさけねぇ野郎どもだ…」腕を組んで謎に頷いています。
レド:「…それで、我々を呼び止めたということは、なにかここを無事に行く方法があるということだろう?」
拳闘士(GM):「ああ…そうだな。で、ちょっと先に聞きたいことがあるんだけど…こんな人物を見なかったか?」と言ってヴォックスと門番が列車で出会ったメイとアナジアの特徴を挙げていきます。
門番:「あれ?なんか聞いたことがある気がしない?ヴォックスくん」
ヴォックス:「ああ、多分あいつらのことだろ…」
拳闘士(GM):「ウチの大将がさぁ、集合時間になってもこないんだわ…」と言って後方の他の2人の男をちらと見ます。
GM:神官戦士風の男はやれやれといった様子で肩をすくめ、魔導士らしき男は苛立ちをあらわにしている。
ヴォックス:あのメイさんが確かリーダーだから…でも同じ列車で来たんだから多少の差はあれど着いていてもいいんじゃないかと思うけど。
GM:まあ彼らの口ぶりから察するに、メイは割とそういう性格のようです。トラブルに巻き込まれたのでは!?心配!!というよりは、また始まったよくらいの感じですかね。
拳闘士(GM):「かあーっ!まったく…。…なあ、あんたら俺らが契約した舟に乗っていかねえか?」と言って川の方を指さします。
GM:その川にはですね…。笹の葉で舟を作ったことがある人がいたら、それのでっかい版を思い浮かべてください。1枚の巨大な葉っぱを編んで作った舟があります。
ナージェンカ:へぇ〜!
GM:この国の秘法、ドルイドに伝わる謎の業。木や植物を操る力があるんですね。拳闘士の彼が言った契約、というのはエルフのドルイドに代金を払って魔法によって作られた舟を借りる、というもののようです。
拳闘士(GM):「…ところがこの魔法、効果時間ってもんがある…。このままウチの大将が遅れると最悪道中で魔法が解けちまうってわけ…。くそっ、高い金払ったのによ…」
門番:「ひええ…」
拳闘士(GM):「あんたらがすぐ出発するなら都市まで問題なく持つだろうからさ、どうだ?代わりに使わねえか」
ヴォックス:「おーそうかそうか!ま、わざわざそこまで言うなら乗ってやっても良いけどなぁ」
拳闘士(GM):「あぁ?なんだテメー…」と舐めた態度にはしっかり反応します。
ヴォックス:「おぉ随分威勢がいいじゃねーか」
拳闘士(GM):「威勢がいいだけかどうか、お前に教えてやろうか…あ?」
レド:「よせヴォックス」とピシャっと咎めます。
ヴォックス:「んーだよレド、食ってかかってきたのは向こうだぜ」
バイナル(GM):「…お前、バカだなあ?」
ヴォックス:「バカとはなんだバカとは…!えーい離せレド!」ダバダバ。
レド:「全く…味方でも敵でもない人間をわざわざ敵にしてどうする」グイグイ。
バイナル(GM):「そうだぞヴォックス、お前バカなのか?」
ヴォックス:「おまえさっきからバカバカって…!」
ナージェンカ:とりあえず拳闘士さんに謝っておこう「ごめんなさいねえ…どうも血の気が多いみたいなんだ。ボクも何日かしかしゃべってないけど」
GM:ではそんなナージェンカに、気にするなという感じで神官戦士風の男がこたえ、「まあ血の気が多いのも冒険者の素養だろう?」と拳闘士と二言三言交わしてことなきを得ます。
GM:そして、皆さんは彼らの案内に従って葉っぱの舟に乗り込みます。
門番:「うわああこれ本当に沈まないんですよね!?」
ルカカフィーネ:「沈むわけないでしょ!エルフが作った舟なんだから!しゅっぱーつ!」
GM:ルカカフィーネがしゅっぱーつ!と指をさすと不思議なことにマジで舟が進みだします。しかも、帆があるわけでもないのに水の流れに逆らう方向へ加速していきます。
レド:「おお…!漕ぎ手がいらないとはな」
拳闘士(GM):「なあ?火と土と風と水と…あらゆる自然に精通したエルフサマってのはかくも偉大だよなあ…」
GM:という感じで鋼鉄の糸団の3人とわかれ、君たちの乗る葉っぱはぐんぐんと川をさかのぼっていきます。
ナージェンカ:鋼鉄の糸団の皆さんを憧れの目で見ながら遠ざかっていきます。
GM:ときおり森の中や川の周りにも変な生き物の気配はするでしょうが、ひとまず襲われることもなく進んでいくことができます。
一行は奇妙な葉っぱの舟に乗ったまま、木々が(もしくは別の何かもいたかもしれないが)ざわざわと音を立てる怪しげな森をしばらく進んでいく。
と、バイナル・イラドが口を開く。
「実は母ちゃんはこのフレジア森林国の出身らしいんだけどよ…」
この水と森に囲まれた船の上。さすがに競合の冒険者もいなかろうと、バイナルが知る2つの情報を共有するという。
「いいかお前ら、この秘密をぜってー誰にも言うんじゃねーぞ…!」
「別に言わねーけどよ…そういう大事なことはもっと早く教えて欲しかったぜ」と、さすがのヴォックスも舟の上ではやや大人しく素直に聞く態度を見せた。
「最初なんかに言ったら…!ほら、お前らがなにするか信用できねーだろ!」
舟の端でなるべく小さく座っていた竜人の神官ナージェンカはふっと笑う。
「じゃあ、信用してくれた、ってことだ」
「…別に信用したわけじゃないけどな」
バイナルは下を向き、葉っぱの舟の底を手でいじりながら語り出した。
まずひとつ目は顔料ユゥリーラガナルの原材料に関する推測。
母バーモットが顔料の採取に向かう際、必ず馬車に積み込む大荷物があるのだという。
あるときバイナルが覗いてみると、それは魔晶石のかけらだった。それも魔法使いが魔力の代替品として使用する小型のものよりもさらに小さな、商店や鍛冶屋へ行けば二束三文で買えるような屑魔晶石の山だったのだという。
そこであることを不思議に思ったバイナルは顔料を得て帰ってきたバーモットが眠りについたあと、倉庫に忍び込んで確かめることにした。
するとやはり、持ち帰られた顔料はあの出発時にあった屑魔晶石とほぼ同じだけの量あったのだ。母が採取に赴くときには必ず魔晶石を持っていくことから、これになにかの仕掛けや加工を施しているに違いないとバイナルは睨んでいた。
ふたつ目は、バーモット・イラドが酒に酔ったときにする彼女の昔語り。フレジア森林国の首都フレジスファ原初都市で生まれ育った彼女の思い出だ。
300年前の大破局から逃れたレプラカーンのとある一団がフレジア森林国に身を寄せて暮らしていた。
しかし、それから数世代を経て。父母を早くに亡くしたバーモットはイラド家の最後の1人となり、若くして頼る親戚もない中で生きてきたのだという。
「——けれどね、寂しくはなかったわ」
バイナル・イラドは知っていた。
疲れた日も、嬉しいことがあった日も、母バーモットのこの話はいつも同じところへと着地する。
それは若き日の彼女を支えてくれた大切な友人たちの名前。
「ユゥ、リーラ、ガナルがいてくれたから」
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