Chapter3.車中にて

GM:ではグフルミアを出発して、フレジア森林国へ向かう旅程を説明しますね。


PL一同:はーい。


GM:まず、マグノア草原国行きの列車で東へしばらく進み、フィノア大草原にある適当な駅で降りる。そこからしばらく徒歩なり馬車なりでフレジア森林国がある森まで行きます。最後は森の中を舟で移動してフレジア森林国内へと入って行くという、およそ10日くらいかな?かかります。


PL一同:はーい。



GM:では!君たちは予算もないしあまり上等ではない客車に乗っています。揺れも激しいしシートは硬いだろう。外は平野が広がっていてときおり少し遠くに田園風景なども見える。


ルカカフィーネ:列車にめちゃくちゃ弱いのでぐったりしてます。「おえ〜〜…」

門番:「ちょちょ、大丈夫かい?」と背中をさするね。

ナージェンカ:乗り物酔いする人大変だよねえ…。

ヴォックス:「へっ!だらしねぇな!鍛えねえからそうなるんだよぉ。みろこの一流冒険者の俺様を!」

門番:「ヴォックスくん、いいから早く袋持ってきて」

ルカカフィーネ:わ、われグレートソード級の冒険者ぞ〜…。とか言いながらおえーしてます。

レド:みんなを見ながら座ってます。列車がガタンと大きく揺れるとレドもぴょんと体が浮きます。

ナージェンカ:かわいいね。


ヴォックス:「しっかしお前…。め、目の前でそんなに吐くんじゃねえよ俺までうっぷ!うおおえ!」

門番:なんでだよ!

レド:隙あらば吐こうとするんじゃないよ!

ルカカフィーネ:「がんばれ一流冒険おえー」

ヴォックス:「だらしねえな…!俺様はがまっ…ガマン!袋をくれええええ!んむ!!」うぉぼぼぼぼ。

門番:「ああもう、はいはい…」


ヴォックス:GM、外に出たりすることってできるんでしょうか。

GM:そうですね、では列車の最後尾に手旗信号で車掌が連絡するのに使うような、2,3人が立てるようなスペースがあることにしましょう。

ヴォックス:じゃあそこで風にあたろうと思います。

門番:「じゃあ僕もついてくよ」と言って付き添おう。

ルカカフィーネ:ルカカフィーネは薬草をもしゃもしゃはみながらダウンしてます。

ナージェンカ:列車でウロウロすると邪魔になるので席に座ってようかな。

レド:鎧を脱いでくつろいでいるので行ってらっしゃい〜。

ヴォックス:「よし、じゃあ行くか門番…うう」


GM:では最後尾。並の駿馬では到底及ばない速度で景色が流れていく。風にあたっているヴォックスは【危険感知判定】を目標値12で行ってください。

ヴォックス:はーい、2D6(6面体のダイスを2個振るの意)+スカウト技能2+知力ボーナス3…それっ、11か!失敗!


GM:いきなり失敗しおって…!では、あなたは突然列車が大きく揺れたタイミングで列車から落ちかけます。

ヴォックス:「うわ!あおおうお!」

門番:「ちょっ、ヴォックスくん!」助けられます?

GM:はい、そしたら門番は慌ててヴォックスを掴んで助けられるかどうか…そうだなー、冒険者レベル+敏捷度ボーナスにしましょう。目標値は12で。

門番:オッケー。では冒険者レベル5+敏捷度ボーナス3+2D6!…合計値17が出たので成功。


GM:では落ちかけるヴォックスを掴むことができます!

門番:「ああっ、よいしょっ!…ちょ、ヴォックスくん大丈夫!?」引き上げます。

ヴォックス「ふー…あ、危ねえ助かった。いや、いきなり列車が揺れるもんだからさ…」

門番:「慣れてないから仕方ないかもしれないけど、気をつけてよ…こんなとこで死んだら拾いに行くこともできないんだから…」

ヴォックス:「ぶっ!物騒なこと言ってんじゃねえ…!…てかやべえ、さっきの揺れでまた酔いが…!」

門番「ああ…袋もってきてるからこれ使って」

ヴォックス:うゔぉおおろ!


GM:はい、(ロールプレイが)100点なんで…。そんな話をしているとそこに2人の女性がやってきます。

女性(GM):「おやっ、君たち落ちそうになってなかった?ボクちょっとだけ心配しちゃったかもだよ」

門番:ボクっ娘増えた!?

ヴォックス:「ああ?えーーと?」どんな人でしょう。

GM:話しかけてきたのが剣を携えた女性。その後ろで会釈してにこっと笑っているのが神官らしき女性です。

ヴォックス:「なんだあんたら?」

剣士女性(GM):「うーんちょっと風にあたりに来たんだけど…あんまり良いにおいがしないかもだよ」

ヴォックス:「あ〜あそうか、あんたらも酔っちまったのか?しょうがねえよなあ、これだけグラグラ揺れてるんじゃなあ」

門番:「こら一緒にしちゃダメだよ」


GM:神官の方は「大丈夫ですか?神聖魔法でもかけましょうか」みたいな感じで気遣ってくれている。さて、この2人に対して【見識判定】目標値11をお願いします。

門番:セージ技能ない…!

ヴォックス:アルケミスト技能が1あるけど…失敗!

GM:じゃあなにもわかりません!

門番:くぅー。

GM:ただ自己紹介はしてくれますよ。彼女達は冒険者「鋼鉄の糸団」と名乗ります。


ヴォックス:どっか飛ばされるのかな。

GM:?

レド:更迭の意図ではない…!!

GM:ハハッ。…で、剣士の方がリーダーであるメイ、神官がアナジア。


ヴォックス:じゃあ門番に耳打ちします「おい門番…この2人俺らに気があるんじゃねえか?」

門番:「それはないよ」

ヴォックス:「いやまあ確かに?門番は男としては“そこそこ”かもしれねえけど。俺狙いの可能性はあるだろ」

門番:ええ…。


メイ(GM):「君失礼だな〜」

ヴォックス:えっ、聞こえてたの。

門番:「あの、ごめんなさい、彼は僕が責任を持ってもう一回風にあてとくんで」と言ってヴォックスを担ぎ上げて…。

ヴォックス:「うわちょっとおまヤメロ!」


門番:足を掴んで最後部の手すりにぶら下げます。

ヴォックス:「ワワーッ!落ちる!落ちるって!」

門番:「大丈夫大丈夫、僕重いものを持つの慣れてるから」


メイ(GM):「面白いけど、下手すると落ちて死んじゃうかもだよ?」

ヴォックス:「ゔゔ…!ヤメロ!逆さにすると酔いが…!」

門番:「大丈夫です。さっき死にかけたばかりですし」

GM:その理屈はおかしいし、最後尾ではきながら吊られてるヴォックス絵面が汚すぎる…。

レド:善良な市民に列車強盗かなにかだと思われかねない。


門番:「それより、お二人とも冒険者なのですね。どちらに行くんですか?」

メイ(GM):「どこって、同じ列車に乗ってるんだから行き先はおんなじじゃないかい?」

門番:「それもそうか…じゃあ“草原国”なんだね」僕らは途中で降りるけど。

GM:神官の女性アナジアはなにか気にするようにメイさんの方をチラチラ見ています。

ヴォックス:「モンバン…アゲテ…アゲテ…」

門番:「ああごめん、忘れてたよ」よいしょ。


ヴォックス:「ああー…死ぬかと思った。…で?“森林国”に用があるって?」


メイ(GM):「ん?ボク“森林国”って言ってないはずだけど」

ヴォックス:「だって目的地が一緒なんだろ?」

メイ(GM):「君の仲間は今、草原国って言ったんだけど…どうして森林国が出てきたのかなあ?ボクはちょっと気になるかもだよ?」

ヴォックス:「ああそうだったっけ、聞き間違いかなあ〜」


アナジア(GM):「ええと、そう、私たちはフレジア森林国に向かうところなんです」

ナージェンカ:あ、そうなんだ。

アナジア(GM):「今の口ぶりですと、お二人もフレジア森林国に向かっておられるのですか?」

ヴォックス:「ああ、まあちょっとした依頼でな!アンタらもかあ?」

メイ(GM):「ん?ボク達?…ボク達もまあそうだねちょっとした依頼でね」


ヴォックス:「ああ、もしかしてアンタらもそれなりの冒険者か?」

メイ(GM):「そうだよ、知らないかな『鋼鉄の糸団』。キングスフォールだとちょっとは知られてると思ってたんだけどネェ」

ヴォックス:「いやー全然…」

門番:「まあ僕たちは片田舎の村の者なので、ね」とヴォックスの言葉を制します。


ヴォックス:「どんな依頼なんだよ?そんな有名な冒険者ならきっとものすごいような依頼を受けたんだろ?」

メイ(GM):「まあそうだね。そこそこすごい依頼かもだよ?」


門番:「ヴォックスくん、マゴラがあまり依頼については他の人と話さない方が良いって言ってたし。聞くのも良くないんじゃないかって思うんだけど…」

ヴォックス:「まあまあ良いじゃねえか!せっかく自称有名冒険者様がいるんだからちょっとくらい聞いときたいだろ!」

門番「自称っていうのは失礼だよヴォックスくん!」

ヴォックス:「だあって、この超一流の冒険者である俺様が知らねえんだぜ!ぜぇったい大した冒険者じゃねーって!」

門番:「君はグフルミア村の外のことそんなに知ってるのかい…!?」

ヴォックス:「そ、そりゃあもちろん、ありとあらゆる情報がだな、この俺様の頭の中に…」


門番「あの2人ともごめんなさい。もう一回吊るしますので」

ヴォックス:やめて今度こそ死んじゃうから!

アナジア(GM):「い、いえ、それには及びませんよ」


GM:さて、彼女たちの冒険者としてのランクはセンチネル級です。グレートソード級のレドやルカカフィーネの更に2ランク上。所属しているギルドや都市のみならず一国を股にかけての活躍が期待されている、いわゆるファンタジーRPG世界の「勇者」一歩手前みたいな存在です。

門番:おお、じゃあビビりながら冒険譚とかこの辺の地理とかについて聞けないかな。


GM:ではそうですね、かつての戦いなどについてはメイが得意げに語ってくれるでしょう…。そして、君たちは彼女らの口ぶりから、フレジア森林国に行くのは初めてではなさそうだと感じます。


門番:「ねえヴォックスくん。今のお話を聞いてもまだ自分を一流だって言えるのかい」

ヴォックス:「や、まあ…あのセンチネル級の紋章たしかに本物だな…まあでも…ちょっと向こうの方が先に出世したってだけで、俺もすぐそっち側に行くわけだから…まあ対等みてえなもんだよ」

レド:良いこと言うなあ。

ルカカフィーネ:無敵ムーヴ。


門番:「それはどっちでもいいけど、でも今はあの2人から色々話を聞いてみた方がいいんじゃないかな。きっと勉強になると思うよ」

ヴォックス:「……まあ、それもそうだな」フレジア森林国について詳しく聞けたりしますか?

メイ(GM):「はは、まあそれぐらいだったら、ちょっとくらい教えてあげてもいいかもだよ?」という感じで2人は色々と教えてくれます。



 フレジア森林国はドーデン地方北東部にある巨大な森林地帯を含む国であり、国境がしっかりと定義されているわけではない。その近辺で森に入ればそこはフレジア森林国の領地である、といういささか理不尽な認識らしい。

 国民はその殆どがエルフと、植物のような生態をもつ種族メリアで構成されている。ただ、レプラカーンや人間などの種族も少数ではあるが暮らしているという。

 さらに、魔動機文明時代にはほとんど鎖国状態になっていたため、エルフ語と魔法文明語が公用語であり、多くの人族社会で使われている交易共通語はあまり通じない、あるいは通じていても返事をしてくれるかはわからないのだという。



ナージェンカ:むー、魔神語とドラゴン語しかわからない。

ルカカフィーネ:当然エルフ語は喋れます!魔法文明語も読むことはできる。

レド:魔法文明語は会話も読みもできるぞ〜。

門番:じゃあとりあえず大丈夫かな。


GM:そして彼の国はここ数年でキングスレイ鉄鋼共和国との仲が急速に悪化しています。その理由としてはフレジア森林国ではメリア種族が貴族位であるとされている点が重要で…これは公式設定なんだけど、エルフの主観においてメリアと樹木は位が高い存在とされているんだね。あくまでエルフが主体の理念なんだけど、尊いメリアと森を守るエルフ、という構造の国家なんです。なのでメリアを殺すのが大罪なのは当然、木を切るという行為も大罪なんです。

レド:ほお〜〜。


GM:まあ草であるとか、ちゃんと管理のもと決まった量の枝を使わせてもらうとかは大丈夫でしょうが、よそものが枝を折るなんてことをしたら牢屋にぶち込みます。

門番:それは…工業的な国とは相性悪そう。

GM:そう。そして最近キングスレイがフレジアに「森を開いて鉄道を通したらどうですか?」と言ってしまったんだね。これが大反発を食らってしまう。

ナージェンカ:そりゃあそうだ。


GM:けどキングスレイとしては人族全体のために鉄道網を広げるっていうのが国家施策であり理念だからさ、バチバチにぶつかっちゃったというわけです。



門番:「わあ、なんか怖いなあ言葉も通じないし…僕なんか失礼なことをしちゃいそうだよ。」

メイ(GM):「ふふ、そしてフレジア森林国内は火気厳禁なんだよ」

ヴォックス:「えっ!火つかえねぇの!」

アナジア(GM):「ええ、ですから火の妖精と契約した宝石なども入口で没収されてしまうと思います」

ヴォックス:色んな属性が使えるというフェアリーテイマーの長所が〜。


GM:火の魔法とか撃ってるところを国民に見られたら逮捕です。

門番:その場でリンチになりかねない…。


ヴォックス:「おいおい門番やべーな下手すりゃ外交問題だぜ」

門番:「そうだよ!失礼なことしないでよ…?もちろん僕もだけどさ」

GM:はい、セッション中森林国に入ったら火の取り扱いには気をつけてください。タバコとか吸ったら本当に…逮捕しますよ!

ナージェンカ:コーヒーも淹れられない…(彼女はコーヒー好きという設定でミルや豆がアイテム欄に入っている)


門番:「灯りとか料理はどうしてるんだろう」

メイ(GM):「ふふ、まあそのへんは行ったらわかるかもだよ?」と意味深な表情をします。


門番:「…いやあ、聞いといてよかったねぇ」

ヴォックス:「あやうくファイヤーボール撃っちまうとこだったぜ」

GM:お前ファイヤーボール撃てんのかい。

レド:ヴォックスはソーサラー技能持ってないからその心配はいらないんだよなあ。


門番:「ね、ねぇ!他に気をつけることとかないかな。この格好で大丈夫かなあ?」

アナジア(GM):「ええ、大丈夫だと思いますよ。エルフの方々は掟を犯さなければ温厚な人たちですから」

ヴォックス:「へー、エルフが温厚ねえ…」と言いながら先頭車両の方を見ます。

ルカカフィーネ:とても温厚なエルフが青い顔して寝てます。

門番:温厚かな?


ヴォックス:「あんたらさあ、最近キングスフォールでさ…なんか石像に特殊な顔料を塗るみたいな話聞いたことないか?」

メイ(GM):「ああ…アステリア神殿の話かい?」

ヴォックス:「それそれ!あれすっげえ綺麗だって話なんだけどさあ…」

メイ(GM):「おや、君は見たことがないのかい?一度見るといいよ」

ヴォックス:「いや一度見てみてーなと思ったんだけどさ。それに使われてる顔料もすげー気になるんだよ。どーしてそんな色になんのかなーとかさ」

メイ(GM):「ふーん…うん、確かに不思議だよね!僕もどうやって作ってるのか気になっちゃうかもだよ」

ヴォックス:「なあ!おまけにその顔料がどこで採れるかとかも気になるんだよなあ」


メイ(GM):「…それで?」

ヴォックス:「その顔料ってなんかフレジア森林国?で採れるって聞いたんだけどあんたらどこで採れるかしってたりしない?」

メイ(GM):「うーん、ボクは知らないなあ。アナジアは?」

アナジア(GM):「いえ、私も知りません」

メイ(GM):「と、いうわけだから…。ごめんね?役に立てなくて」


ヴォックス:「なんだよー、知ってたら任務のついでにテキトーに取ってこようと思ってたんだけどなー」

門番:「ヴォックスくん、そろそろ戻ろう」と引きずっていきます。

ヴォックス:「ええ?まだ聞きてえことあったのになー!」ギャーギャー。


GM:さて…、門番がヴォックスを引きずって行くのを見送りながら、『鋼鉄の糸団』リーダー、メイ・ユロイドがポツリと呟いた。


 「ふうん…ユゥリーラガナルについて調べてるんだ…」

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