卒業の花への応援コメント
自主企画『【短編限定】より良い作品を書くための意見交流会3』にご参加いただきありがとうございます。主催の森山満穂と申します。作品を拝読致しましたので、感想を書かせていただきますね。
奇妙さと静けさに満たされた雰囲気に引き込まれて、最後までするすると読んでしまいました。大きな起伏はないけれど、静かな迫力があるというか、不思議な引力を感じる作品だったと思います。環境、登場人物たちの行動など細部まで行き届いた描写に風景が脳裏に滲み出てくるような感覚があって、一つ一つを余すことなく読み取りたくなって、思わず息を潜めて読んでいました。素晴らしい描写力ですね。
そして、気になる点も少し書かせていただきますね。
まず、最後に彼女に紙の花を渡すという行為はちょっと違和感がありました。石蕗さんの台詞は卒業式の花づくりについてはさらっと流してしまって、行事以外の頼まれ仕事の方が印象に残っているように読めたので、いくら卒業だからといっても彼女はそれをもらっただけでは困惑するんじゃないかなと思えてしまいました。例えばですが、最初に任された仕事が紙の花をつくる作業だったとか、それが二人にとって特別な意味を持つものであるとわかる印象深いエピソードを足してみたりすると、花を渡すシーンが効果的に映るのではないかなと思いました。
そして、結局募金を盗んだ犯人は誰だったのか、真相が明確に解かれなくて、ちょっとだけもやもやしました。ですが、多くを語らず読者に考えさせる余白、余韻があってもいい気がするので、これは軽く受け流していただいて構いません。
長々と失礼しました。あくまでも個人的な意見ですので、参考程度に読み流していただければと思います。入ヶ岳さんの今後の執筆活動がより豊かなものになるよう祈っております。重ねてにはなりますが、企画に参加していただきありがとうございました。
作者からの返信
ご感想をいただきまして誠にありがとうございます。
描写についてまず言及いただけたことを大変嬉しく思います。そして紙の花を渡す行為についてですが、そもそも不登校になった辺りから展開として性急に過ぎるであろうというのは、言い訳がましくありますが、自覚しつつこの文字数でどうしたものか頭を抱えていた次第です。紙の花についても書き手として思うところはありますが、私の筆の至らぬところであったろうと思います。また、募金の犯人については無論意図的に真相は開示していないわけですが、想像の余地、余詰を残しすぎたと反省しております。
いただいたご感想を参考に今後も執筆をつづけていく所存です。改めて、ご感想ありがとうございました。
卒業の花への応援コメント
とても丁寧に描かれている作品ですね。
書く、という行為の誠実さを感じられる作品は、
読んでいて嬉しいものです。
自分ももっと書きたい、
魅力的な、人に読まれる作品を書きたい、
そう思わせてくれる作品です。
というわけで、私もたくさん書きます。
ありがとうございました!