第31話 どうして書けなくなったのか分かった気がする
今日も今日とて、リハビリのように舞台観たり本を読んだりゲームをしたり、勝てない睡魔に負けたりしながら、合間にノートを取り出して、白紙のページとにらめっこしていたのですが、ふと、気づいてしまいました。
もしかして、書けないのはこれかと。
私が物語を書き始めたときは、仲間と共に悪を討つ。的な物語でした。
魔法があるファンタジーにしろ、特殊能力のある学園ものにしろ、倒す相手がおりました。
で、ある時、現代ファンタジー的な刑事ものを書いたんですね。
ある一人の女の子がイジメにあって自殺して、その復讐を《ネット・ファントム》と言う存在に依頼する物語を。
依頼された《ネット・ファントム》たちは、その願いを叶えるためにそのイジメていた加害者たちの命を奪って行きます。でも主人公は警察側です。主人公は何とか《ネット・ファントム》を捕まえようとするのですが……
取材も下調べもろくにしていないなんちゃって刑事もの。
ただ、その後に《ネット・ファントム》リバース。と言う物語を書きました。
被害者たちがどのようにして《ネット・ファントム》に命を取られて行ったのか、被害者側の短編連作です。(もし興味のある方がおりましたら、ええ。ある方がおりましたら、一報ください。もしかしたら期間限定で載せるかもしれませんが、あまり期待はしないでください)
その時、〇したくなるほどの相手だったはずなのに、一人一人に焦点を当てて書いてみると、こいつらは本当に〇すだけの意味があったのかと疑問に思ったんですね。
ただ、その時はその程度の疑問しか持たずに、すぐ別の作品では主人公から見て『敵』に当たる相手をバッタバッタ葬る物語を書いていました。
だって、バトルはファンタジーの醍醐味じゃないですか。
で、それが何を起点にしたものか、多分こちらにて代表作になっている【天邪鬼の帰る場所】がそれにあたると思うんですが、それまでであれば仕留めて終わりの部分を主人公が仕留めずに終わったんですよね。自分的にはそうするのがこの物語のこの主人公の正しい着地場所だと思いましたが、ファンタジーとしては終わりが弱いような気がして、読んだ人はつまらないのかと不安にもなっておりました。が、その終わりを気に入って下さった方がコメントを下さり、とても安堵したことを覚えています。
その後も、悪者退治と言うか問題を力づくで片付ける物語を書いていたのですが、ふと、思ってしまったんです。
排除する側の事情と言うものを考えて。
いや、勿論、明らかな愉快犯の殺人者とか、正当な理由があったとしても、脅威を排除するためにはそうしないと安心できない相手とかっていますから、それを擁護するつもりは欠片もないのですが!
どうにもこうにも今、私には倒すための『敵』が見えてこないみたいなんです。
倒すべき『敵』が見えない。
仮想の敵はいても、果たしてそれは滅ぼすに値する存在なのか。
何故そんな存在が生まれているのか、それを何故根本的に対処しようとしないのか。また、相手はそれだけの力をもってして、どうして一気に片を付けようとしないのか。
いや、それを考えるのた物語の醍醐味なんでしょうけれど。
少し話がそれますが、皆さま『水戸黄門』はご存じだと思いますが、幼い頃から見ていて疑問に思っていたことがありました。
水戸黄門って、訪れた先で問題を抱えている誰かを助けて次の地へ旅立つじゃないですか。その多くが悪代官を成敗して終わり。
でも、不思議だったんです。お代官様変えただけで問題って解決するの? とか。そこのやくざ懲らしめたら、後は絶対に平和になるの? とか。そうやって困ってる人たちってもっと沢山いるはずなのに、一つ問題解決しただけで満足して次に旅立ってるけど、それを見た別の人たちが、どうしてお前たちだけ! って、やっかんだりひがんだりして嫌がらせをしないの?とか。
代官ややくざ一つ潰しても、その後がまがちゃんとしているかどうかなんて確かめもしてないし、縄張り争いをしていた別のやくざが勢力伸ばして同じことしたらい見ないんじゃないのかな?とか。
だから、自分の物語の中でも、その直近の問題を一つ解決しただけですべて解決した気になってもまた違う問題立ち上がらないかい? とか、そう言う疑問が、自分の物語を作るときにも後から後から湧いて来て、それに正当性を持たせようとしたとき、そもそも、定住型じゃないこの主人公が、いきあたりばったりで問題解決したところで面白いのか? と。本当の意味で解決しているのかと。
では、定住型の主人公にすればいいじゃないかと思っても、そうそう問題が起きるのかと。
ただ、働いているあの狭い世界でも、毎日のようになんやかんや起きてるんですから、定住型の主人公が問題解決していく物語でいいじゃないかと思わないわけでもないのですけれど。
そう考えると、定住型か移動型か。小規模な村とか町程度の規模の物語にするか、全国行脚の規模にするのか。昔は一発で型にはまったものが、どうしてこうも決められなくなってしまったのか疑問でしょうがないのですが、結局のところは、私にとっての『倒すべき相手』と言うものが明確に見えてこないせいで、倒すための道筋が見つからずに物語が出来ないのではないかと言う結論が導き出されようとしております。
だって、そうとしか思えないんですよ(ノД`)・゜・。
キャラクターの考え方や能力や、世界観は出来てますし、何ならキャラクター同士のやり取りはポコポコ生まれているのに、物語にならないんですもの。
そんなある日、職場の人たちと夢の話になったんですよ。
あ、寝ている時に見る夢の方ですね。
で、繰り返し見る夢とかある?
と言う問いかけに、何個かある。と前置きして、夢の内容を説明したところ、同僚さんに言われました。
「橘が見る夢って、いつも何かを守ってるね」
…………言われてみればそうでした。
細かいところは変わったりしますが、流れ的にはいつも何かを守って、庇って、相手に攻撃している。
別な夢では、何者かに追いかけられて、毎度同じ場所で捕まって私が〇されるって夢なんですけど、いい加減夢の中で「またか!」と認識できるようになって来て、あれこれ反撃の手を考えるようになって行動して、もう少しで返り討ちに出来ると言うところまで来てからぱったり見なくなったんですけど。
同僚と話していて、そうか。やっぱり何かを守るために行動する主人公はカッコいいし、私もそういうの好きだな。と思ったので、その路線の物語も念頭に、書いてみたい物語リスト書き出そうと思うこの頃でした。
あれ? 題名と初めの方と終わりの方で話の中身が変わってる気がするけれど、だって、思いつくままだから気にしないでください。
ようは、『倒すべき正当な相手』が見えないため、『終わりがしっくりこない』。
だから、書くモチベーションが上がらない。バトルがなくても物語を盛り上げられて引き込める作者さんたちってやっぱりすごいですよねェ。
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