第29話一度終了いたします

十代の半ばから物語を書いて来ました。

自分で書いた物語の登場人物や物語を好きになってもらえたら嬉しいと思っていましたし、物語や登場人物たちを通して、何かしら細やかでも心に残るものを残せたらいいなぁと思っても来ました。


その夢を叶えたくて、高校を卒業してから投稿を始めました。

一次にも引っ掛からず、才能がないのかと思ったときに、投稿する場所間違えているんじゃない? 小説のサイトに出してみたら? と勧められ、ダメ元で投稿していた雑誌を変え、小説のサイトにも投稿してみました。


雑誌を変えたら、一次は必ず通るようになっていました。

その頃は年に三作品か四作品か毎年書いていました。

なので、一次や二次は割と残りました。三次にも残ったことはあります。


小説のサイトでは、本当に全く見ず知らずの人がコメントをくれて、それが縁で大切な縁を結んでもらえました。出版デビューした人もいます。よくコメントを下さっていた方の半分がデビューしています。


凄いなァと。思いました。

私もそうなりたいなァと、思いました。


私が物語を書けなくなったのはもう、七年も前になるんでしょうか?

その前の年も、三作品書きました。

そして、電撃大賞の締め切り十日前に、松任谷由実さんの《春よ来い》を聞いてずっと書きたいと思っていた物語を、たった十日で書き上げました。


ある意味では、自分自身のために、自分が書きたいがために描いた物語です。

でも、どうしても書きたかったんです。書き上がって友人に見せたら友人ボロ泣きです。実際書いている時、私もボロ泣きでした。


どうしてそんな物語になったのか分かりません。でも、通し勤務をしながらだったので、実質執筆に当てられたのは、三日間の休みの時だけ。異常でした。何かが乗り移ったのではないかと思うぐらい、頭で考えるより指がパソコンのキーを押していました。締め切り前の最後の休みなんて、既定の原稿で40ページを書き上げました。


応募した結果は一次も通りませんでしたが、個人的には書いたことに後悔はありません。後遺症として、《春よ来い》の曲を聞くと、物語を思い出して泣きそうになったことでしょうか? 桜のシーズンになると店内で流れるので、それがしんどかったし、テレビとかで流れて来ても、不意に泣きそうになるのを止めるのに必死でした。


何がそんなにその曲に惹かれたのか今もって解りません。

ただ、解っていることが一つだけ。

《春よ来い》を書き上げてから、まったく書く気力がなくなったのです。


設定らしい設定がなくても、書けばいくらでもかけた物語たちが、まったく書けなくなりました。


年に一作品か二作品はそれでも何とか書いていました。

それも、やっとのこと書いていたようなものです。


《欠落戯作者のネタ集め》

《揺り籠刀》を持つ者たち

《奇生種屋》


はその頃かいた物語ですかね。


思い浮かんだときは面白いと思うんです。

でも、書いているうちに面白いのか? 魅力を引き出せてるのか? 読んで楽しいのか?


と、手が止まるようになりました。

それと同時に、人気作だと言われる作品を読んでも、何が面白いのか分からない。

これはあの作品の設定と同じじゃん。とか、これにものすごく似てるなァ。とか、読んでても見てても思うようになってしまい、これが良くてこれが駄目な理由が何なのかと思うようになり、何を書いても楽しくなくなりました。


ある意味、そんな中で書いた《奇生種屋》の主人公を書いているのはとても楽しかったです。


それでも、なんだかんだで一作品は書けました。


でも、とうとう一作品も今年……と言うか去年一年間で書けませんでした。

いつも奇跡を起こしてきましたが、ノートを何冊も無駄にして、何一つ心から楽しい物語が作れませんでした。


ただの物語を書くだけならば、書けます。

多分、今も書けます。


でも、ラノベとか、賞を目指さる作品かと言うと、絶対に違うな。と言う感覚しか持てません。いや、それまでだってそういう作品を書けていたかというと、書けてはいないのでデビューも出来なかったのですが、それでも、気に入って下さる方々との素敵な縁を結んでくれた大切な作品たちだと胸を張って言えます。


ですが、もしかしてもしかしなくとも、私は《春よ来い》で何かをやり遂げてしまったのかもしれません。ある意味、《春よ来い》で書いて終わりとは皮肉なような気もしますが、あれほどまでに『書ききった』と思ったことはありません。


何が本当に書かせたのだろう?

アレは絶対何か乗り移っていましたね。

出て行くときに何かが持って行ってしまったのかもしれません。


悔しいなぁという思いはあります。

やりたいなぁと言うネタはあります。

でも、書けないんです。書き方がさっぱり分からなくなってしまいました。

驚きですね。


友人知人同僚たちは言います。


『今はちょっと仕事のストレスで心に余裕がなくて書けないだけだよ』


そうだと良いなァ~と思いながら、やっつけ仕事で間に合わせて書いた物語を読ませられる下読みさんたちにもご迷惑だと思いますので、今回は見送りです。

せっかく今年は、今までの努力が成果として表れる年だと言われていたのに、今年も予選のお祭り騒ぎに混ざることが出来ません。本当に悔しいですが、どうにもならない現実ですからね。


また何か書けるようになったら、投稿しようと思います。

それでは、一旦また、再開するまで。

お待ちしてくださる方がいるうちに復活したい!!

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