カラーコンプレックス

雨雲

第1話 始まり

それは、始業式3日前のこと

早朝に差出人不明の封筒が久瀬史くぜ ちかし宛に届いた。

まぁ、父さんからではないな手紙を送るような人じゃないし


そう思いつつも

「でも、宛名は俺なんだよなー」

届いた封筒はよく見る普通の茶封筒で

文字は走り書きされている

光に透かしてみると2つ影が見えた。

近くにあったはさみで封を切る

中には手紙と写真が入っていた

とりあえず、目に付いた写真を見てみる

写真には20人位の男女の子供達が写っていた

真ん中にはふくよかな女性が座っている。

「小学校の卒業写真…?」

右端に白い髪の目立つ子供がいた。その子に赤丸がしてある。

何か違和感を感じるがそれが何なのかはわからない

何故に?どゆこと?

溢れてくる疑問を振り払おうと

切り替えるように手紙に視線を移す。


お兄ちゃんへ

元気にしていますか?


お兄ちゃんが出て行ってからもう五年が経ちました。早いねー、五年なんて

僕は今年で中学3年生になります

あ、卒業式の写真ついてるから見てね!!

てか、見ないと誰かわからないよ?


それでなんかこうちょうどいいので、今年からお兄ちゃんが通っていた東京の付属中学に行くことが決まりました。

お兄ちゃんの制服を貰おうかと思ったけど、汗が染みてそうなのでいりません。

後迎えに来てほしいので、書いてある場所に来てください。

お兄ちゃんに会えるのを楽しみにしています。

                    期深きみ

P.S荷物がそろそろ来る頃だと思うのでよろしくね!













弟?お兄ちゃん?卒業写真?あ、あれね

東京に来る?迎えに来て欲しい?


え、なになに?what?


駄目だ またどんどん疑問が溢れてくる

てか…



「汗染みてそうだからいらないってなんだよぉぉぉぉぉぉお」

膝からガクッと崩れて床に手をつく

しかも、染みてるって…

臭うって言われるより何だかダメージ大きい気がする俺だけか??

確かに三年間着たけれど

無遅刻無欠席で、暑い日も寒い日も着たけれど

「はぁ…、《お兄ちゃん》ショックだよ」


……あ、

何となくお兄ちゃんて言ってしまった

「はぁーーーーー…、てか一番気にしないといけないのそこだよな」


弟の存在については、知らない・わからない・記憶に無いだ。

何故相手(自称 弟)が自分の住所を知っているのかさえも不明だ


でも、明日こっちに来るっぽいし近所で同姓同名居るかわからんしなぁ


「てか知らんし・・・」

床に落ちた手紙と写真を見る。


せっかく、手紙まで書いて送ってきて会いに来ようとしているのに

間違えて違う人の所に届いて会えないとなったら悲しすぎる。自分がそうだったら泣く。

「うーん・・よし!」手紙と写真を持ち立ち上がる。


「明日会ってから事情を説明して、お兄さんを探してあげよう!」

うんうん、とうなずいたその5秒後に宅配が自称弟から届いた。


















・・・・着払いかよ。

「なんか明日が不安になってきた・・」

そう言いながら、財布から小銭を出した

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