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heavy blue-lupus

第1話 epi.1

ワインを飲むようになったのは私のせい。お酒が好きになったのは私のせい。いい年をして自分が誰かわからなくなっていたから、いけないことはたくさん勇気を出して挑戦したのが昨年。

ママが顔をしかめるようなことを想像しては挑戦した。勇気が必要だった。私はずっといい子だったから。お胸が見えるようなお洋服も買った。Tバックも履いてみた。ピアスもあけたし、午前様の電車に乗るようなこともしてみた。深夜に気ままにファストフードに行くようなこともしたし、風俗のお仕事も2度ほどやってみた。お酒も飲むようになった。

ーー女が酔っぱらうなんて下品だ。

それはママだけじゃなくおばあちゃんの口癖でもあった。だから私がワインを飲むようになったのは誰の影響でもなく私のせいなの。

私は女性が多い職場をあえて選んだ。昔からどうも年上の男性に特別扱いされていたから、年上の女性からは問答無用で嫌われる経験しかなくて、もちろんパパは私を特別扱いしてくれたけれど、ママもおばあちゃんも私を問答無用で嫌っていたから、そんなこともあって女性が多い職場を選んだの。職場の女性たちは良くも悪くも普通だった。いい人もいれば嫌な奴もいたっていう意味ですごく標準的な女性たちだった。バカじゃないし、苦労の多い人が多いから私は居心地よくいられる。そういう意味でも勇気をもって壁を壊してチャレンジして良かったと思う。


私はとっても内向的で、本当は家でお仕事をしていたほうがいいんだけど、あえて挑戦した。それはママが顔をしかめることだったから。そしてパパが一番心配することだったから。


今の私はとっても幸せ。自由で自由で、大人で女性で、制限も制約もなく、子供でも女の子でもない今が私はとっても幸せ。

好きな人もいる。好きになってくれた人が今いるの。素敵で優しくてきれいで天使みたいな男の人。その人と出会ってから私は女の子から女へと脱皮している。

どこかパパに似た年下の男の子に今私は高校生みたいに夢中になっている。


なんでもしてくれるの。悩みも聞いてくれるし、気ままにセックスもしてくれる。泣いていれば駆けつけてくれるし、私が上手に言えない時は代わって相手を怒鳴ってくれるようなそんな人なの。私にないものを全部持っている魅力的な人。


ママはきっと彼を知ったら顔をしかめる。だって、彼、昔少年院にいたらしいから。お父さんはやくざだったらしいの、もう死んでしまったけれど。彼の寂しい目が私を温かく抱きしめてくれるなんてママは絶対理解できないと思う。だから私は彼に夢中なの。同等の素敵な人がいても私が彼を選ぶのは、ママがきっと嫌うと思うから、そして、だれよりも苦労をした大人だから。

私は世間を知らなさすぎる。だから大人な男性が大好きなの。

彼は今28歳、私よりずっと年下だけどいろんなことを知っている。

セックスが幸せだってことも彼が教えてくれた。私の知っているセックスは共にいてくれるために支払う対価でしかなかったから。


彼は言うの、「俺にはメイコちゃん以外誰もいないんだ」。自嘲を込めたその傷ついた微笑みが私は大好きだった。私のために必死に苦手な笑顔を作ってくれる姿が愛しくて愛しくて仕方ないの。



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