明日世界が終わるなら

時雨

第1話 残り7日

「ねぇねぇ! 明日バレンタインデーだよ! 誰かにあげる?」


 学校からの帰宅時に私、橘伊月たちばないつき松本理々まつもとりりと話をしていた。今日は3月13日。つまり、明日はバレンタインデー。私はバレンタインに興味は無い。好きな人は居るが別にあげたいとも思わない。恥ずかしいし。


「私はあげないよ」


「あげないのー? あげれば良いのに! 明日香は?」


 明日香と言うのは私の友達、佐藤明日香さとうあすか。私たち3人は仲が良い。俗に言うイツメン、と言うやつ。


「私は好きな人居ないし」


 迷いもなく答える。そして理々は驚いた表情を見せる。


「え!? 居なかったの!? 知らなかった~」


 明日香の方をガン見しながら答えるが、当の明日香は困っている。


「ええっと。知らなかった?」


「うん! 知らなかったよね~」


 と理々は私の方を見て同意を求める。


「う、うん」


「バレンタインとか青春ぽくて良いよね! せーしゅんとか大好きだから! 告ったら返事教えるね! 楽しみだよ!」


 周りは見えていないかのように一人で楽しそうに話す。


 これでも私たち三人はすごく仲が良いし、理々も「ずっと仲良くしよーね!」と言ってくれる。明日香も私たちとはたくさん話してくれる。三人で一人と二人で別れることも無く三年ぐらいずっと一緒に居る。


「じゃあ、また来週!」


 私は理々と明日香、二人に手を振って家に帰る。二人とも手を振り返し家に向かって歩き出す。


 月曜日、学校に行く集合場所に着くと理々が私に飛び付いて目をキラキラさせながら話しかける。


「ねぇねぇ! 聞いてよ! あたし……」


 ドアから出てくる明日香のようすが見える。出てきた瞬間、理々は明日香に近所迷惑になりそうなぐらいよ声で話しかける。


「あっ! 明日香! 明日香!」


 理々がいつもこうなのは知っているが、今日はテンションが異常に高いので明日香も驚いている。


「えっ、どうしたの!」


「あたし、告ったって言ったでしょ!? そしたらあっちも好きー、とか言ってきてね!? 朝から嬉しすぎるっ!」


 朝とは思えないような喜びぶりを見せる。小刻みにジャンプしながら話している。


 私には告ったことが無いから分からないけど嬉しさがよく伝わってくる。


「ほんと!? 良かったね!」


「私も嬉しいよ!」


 三人で一緒になって喜んだ。


 ーーーーー


 7日後、もう告白する機会なんてやってこないことを知った。



 友達と遊ぶ約束

 買い物に行ったら物がなかったから他の店に行く

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