詩小説 少女心中 

マフユフミ

第1話 直観

その少女を殺さなければならない、と思ったのはきっと直観だった。


麻里奈はまじまじと少女を見る。

白い肌、黒く長い髪、折れそうなほど細い腕。

麻里奈にとって、その女はどこをとってもまさに理想的な「殺すべき人間」なのである。

ずっと、探していた。

いつか殺してやろうと考えていた。

日々その少女の姿を夢想してはその胸にナイフを突き立てる絵を思い浮かべていた。

そして今日、麻里奈はついにその少女と出会ったのである。





その少女に殺されるのだろう、と思ったのはきっと直観だった。

美保奈はまじまじと少女を見る。

くっきりした二重に縁どられた大きな目、はじける笑顔、誰もが見とれてしまうような美しさ。

美保奈にとって、その少女はどこをとってもまさに想像通り「自分を殺しに来る人間」そのものだった。

ずっと分かっていた。

いつか来るのだろうと思っていた。

日々その少女の姿を夢想しては、自分の胸に突き立てられるであろうナイフに彫られた飾りを思い描いていた。

そして今日、美保奈はついにその少女と出会ったのである。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る