魔族の地に追い払われた聖女は貧乏吸血鬼一家に飼われる
黒月白華
プロローグ 〜美少女と比べられたらそりゃ追い出される
私は牛嶋貴恵。17歳。
ダイエットの神が降りなくてぶっとい身体をしている。胸だけはあるが…全裸になるとウエストどこ?って言われそう…。そんな私も子供の頃は実は美少女と呼ばれるくらいには綺麗な顔とほっそりした引き締まった身体をしていたが……。
ある日…お金持ちのこれまた美少女な友達ができた。
あれやこれやと買い物をして食べ物を少し摘んだだけで捨てるとか言う彼女…羽村安優香の残り物を私は食った。
だって本当に一口だけ食べて捨てるなんて作った人に申し訳ないと思わないのか、金持ちはこんなものなのか?と思うくらいには私の家は貧乏だった。
安優香は私にいろいろな物を買っては両親に頭を下げさせた。
私も友達を辞めて欲しいとは今更言えなくて…結局彼女の取り巻きのようになり、段々とスリム体系は無くなってしまいました。
安優香はわざと私を太らせていると気付いて居ながらも流石にこんな美味しい物を捨てるなんて!と思い食欲にも逆らえず。
ある日安優香はトイレで別の友達と喋っていた。その子は昔の私のようにちょっと貧乏で美少女だった。
その子がハンカチを落としたのがきっかけで安優香が話しかけたのだ。
安優香のターゲットがその子に言っていると直感的に感じた。
私は安優香のいない所でその子に忠告した。
「私みたいになりたくなかったら羽村安優香とは距離を置いたほうがいいよ」
と親切心からだった。
しかしその時安優香がそれを聞いていて飛び出してきた!
「ちょっと!何なの?どうして私をそんな風に言うのよ?あんなに…恵んでやったのに!この豚女!!」
と叫んだ瞬間…三人の間に光りの模様が現れて…私と安優香とその女の子…浅野沙織は吸い込まれるように消えた。
あっと思って目を開くと映画のセットかと思う玉座みたいな広間の中央に私達三人と髭を蓄えた王様らしいのと王妃様らしいのと顔の良いイケメン王子やら…他にも色々な人がいて
「成功だ!!やった!!聖女が我が国に来た!!」
と喜んで涙していた!!
えっ!?聖女って!?
ライトノベルとかのあの?展開のやつ?
とか思っていると王子の1人が…
「しかし父上どうやら巻き込まれた奴もいるようだ。明らかに聖女ではない奴がいる」
と私を指す。
えっ!?
あ、ああ…成る程。まぁ確かに豚みたいな身体をしているし…。
「直ぐに豚小屋へ…じゃない…こいつはいらないな。太り過ぎてて使用人にもできんだろう…。摘み出して魔族の地へ捨ててこい!」
と言われる。
ガガーン!!
それなら豚小屋の方がマシなんですけど!?
ええ?酷くない?雑くない?
すると安優香がクスクスと笑う。そして…
「いい君ね。貴恵。私を裏切るからよ!ばちが当たったのよ!」
とこんな状況でもドヤ顔。
しかし直ぐに態度を変えてイケメン王子の前では大人しくしていた。
側にいたポ二ーテールの浅野沙織は複雑な顔をしていて…
「あ、あの…」
と声をかけようとしたが安優香はそれを遮り
「沙織さん…安心して?私と一緒にいましょう?」
とニッコリ笑う。
安優香!!あんた!沙織さんを私みたいに太らせる気なんだ!!
なんて奴!!何が聖女!こんな性悪女より沙織さんのが聖女だよ!!私は確かに間違って召喚されたに違いないけど!!
両脇に兵士が来る。
私はせめてもと近くにいた魔術師らしき長髪のイケメンの髪を引っ掴み言った。
「痛い!何するんだ!このオーク!!」
とか言われたよ!!酷!オークってあの豚みたいな魔物のことでしょ?
「何でもいいけど!!あのポニーテールの浅野沙織ちゃんを守ってあげてよ!!一緒にいる羽村安優香が彼女に食べ物を上げて太らせようとするわよ!!」
と言うと怪訝な顔をした。
構わずに私は安優香に聞こえてないのを確認して
「それだけ!とにかく沙織ちゃんを守ったげてよ!?あんたなんかの魔術師っぽいんでしょ?頼んだよう!?お願いね!!」
と言い続けた。魔術師の男は私が扉から出されるまでジッと見ていた。伝わったのか判らないがお前しか頼めそうなのいないからな!頼んだわよ!
と私は兵士に引きづられ何か乗り心地の悪い馬車に乗せられて着いた先は恐ろしい気配のする森の手前に下され数日分の食料らしき袋をポンと投げられ
「じゃあな!オーク女!」
とかせせら笑われてさっさと引き上げて行かれた。幸い現代から持ってきた鞄もある。その中に携帯電話があってとりあえず繋がらないのを覚悟にかけたがやはり圏外と言われて沈黙した。
食料の袋を確認すると硬そうなパンと変な腐りそうなミルクみたいのとチーズらしき物体が入ってるだけだ。
こんなん死ぬだろ。ああ、死ぬためにここへ?
はぁ。
私帰れないし…もう終わったな。
とりあえず森入って水見つけよう。いきなりサバイバルかよお。女子なのに。
と歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます