45作品目

Rinora

01話.[やっぱりあれだ]

「ぎゃっ」


 油断していたのかもしれない。

 私なら大丈夫って過信していたのかもしれない。

 そのせいで本棚と本には迷惑をかけることになった。


「たた……」


 やっぱり三日も徹夜は無理があったのだ。

 ついハイになりすぎて気にしてなかったけど、やっぱり限度というものがある。

 もう高校三年生なのにそれが分からないなんて馬鹿すぎる。


「大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます」


 ひとりで同好会を作った。

 高校にも忌まわしき部活強制ルールがあったため仕方がなく。

 家族以外の他の人といるのがたまらなく嫌な自分というのもあって、仕方がなく楽そうな本を読む同好会を作った。

 ……はは、それでも許可してくれたのだから面白い話だ。

 とりあえず本棚に本を戻して席に戻る。

 ここは利用者も限りなく少なかった。

 いまはスマホひとつで結構なんでもできてしまう時代、図書室に置いてある古臭い本になんか興味はないのだろう。

 仮に紙媒体に頼るのだとしても本格的な図書館に行くと思う。


「菊原、鍵は頼んだぞ」

「えー」

「相変わらずむかつくなその顔」

「先生がやってよ……」


 なんで先程の私は敬語を使ってしまったのか。

 やっぱりあれだ、ちゃんと寝なければ駄目だということだ。


「俺はこれから職員会議なんだよ」

「はいはい、いってらー」

「はぁ」


 楽なのはいいけど眠たくなるのが問題だな。

 ひとりなのをいいことに机に突っ伏していた。

 教室の机もこれぐらい面積が広ければいいのにとも考えたが、まあそうしたら他人と同じ机を使うことになるから嫌だなとすぐに切り捨てる。

 適当なところで鍵を閉めて退出。

 職員会議中だろうが一切気にせずに入出して鍵を置いてから退出。


「ふぁぁ……帰って寝よー」


 なんか自分が来年大学に通っているところが想像できなかった。

 いまからでも就職に切り替えた方がいいだろうか?

 でも、きびきび働いているところも想像できないからなあ。


「ただまー」

「おかえりっ」

「ぶは!? ちょっとちょっと、愛情表現が過剰すぎだー」


 ああ、でも笑顔がきらきらとしていて眩しいな。

 可愛い弟にはこんな姉みたいにはなってほしくないからあんまり関わるべきじゃないのかもしれないけども。


翔太しょうたは今日も元気だなー」

「うんっ」

「よしよし、あっちに行こうぜ少年」

「行くっ」


 でも、やっぱり弟といると落ち着くからやめられないな。

 それにほら、すぐに悲しそうな顔をするから避けようもないし。

 翔太ならあれだ、勝手に良く成長してくれるだろう。


「お、重いぞー」

「ここがいいっ」


 私の膝の上がお気に入りのようだった。

 それで私の豊満な胸に体重を預けて座るのがいいみたいだ。


「椅子じゃないんだぞー」

「でも、こうでもしないとお姉ちゃんは相手をしてくれないから」


 基本的に部屋に引きこもっている人間がここにいます。

 だから翔太がそう言いたくなる気持ちは分かる。

 だってできることならいますぐにでもこもって爆睡したいぐらいだし。


「お姉ちゃんは本を読む部活動に入っているんだよね?」

「うん? まーね」

「ぼくは中学生になったら野球部に入るんだっ」

「おー、頑張れー」

「うんっ、がんばるよ!」


 うへぇ、わざときつく苦しい部活を選ぶなんてMだ。

 なんて、中学生のときは私も運動部を選んだから人のことは言えないけど。

 まあだからこそ今度はなんににも縛られない同好会を作ってゆっくりしようと考えたわけだ。


「ただいま」

「おかえり!」

「おかー」


 ゆっくりしていたら母が帰宅。

 お姉ちゃんよりも母が大好きな翔太はそっちへ嬉しそうに近づいていた。

 母が帰宅するまでは私の胸の感触を味わっておいて本命が帰ってきたらそっちにって贅沢すぎだろう。


舞優まゆ、ちょっと来なさい」

「えー」


 こうやって改めて言ってくるのはなにか不満があるからだ。

 怒られると分かっているのに大人しく付いていく人間がいるだろうか?

 ……いるかもしれないが私は違う。


「お風呂溜めてー、ぐぇ」

「いいから来なさい」


 翔太はまだ小学生なんだ、それなのにその初で可愛い小学生の前でこんな行為はいいのか? 

 悪く育っても私は知らないぞっ。


「この額はなに?」

「スマホの代金だね」

「よく見なさい、どうして普段より千円も高いの?」


 ……あと二十個あれば三百連できるところだった。

 そしてガチャというのは期間限定のもの、しかも三百回やれば確定で最高レアが手に入るとなれば、うんやるよねって感じで。

 二百八十回分はちゃんと無課金で貯めたんだ。


「それはソシャゲを作っているところに言ってくれないとね」


 そこだけは中途半端な数字しかなかったんだ。

 だから余分に買う羽目になってしまった、汚い、普通に汚い。


「課金するのは禁止ね、次にしたら解約するわ」

「そんなっ!? せめて月に五百円ぐらい――」

「駄目よ、次にしたら解約よ、あとソーシャルネットゲームもやめなさい」


 なっ!? ……余計なことを言ったばかりに自分の首を絞めてしまったみたいだ。

 まあいいか、どうせガチャも渋いし同じことの繰り返しだしで飽きていたところだったから。

 流石に三百回も回して確定以外は無ってまーずいでしょ。

 あんなソシャゲサ終してしまえばいいんだって思ってたし。


「翔太ー、私を慰めてくれー」

「お母さんに怒られるようなことをしない方がいいよ」


 うーん、ごもっともな発言だ。

 しゃあない、怒られないように大人しくしておこうか。




「菊原、おはよう」

「はよー」

「おはようございます、な?」

「おはよーうございまーす」

「ま、まあいい、許してやろう」


 別に楠田裕二くすだゆうじ――先生が親戚だとか仲がいいとかそういうことではない。

 そこにあるのはなんとなくこの人には敬語を使いたくないなという気持ちだけ。

 理由は中学のときのあのクソ顧問と顔が似ているからだ。

 だから申し訳ないとは思っている、あのクソ、と違って丁寧ですぐに怒ったりしないのも分かっている。

 それでも、それでも私は先生に敬語を使いたくはなかった。

 

「いつも早いね」

「まあな」

「偉い、褒めてあげる」

「菊原がもっとしっかりしてくれればいいんだけどな」


 確か三十六歳だとか初めてのときに言っていた気がする。

 この学校内だけで言えばかなり若い方だ、ほとんど四十を超えているから。

 で、何気に人気だったりするんだよねこの人。

 呆れたような言動や態度を見せるけど付き合ってくれるから、らしい。


「菊原ももう三年か、早いもんだな」

「だから優しくして」

「嫌だ、三年だからって態度を変えるわけがないだろ」


 ちぇ、可愛くないな。

 とりあえずは自分の椅子に座って休憩。

 そもそも早い時間に来ること自体が無意味だけどね。


「大学を志望するんだろ?」

「私は就職でいいんだけどねー」


 父が絶対に行っておけってやか――言ってくるから仕方がなく。

 学費とかだってかかるのにMなのかな? って言いたくなる。

 どうせ私なんか結婚できないし家も出ないんだから稼ぎなんてそこそこでいいのに、と言っても聞いてもらえなかった。

 母も自分が出ていることと昨今のことを気にしてそれに賛成しているから従うしかない。

 普通なら学費がもったいないとか言って止めるところだと思うけどね、両親揃ってちょっとアレなのかも。


「勉強はちゃんとしているのか?」

「といってもまだ四月だよ?」

「もう三年なんだぞ? 油断していたらあっという間にくるぞ」

「不合格になったら適当にバイトでもするからいいよ」


 先生は「適当だなあ」と微妙そうな表情で言った。

 ……なんか叱られるだけだから教室を出る。

 そもそも誰ひとりも友達すらいない人間に期待するのは間違ってる。

 だからこの先も適当にやるだけだ、近くなったらやる気を出すだろう。

 いまはゆっくりと過ごすだけでいい。

 行事も特にないし落ち着いた生活を送ることができるから。


「菊原さん……?」


 ん? え、誰……。

 分かったのは同性だということでしかない。

 彼女は少し困惑したような顔で「こんなところでどうしたの?」と聞いてきた、どうしたのと聞かれても困るから無視。

 先生はしつこいから答えているだけ、家族以外の人間と一緒にいたくないのは本当だからいらないのだ。


「あの……」


 これならまだ小うるさい教室にいた方がマシだろう。

 小うるさいって感じているけど、大学とか社会に出ることになったらありがたく感じるんだろうな。

 私はそのときに気づくことができないから失礼なことを言っちゃったりもするかもしれない。

 まあそうやって自覚しつつも直そうとしない自分が一番の悪かもしれないけどさ。


「先生、飴ちょうだい」

「あ、飴? あ、のど飴ならあるぞ」

「それでいいよ、ん、ありがとー」


 はぁ、それにしてもここまで上手くやってきたんだけどな。

 まさか三年になってから話しかけられるとは思わなかった。

 教室外で過ごすことなんてあんまりしてこなかったからそれで生じるリスクというのを甘く見ていたのかもしれない。


「はぁ」


 憂鬱だ、あの子が悪いとかそういうのはないけどね。




「ぼげー」


 今日は本を借りてきて教室で活動をしていた。

 のはほとんど嘘で、本を開いたままぼけっとしていた。


「真面目にやれよ」

「いちいちいなくていいよ」

「監視しておかないとちゃんとやらないからな」


 頼んでもないのに顧問みたいなことをしてくる。

 余程信用がないんだな、信用しろと言う方が傲慢だけど。


「あと、話しかけてきてくれたのに無視するなよ」

「もう三年生なんだよ? いま頃話し始めても無駄ー」


 先生には人といるのが嫌だと言っているのにその先生が一番分かってくれてない。


「なあ、友達を作ってみようぜ?」

「先生には――」

「ああ知ってる、人といるのが嫌なことをな。でも、教師としてはやっぱり気になるだろ、三年生からでも遅くはないんだから頑張ってみたらどうだ?」


 うはあ、面倒さあ……。

 先生のことは教師たちの中で一番好きだけどこういうところは嫌いだと言えた。

 生徒がいいと言っているんだからそれを尊重するのも教師だと思うけどね。


「余計なこと気にしていないでもっと困っている人を見てあげなよー」

「このクラスの問題児は菊原だけだからな」

「問題児でごめんなさーい、でも、変える気はありませーん」


 もういい、ここで終わりにしよう。

 それで帰って翔太でも愛でて癒やされよう。

 このままじゃ嫌な気持ちになってばかりだから。


「待て、帰らせないぞ」

「活動はした――痛いよ」

「駄目だ、十八時までは絶対だ」


 あれか、流石に温厚な先生も怒ったということか。

 まあいい、そうやって怒って愛想を尽かしてくれるのが一番。


「はぁ」


 まだ四月だというのに雨が降る毎日が続いている。

 だからこそ帰りたいというのもあった。

 強い雨の中急いで帰らなければならないのは憂鬱だから。


「き、菊原」


 私は駄目駄目だけど先生も同じようなもの。

 後からそんな顔をするぐらいならしなければいい。

 こんなつまらない人間、やる気のない人間になんて関わらなければいいのだ。

 教師だからって全員の対応をしなくていい。

 そんなの土台無理だ、中にはいるかもしれないが結局中途半端になって終わるだけだ。

 ……先生にはそうなってほしくない、あくまで私以外の人間のサポートをして慕われているところが見たかった。

 そう、見られるだけでいいのだ。

 もう本当に必要なとき以外はいない者として扱ってくれればいいからね。


「帰るよ、雨も酷くなってきたし」

「……そうか、気をつけろよ」

「先生もね」


 大丈夫、先生は教師なんだからそこまで馬鹿じゃない。

 面倒くさい人間に何度も何度も構うほどね。

 だから明日からはゆっくりと過ごすことができるはずだ。

 私は別に授業中に話したり、提出物などを忘れたり、テストで悲惨な点数を取ったりしているわけではないんだから。

 出席日数だって全然足りてる、なんなら休んだ日がないからあの教室で唯一と言っていいほど登校日にちゃんと登校してきた人間だ。

 なら邪魔してくれるな、大丈夫、どうせ来年になったらもうこんな顔を見なくて済むんだからさあ。

 無駄なことで時間を使わなくて済むようになるんだから。


「ただー」


 今日はどうやら翔太は遊びに行っているみたいだった。

 それならばとソファに転んでゆっくりとする。

 翔太とふたりきりの場合はこれができないから味わっておけばいい。

 悪いことばかりではない。


「物好きだなー」


 雨の中遊びに行く翔太も、こんなのに構う先生も。

 なんでそんな無駄なことをするのかと苦笑したのだった。




「お姉ちゃんっ」

「ぐぇっ、あ、朝からなんだよもー……」

「起きてっ、早くしないとおくれちゃうよっ?」


 起きてたよ、面倒くさいから出ていなかっただけだ。

 でも、こうなればもうどうしようもないから大人しく出て制服に着替える、そこからは適当に支度を済ませて家を出た。

 私は朝食を摂らない派だ、朝から食べると気持ち悪くなる。

 そして今日もまた雨、食べていたら間違いなく吐いてたね。

 あまりにゆっくりしすぎたのか、着いたタイミングでもう八割ぐらいが登校していた。

 うざい、うるさい、面倒くさい、そんなことを考えつつも表には出さずに自分の席に座る。


「楠田先生は真顔だと怖いね」

「余計なお世話だ、真面目な顔でいいだろ」

「「えー」」


 先生の周りには常にと言っていいほど数人が集まっている。

 賑やかな空間の中でもそれはよく聞こえるもので、とにかく耳障りだった。

 とことん自分勝手なのは分かっているけどね。


「はぁ」


 廊下に出たタイミングで予鈴が鳴って無駄になった。

 席に戻るとSHRがすぐに始まって、いつもと同じようなことしか言わない先生の話を聞いて、休み時間になったら今日も廊下に出ることにした。


「菊原」


 気にせずに静かな方へ移動する。

 そこでなんとなく窓の外を見つめて、なんとなくどうしようもない内側にあるそれをため息を吐くことでなんとかして。


「無視とは酷いな」


 この通り、先生になにを言ったところで従ってくれたりはしない。

 こっちはなにかを言われたら従うしかないのに不公平だと思う、大人がそれでいいのかって文句も言いたくなる。

 まあ私のこれは屁理屈とかそれこそ無駄なことなんだから先生があくまでそのままだというのもなにもおかしくないんだけど。


「あの、楠田先生」

「ん? おお、田所か、どうした?」

「その、菊原さんに用がありまして」

「なるほどな、ほら、俺がここにいてやるから話すといい」


 あー嫌だ嫌だ、全く聞いてくれなくてさ。

 私はあくまで私がいないところで支えてあげてほしいと言ったんだ。

 それなのにこんなこと、あと、私と話せるようにと動くのが相手のためになっていると考えているのなら勘違いだとしか言いようがない。


「き、菊原さん」


 私の拒絶オーラにも負けずに話しかけてこられるのは素晴らしいとしか言いようがないが、もう嫌いになっていることを彼女は分かった方が良かった。

 誰でもね、話しかけてもらえたら嬉しいというわけじゃないんだよ。


「菊原、返事をしてやれ」

「返事」

「はぁ、悪いな田所」

「い、いえ」


 やっぱり先生もこの学校の中で一番嫌いだ。

 別に腕を掴まれているとかではないから教室に戻る。

 一時間目が始まるんだ、これは最適な行動だろう。

 で、流石に察したのかその後話しかけてくることはなかった。

 だから雨が降っていること以外は平和な時間を過ごせた。


「菊原、ちょっと話がある」


 他の皆がいる状態で話しかけてくる先生も嫌いだ。

 あまり粘られても困るから今回は大人しく廊下に出る。


「悪かったよ、だから返事をしてくれ」

「余計なことしないで、なんで私が嫌がることを率先してやるの?」


 大人がこうなんだからそりゃ子どもは平気でするよなと。

 責められないな、お手本になるはずである大人がこうなんだから、そのくせ自分がしたときだけは棚上げなんだから。


「……教師としては同じクラスの人間とくらい仲良くしてほしいって思うだろ」

「余計なお世話、勉強さえできていればそれでいいでしょ」

「菊原っ」

「あー分かりました分かりましたー、ちゃんとしますー」


 やっぱり誰かといることは損しかないんだって分かった。

 先生だってそうだろう、私と関わることで損ばかり。

 今日のあの子だって私といることを選んだら損ばかりすることになるわけ、だから私が止めてあげているというのに……。

 もうなんでも悪く書いてくれればいい、悪く言ってくれればいい、他人に期待なんてしていないし、自覚はしているし。

 全部私が悪いということでいいから放っておいておくれよ。


「ちゃんとしますから必要なとき以外では話しかけないでください、よろしくお願いします」


 面倒くさ。

 そう感じているのになんで生きているのか。

 一応、家族に申し訳ないとかそういう風に思っているのか?

 いや、寧ろ長々と生きようとする方が家族が悲しむだろう。


「よし」

「ど、どうした?」

「いえ、もう教室に戻りますね」

「お、おう」


 この先も面倒くさいことばかりなんだから死のう。

 でも、場所はどうしよう。

 誰かに進んで迷惑をかけたいわけじゃないしな。道具や手段とかも困るなあと。

 で、放課後まで必死に考えた結果、どう死んでも誰かに迷惑をかけることになるなという答えに行き着き、結局動けずに留まることになってしまった。


「情けない、自分のことすら自分で処分できないなんて」


 いっそのこと私にしか効果がない核爆発が起きたりとか、私だけが散りになってしまうぐらいのなにかが起こればいいのに。


「だってこうしてカッターナイフで切ってみても痛いだけだしなあ」


 やっぱりどこかでストッパーがかかって致命傷にはできそうにない。

 頸動脈を切ればいいけど、なんか当てるだけで精一杯というかさあ。


「はは、リストカットする人って死ぬ気ないな」


 まあ腕からでもずっと血を流し続ければ失血死できるだろうが。


「なんだ、今日の態度的にもう帰っているか……と……」


 うん、やっぱり死ねない、勇気がない。

 クソ雑魚じゃそれすら無理なんだ。

 所詮強がってイキがっているのが精々。

 適当に出ていた血を拭いて、自前の本を読み始める。

 ただなんとなくで買った本だ、特に感想はない。

 文字がびっしりと並べられているだけ。

 作者の人には悪いがそれぐらいしか私の中からは出てきてくれない。


「保健室に行こう」


 しまった、これじゃあ構ってちゃんみたいじゃないか。

 なんかいますぐにでも帰って引きこもりたかった。

 それでも先生は帰らせる気はないらしく、先程の腕とは反対の腕をそこそこの力で掴んで怖い顔をしていたのだった。

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