雨上がりの朝に

‭休日の雨は 表に出かけない理由をくれる


‭冷たい雨は 逆にくじけるかと熱くなれる


‭恵みの雨は 草花の息を吹き返してくれる


‭ついでに手伝いの水やりも代わってくれる


‭優しい雨は 心にしか降ったことがない


‭あの人からの またあの人からの その想いに‬


‭感謝して 感謝しても 足りなくて 有り難くて‬


‭心に降った優しい雨しか 僕は知らない‬


‭夏の夕立ちについては いつも突然で


心の準備も何もないまま‬に


‭先に雨宿りしていた君と僕とを出くわせた‬


‭濡れた髪と‬


白い‭ブラウスに透けた肌と‬


‭稲妻の光が‬


‭一瞬目に入り そのあと


轟く‭雷鳴と続く激しい雨音だけが‬


‭ただ耳奥にこだましていた


震える君に何もしてやれない


自分がただ情けなかった


‭次の日の朝‬の


‭乾ききらない靴は‬


まるで‭僕の気分そのものだ


でも、大きく‭深呼吸して‬


‭雨上がりの香りを思いきり胸に吸い込み


湿った後悔を乾かしていれば


ふと‭通学路の先‬に


‭歩道橋の上を渡る君が‬僕に気づいて


口に手をあて


「おはよう」と口ずさむのが見えた


‭心のプリズムが‬


その白い光を


‭君という光を虹色に輝かせる‬


思わず駆け出した僕は


今度こそもう迷わない


急ぎ足で階段を駆け上がる


虹が消えてしまうその前に


想いはきっと架け橋を渡りきっている





イメージイラスト

https://kakuyomu.jp/users/TiLA_k/news/16818023214029140843

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