第68話 エンデング 現実世界で

此処は現実世界 ピッピッ・・心電図のモニター

静かに動いている


ぼんやりと窓を力なく 見ている少年


「かなり 意識が朦朧(もうろう)としていますね 覚悟しておいてください」

「そ、そんな」少女が泣き出す 周りの者達が彼女を慰めている


それから夜の時間 モニターの音に 点滴の管の液が絶え間なく 落ちて静かに動いている


物陰から その影 湧き上がる様に現れる者 浮きたつ一人の少女 

16歳頃の少女 長い黒髪に 綺麗な瞳・・

「こんばんは リジャさん いえ、本当は違う名前だったわね」

そっと少年の顔を撫でる 彼女をぼんやりと見る少年 「ああ、青白い顔だわ」


「ええ、そう 仮想世界のゲームの中 シャラよ いえ、本当はサラ」

「・・・・・」


「本物の吸血鬼姫」


「貴方は沢山 私を優しく愛してくれたから 御礼をしたいの うふふ」


「少ししか出来ないけど  元気な時間 寿命を少しだけ贈るわね」

手が淡く白く光る 光を吸い込んで やや生気が戻り 

ホッとしたように 目を閉じる

「ゲームの中 そのままの顔に姿ね 綺麗 年齢は15歳前後かしら?」


「また仮想世界のゲームで戯れてくれるかしら? 

手下のアヒルちゃんと一緒に待っているから うふふ」


「今度は得意の料理 薔薇のケーキが食べたいわ リジャ」

少女の姿がゆっくり消える


数日後 少しづつ 元気になり 大事な妹を抱きしめる少年の姿があった


第一部 完

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