婚約破棄ですか? 私は謹んで受け入れますが王国は大丈夫でしょうか。
かぼす
謹んで婚約破棄、お受けいたします
それは王立高級学院卒業パーティでのことだ。
「パトリシア・ダンテミリオン!」
ある意味聞きなれた、この場に似つかわしくない大声を発したのは、残念ながら私の婚約者ということになっている、ルーカス・フォン・アザイラム殿下そのひとであり、その左腕には露出過多なご令嬢が胸を押し付けるようにしがみついておりますわね、さらにその傍らには何やら複数の人影がひかえているようですが。
「殿下、このような場所で大声を出すようなことはお控えください、王家の品位に関わってしまいます」
卒業パーティーは他国の貴族や王族関係者も招待され、教師からはマナーの授業の際に幾度も気をつけるように説明されていましたもの。
「たかだか伯爵令嬢がこの私に指図するな! さらにこのプリシア嬢への蛮行の数々、私の婚約者として恥ずかしい限りだ! たった今をもって貴様との婚約は破棄する!」
あらあら、
市井の女性の間では貴族間の恋愛や、婚約破棄といった物語が流行っていると聞いたことがあり、私も一冊手にとって見たのですがなかなかに趣深く……おっといけませんわね、話を戻さなくては。
「蛮行とはどのようなことでしょうか? このような場で大声を張り上げることであればつい先程大勢が目撃いたしましたが……」
多くの方が頷いていらっしゃいますわね、数人は家令に声を支持を出しています、当主に問題発生をしらせているのでしょうね。
「恥ずかしげもなく言い逃れをするのか、貴様がなんと言おうと婚約は破棄だ! これは決定事項だ!」
ふぅやれやれ、蛮行とやらは知りませんがこの王子との結婚は気が進みませんでしたしねぇ……。
「謹んで婚約破棄、お受けいたします」
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