第2話 陬∝愛縺ョ譎よ擂繧

 「此処は一体…」


 男は思わずそうつぶやく、自分が先程まで何をしていたのか記憶は曖昧だがそんな自分の状態よりもやけにうるさい周りが気になり周りを見渡した。


「えっ」


 男は気づいた気づいたのだ今時分の周りを取り巻く環境を、そこには地面があった空があった人々があった動植物があった自分の知る世界はなく、土や砂アスファルトコンクリートなんかに変わり足元に広がるのは、黒い泥のようなものいや泥のように見えるがそもそも土や砂ですらないかもしれない。

 それは所々に 目が 耳が 鼻が 口が 角が 髪が ■■が ■■が認識できない何かが敷き詰められ 貼り付けられ 縫われ ありとあらゆるところにあった。

 その口からは歌や呪詛や笑い声を様々な言語や音のキーで紡ぎ合わ一つの賛美歌のよう唄い続け目は赤色や黒色や果には青色の血液のような液体を絶えまなく流し続けそれ以外の器官も舞、すがりより、おおよそありえない動きをしていたまたそれらは皆一様に一つの生物になるかのように押し合いつぶしあい融合していた。

 男はそれらから目をそらそうと空に目を向けた、だがそこにあったのは様々な色であり絶えず形を変え伸びたり縮んだりしているもがまた集まり空に佇んでいた。

 その姿はどのような民話や神話、伝記などでも描かれたことの無い邪悪さと神聖さ純潔と淫奔さを感じさせる威圧感を持った正しく邪神といったものだった。


「神よ…」


男は思わずそう口にしたが男に信仰心などなく、むしろ生前は生粋の無神論者でありそして彼は嘘を付き裏切り背徳行為を行ってきた、男は自らの行っていることをすべて良きことだと他人の幸せではなく自らの幸せを最上のものだと考えそのために、蹴落とし、嘯き、騙す、そのようなことを当たり前にしてきた。

 そんな彼でも自らの眼前にあるものが自らの理解の範疇を超えるそれがそれまでないと考えてきたものだと否応もなく理解させられた。


「あぁ わたしは こんなもの知らない わからな」


 このような場所では軟弱な人の精神が耐えられるはずもなく、脳の処理の限界、理解の範囲外、未知への恐怖、全てを拒否しようと脳が機能を停止させようとする。だが男は気絶することはなかった否、気絶することができなかった。

 気絶するまさにその瞬間突き刺されるような感覚に襲われ男の思考は急激にクリアになり思考が復活した。

 自らの意識の復活に戸惑っている中声が聞こえた。


「豈堺ス薙∈縺ョ霆「菴阪∈縺ョ谿オ髫?谿オ髫守岼縲?ュゅ?譛?驕ゥ蛹門所縺ウ邊セ逾槭?螟芽ウェ繧帝幕蟋九@縺セ縺吶%縺ョ繝輔ぉ繝シ繧コ縺ッ陲ォ鬨楢???蟄伜惠縺励※縺?◆邂ア蠎ュ縺ォ縺翫¢繧区凾髢捺鋤邂励↓縺翫>縺ヲ縺ッ2蟷エ髢薙⊇縺ゥ縺九¢縺ヲ螟芽ウェ繧定。後>邊セ逾樒噪闍ヲ逞帛所縺ウ鬲ら李縺ォ蟇セ縺吶k鬮倥>閠先?ァ繧貞?謇九@縺セ縺吶∪縺溷ス楢「ォ讀應ス薙↓縺翫>縺ヲ縺ョ螳滄ィ捺?蜉溽紫縺ッ螳滄ィ灘庄閭ス蛟、縺ォ驕斐@縺ヲ縺?k縺薙→繧堤「コ隱肴コ門y螳御コ?ャ。隨ャ螟臥焚繧帝幕蟋九@縺セ縺吶?」


それがアナウンスなのだと彼は理解ができたそしてその意味もまた理解できてしまった


「母体への転位の段階1段階、魂の最適化及び精神の変質を開始しますこのフェーズは被験者の存在していた箱庭における時間換算においては2年間ほどかけて変質を行い精神的苦痛及び魂痛に対する高い耐性を入手します。また当被検体においての実験成功率は実験可能値に達していることを確認。準備完了次第変異を開始します。」


意味がわからないとうずくまるだがそんな中突然周りの泥が動きを止めたかと思うとコポコポと音を立て不定形な形を取り彼を取り囲むようにグチャグチャと近づいてきた。


「来るな!こっちに近づくなぁ!」


これに捕まると死よりも恐ろしい目に合うと男は思い後ずさり逃げようとするが


「ポコポコポコ、ボボボ」


何かに掴まれた、それは生暖かくだが奥底は魂を凍らせるかのような冷たさを持っていた。


「やだ、やだやだやだやだやだやだ

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだや」


 ポコンと音がしたかと思うとそこには男の姿はなくまた不気味な泥のようなものも悍ましい色の塊もなくただ水たまりが広がっていた果のない海と赤い月と静粛だけが広がっていた。


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