浪費家と呼ばれても、愚嬢と呼ばれようと、悪女になっても、この国の経済を回して見せます。
克全
第1話:ギロチン
「元ファイン公爵家令嬢、ブリジット・ファインを引き出せ」
多くの民が歓声をあげながら私が刑場に引き出されるのを見ている。
私がギロチンで首を切り落とされるの待ち望んでいる。
何故なので、何故私が殺されなければいけないの。
私は公爵令嬢として身分秩序を守ろうとしただけなのに。
平民ごときが貴族社会に入り込むなんて絶対に許されないのに。
そんな事を認めてしまったら、いつの日か王家まで否定されかねない。
嫉妬の気持ちが全くなかったとは言わない。
平民ごときが聖女と呼ばれ、もてはやされる事に苛立ちはありました。
ですが私にも役に立つ平民を家臣に取立てるくらいの度量はあります。
国に大きく役立つのなら、士族に取立てる事も認められます。
ですが、貴族に取立てるというのは絶対に認められません。
まして私の婚約者、シャルル王子の側に立つなんて許せなかった。
「ブリジット・ファインは救国の聖女ソフィア・カルカム嬢を殺そうとした、その罪は神や王家を恐れぬ極悪非道な行いである。
断じて許すことができない大罪である。
ここにバティド・ティマル国王陛下の裁可をいただきギロチン刑とする」
「「「「「オオオオオオオ」」」」」」
「「「「「ころせぇえええ」」」」」」
「「「「「殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ」」」」」
腹が立つ、ソフィアの同情に満ちた視線が腹立たしい。
聖女を王家の役に立てるのではなく、私欲で囲み込もうとしたシャルルが憎い。
ソフィアを自分の妻に迎えると言って、私を追い込んだシャルルが憎い。
シャルルがそんな事を言わなければ、私は増悪に狂わなかったのです。
全部シャルルとソフィアが悪い。
「頭を下げろ、ブリジット・ファイン」
悔しい、悔しい、悔しい。
家名からティマル王家の名を省いている。
ファイン家がティマル王家の分家だった事までなかった事にするの。
ファイン公爵家を潰し、父上と母上を無一文で国外追放しただけでは飽き足らず、家名まで貶めるなんて、絶対に許せない。
呪ってやる、末代まで呪ってやる。
ティマル王家とカルカム家を呪ってやる。
シャルルとソフィアの間に子供は作らせない。
いえ、それでは大して苦しませる事などできない。
産んでから殺してやる。
どれほど多くの子供を産んでも、全員呪い殺してやる。
私の恨みだと分かるような形で呪い殺してやる。
「呪ってやる、末代まで呪ってやる。
シャルルとソフィアの子供は必ず呪い殺してやる。
ティマル王家とカルカム家を呪って呪って呪って断絶させてやる。
この場にいる王侯貴族も民も全員呪い殺してやる。
大火を起こし疫病を流行らせ皆殺しにしてやる」
「殺せ、今直ぐ殺してしまえ」
シャルル、その声は地獄の底でも忘れませんよ。
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