守護天学パロ

限前零

とある1日の授業(1)

(体育館で行われた全校集会の後、片割れの元に兄のイドが寄ってきたが……)


リエル:ぐう………ぐう…


(校長の話が余程つまらなかったのか寝ているようだ)


イド:おい…起きろ。話終わったぞ…


(身体を揺さぶったが起きる気配がない。呆れたイドは頬をつねってみた)


リエル:うーん……いひゃい……?

…ふあ………ねむ…


イド:おはよ。とりあえず教室戻ろうぜ。もう誰もいないぞ?


リエル:あのね…おふぁよう……


(そのままイドに抱きついたが自力で歩くつもりはないらしい)


イド:(こいつ…教室でまた寝るな。いつもの事だが……)まあいいか、行くぜ。


(教室に着いたがリエルはまた寝ている。そのまま授業が始まった。国語だ)


スタイン:では…今日は暗唱のテストですからひとりずつ発表するように。


リエル:……すう……すう…


(全く起きる気配がない。テストの順番はもう次だ)


スタイン:……では次、リエル。


………リエル君?


(近寄ると彼はよく寝ている。教師は無言で教科書の縁で頭を小突く)


リエル:…いひゃい……?


スタイン:ほら…暗唱テストですよ。そのまま教科書を開かずにどうぞ。


リエル:春はあけぼの。………雲の細くたなびきたる。 


夏は夜。月のころはさらなり………雨など降るもをかし。 


秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに…………連ねたるはた言ふべきにあらず。 


冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず……白き灰がちになりてわろし。 


(寝ていたわりには完璧だ。)


スタイン:せっ…正解。ならもう一問。あけぼの、つとめて、をかしの意味を答えなさい。(まだ授業してませんが)


リエル:あけぼのは明け方で…

つとめてが早朝。

をかしは趣がある……だね。


(悩む様子もなくあっさり言い切った)


スタイン:……せ…正解です。

って…寝てないで板書をとりな…

(捲られたノートはまとまっている。非の打ち所がない)


………えー、ごほん。では今日はここまで。


(丁度終了の鐘が鳴った。リエルはつまらなそうに本を片付けると次の準備を始める)


イド:(リエルが家で勉強してる所、実は見たことがない。スタイン先生をたじたじにするとは…驚いたな。)


リエル:次は…社会か………面白くないからやだな……(また寝ちゃおうかな…)


イド:(暗唱は完璧だったから暗記は苦手じゃ無いんだろうが…暗記系、苦手だよなあいつ…)


(開かれた社会のノートは真っ白だ。過去の板書すら見当たらない。)


シグルド:えっと…今日は小テストです。教科書はとりあえず仕舞ってください。


リエル:あ……忘れてた。勉強してない……


イド:……俺も失念してたが…まあいいか。これくらいは……楽勝……


(完全にリエルの手が止まった。鉛筆を転がしている…選択問題は運次第のようだ)


イド:(おいおい…前回同じプリント配られたろ…)


(テストの回収後、先生に呼び出しを食らったようだ。一人で出ていった)


はぁ……何やってんだあいつは…。


<職員室にて>


リエル:あのね、ご用はなあに?


シグルド:それ…素で聞いてます?選択問題以外全く記述してないのは何でですか?おまけに選択問題もほぼ全滅じゃないですか……


リエル:あのね、全然わからないから…


シグルド:……あの。先週末に同じプリント出しましたよ?


リエル:………?あのね、多分なくした。(そんなのあったっけ…)


シグルド:……明日の放課後、補講ですね。さすがにこれは…


(想像以上に深刻で先生は頭を抱えている)


リエル:むー…あのね、イド連れてきていい?


シグルド:別に構いませんが…くれぐれもすっぽかさないように。良いですね?


リエル:あのね、りょーかい。


(話がすむとダッシュで教室に帰った)


イド:お。帰って来た。次の時限ギリギリじゃねーか。どんだけ長いんだよ…


(次は…美術だが。リエルの一番成績のヤバい科目でもある)

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