あなたのかけら

仲仁へび(旧:離久)

第1話









!「人間パーツショップ」開店中!









 目の前で、人間のパーツが置かれていた。


 いくつもの手とか、足とか、頭とかがある。


 それらの人間のパーツは、あやしげなお店で売られている商品だ。


 値段の書かれた札と共に、店内の棚に配置されている。


 私がいるのは、そんなお店の中。


 人間のパーツを売っているお店。


 自分の体のパーツに不満があるという人は、このお店にやってきて、好きなパーツを購入していく。


 お金は結構かかるけど、大丈夫。


 やり方によってはお金がかからないから。


 新しいパーツをとりかえたら、古い方のパーツをここに持ってくると、するとそれを売った分のお金をもらえるからだ。


 だから、整形するお金が無くて困ってる人でも、気軽に利用する事ができる。


 お得だよね。


 財布に優しい。


 でも、何でか、あんまり知っている人はいない。


 不気味だから?


 まあ、人のパーツを自分の体に組み込むんだから、しょうがないか。


 私は、とりかえた自分の体、お腹のパーツを売りはらった。


 太った私のお腹、さようなら。


 もう今日からはずっとこの、へっこんでるお腹が私のだ。


 私はルンルン気分で、お店を後にした。


 しかし、数か月後。


 急にお腹が痛くなった私は、病院に担ぎ込まれた。


「先生、私どうしちゃったんですか?」


 すると病院の先生は絶望的な言葉をつげた。


「かなり重い病気ですね。余命はもって数か月といったところでしょう」


 入院のベッドから抜け出して、私はすぐにあの店に走った。


 その店の前で「これで娘を助けられるぞ!」と独り言を言っている、(しかも邪魔そうな)大きな箱をかかえた男性とぶつかってしまいそうになった。


 こっちからぶつかったんだけど、謝ってる場合じゃない。


 私は無視して、お店の中へ。


 けれど、店主さんは、「あなたのパーツはもう売れてしまいました」って言った。


 そんな!


 だったら、他の健康なお腹をちょうだいよ。


 私はお腹のパーツを探そうとしたけれど、どこにも見当たらなかった。


「数日前、コレクターが買い占めたのでありません」


 私は、さっきぶつかった男性の事を思い出して、慌てて外に出た。


 けれど、そこにはもう誰もいなかった。







 とある病院に赴いた店長は、患者に向かって訪ねた。


「本当によろしいのですか? あなたのお腹を回収させていただきますよ」


「いいの。すごしでも私の体が誰かの役に立つのなら。それにこのお金で、残された家族を楽にしてあげたいから」


「分かりました。では、査定額ですが」





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あなたのかけら 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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