学園ミステリー「呪いの鶏足」

和田 賢一

シナリオ本編


●サンプル_学園ミステリー

●タイトル「呪いの鶏脚」

●登場人物

主人公(●●)

広野愛(ヒロイン)

岡島流人

湯山茂

女生徒


;学校外観


;食堂


;主人公、立ち絵画面スライドイン


;主人公

えーっと…

あいつ、確かここで待ってるって言ってたよな?


;???(広野愛)、立ち絵画面スライドイン


;???

あ、●●!やっと、来た!


;???

;怒り

もう、あんまり待たせないでよね!

こっちは緊急事態なんだから!


;主人公

;汗

……そっちから

人を呼びつけといてよく言うよ


;主人公ナレーション(地の文)

貴重な昼休みの時間に

呼び出しをかけてきたこいつは

広野愛……


;主人公ナレーション

家が向かい合わせに立っているせいか、

幼稚園の頃からずっと顔を合わせ続けている

……まあ、俗に言う腐れ縁ってやつだ


;主人公

……で?

相談したいことって何だよ?


;広野愛

ん、実はね──


;主人公

;!

お、おい!

お前、それ……!?


;主人公ナレーション

愛が鞄から取り出したのは──

茶色く変色した、鶏の脚と思しき物体だった。


;主人公ナレーション

膝あたりの部分で

すっぱりと切り落とされる……。


;主人公

;汗

何でそんなもん、

持ってくるんだよ……!?

気持ち悪いな!


;広野愛

;怒り

ちょっと、大きな声、出さないでよ……!!


;広野愛

…今朝、これが

クラスメイトの子の席に置かれてたのよ


;主人公

何かの嫌がらせか?

タチが悪いな……!


;広野愛

私にはよくわからないけれど──

その子、自分が誰かに呪いをかけられたんじゃないかって

怯えちゃっててさ。それで……


;主人公

;汗

お前が何とかしてやるって

引き受けた……って

オチじゃないだろうな、まさか


;広野愛

;怒り

だって、しょうがないじゃん!

その子、本気で泣いてたんだよ?


;広野愛

それに、学校の中でこんなことをするやつを

放置なんてできないでしょ?


;広野愛

;怒り

探し出して一言、言ってやらなきゃ!

こんな陰湿なこと、やめなさいよって!


;主人公

……それを俺に手伝えと?


;広野愛

いいでしょ!

学食、三回──、いや、二回!

二回、奢ってあげるから!


;主人公

;汗

……そこで値引きするのかよ?


;画面暗転


;教室


;広野愛

協力してくれるのは感謝するけど──

具体的にはどうするの?


;主人公

……闇雲に校内を歩き回ったって

犯人が見つかるわけじゃないからな


;主人公

まずは調べられるところから

調べていかないとな


;広野愛

……この教室に来た理由は?


;主人公

ここにあっち方面……

オカルト系に詳しい奴がいるんだよ


;主人公

そいつに鶏の脚について聞けば、

何かわかるかもしれないだろ?

本当に呪いのアイテムか、確認したいし……


;女生徒立ち絵、画面スライドイン


;主人公

あ、ごめん……

ちょっと聞きたいんだけど──

今、岡島っている?


;女生徒

;汗

え……

あなた、岡島君と知り合いなの?


;女生徒

……


;女生徒

岡島君なら体育の授業の後、見てないけど……

あの人にはあんまり関わらないほうがいいと思うよ……


;女生徒、立ち絵画面スライドアウト


;広野愛

;汗

何なの、今の……

感じ悪い


;主人公

う、うーん……


;画面暗転


;体育館


;広野愛

……誰もいないわね?


;主人公

いや、待て……!

何か──、声が聞こえてくるぞ?

備品室の方だ……!


;画面暗転


;広野愛

;汗

な、何これ?

入り口がガムテープで塞がれてるじゃない?


;???

────!

────!


;BGM:扉を叩く音


;主人公

誰か閉じ込められてるみたいだな……

出してやろう


;画面暗転


;???(岡島流人)、立ち絵画面スライドイン


;???(岡島流人)

ふぅ……


;???(岡島流人)

;笑い

ふ、ふふふっ……、あいつ、命拾いしたな

後、もう少しでこの地に眠る悪霊を召喚し、

餌食にするところだったよ……


;主人公

あれ?

お前……、岡島じゃないか?


;広野愛

;?

え?

この人がオカルト系の人?


;主人公ナレーション

こいつは岡島流人(おかじまると)……。

こいつとは中学校が一緒だった。

見た目通り、……まあ、アレな感じのやつだ。


;広野愛

ひょっとして──

誰かにいたずらされたの?


;岡島流人

……違うよ

僕はただ、影に追いやられし

亡者たちの声に耳を傾けていただけさ


;岡島流人

虐げられし者である

彼らの思いを受け止めてやる者がいなければ

この学校には大変な災いが降りかかるだろうからね……


;岡島流人

;笑い

ふっ、ふふふふふっ……


;広野愛

;汗

うわぁ……


;主人公

そんなことより──なぁ、岡島?

お前のオカルト知識、ちょっと貸して欲しいんだが?


;岡島流人

ほぉ……?

このボクの禁断の知識を垣間見たいと?


;主人公

あ、ああ……

実はこんなものを手に入れたんだ


;岡島流人

;!

そ、それは……!


;主人公

これって──所謂、呪いのアイテムだよな?

黒魔術とか……

お前ならそういうのに詳しいと思ってさ


;岡島流人

……


;岡島流人

ごめんよ、●●君……

今からボクは月を降ろす儀式で忙しいんだ

じゃ、そうゆうことで


;岡島流人、立ち絵画面スライドアウト


;広野愛

あ、ちょっと!まだ、何も──!

……って、言っちゃったわよ!?


;画面暗転


;主人公

;?

岡島……

一体、どうしたんだ?

急に立ち去るなんて……


;広野愛

え?冗談でしょ?

見るからに動揺してたじゃん!


;広野愛

;怒り

呪いの鶏脚を置いてったのは

あいつで決まりだよ!

早く追いかけて懲らしめないと……!


;画面暗転


;廊下


;広野愛

;怒り

う〜、岡島め〜……!

一体、どこに言ったのかしら?

逃げ足の速いやつ!


;主人公

しかし……、本当に岡島が犯人なのか?

確かに変人の部類だろうが、

そこまで陰湿だとも思えないんだけどな


;???(湯山茂)

──おい、お前ら……

その話、俺にも詳しく聞かせろや?


;湯山茂、画面スライドイン


;広野愛

;汗

え?

だ、誰?


;主人公

(こ、こいつは──)


;主人公ナレーション

突然、話しかけてきた

見るからに不瞭然とした

男子生徒に俺は見覚えがあった。


;主人公ナレーション

確か、湯山茂……。

有名な悪タレで、その極悪非道ぶりはこの学校は勿論、

他校にまでも知れ渡ってるという。


;湯山茂

あのカス、ザコのくせに反抗的でよ

そろそろほんかくそろそろ本格的に焼入れてやんなきゃ、

と思ってたら変な噂聞いてな


;湯山茂

誰かが、どこかのクラスで

呪いの儀式みたいなこと、やらかしたってな

そんなこくだらねーこと、あのクズ以外に考えつきもしねーだろ?


;主人公&広野愛

……


;湯山茂

;怒り

……黙ってねーで何か言えや?


;主人公

じゃあ、逆にこっちから聞くが──

湯山はどうしてそんな事を気にするんだ?

呪いなんてくだらないんだろ?


;湯山茂

あぁ?

……それこそ、テメーに関係ねぇだろ


;主人公

ひょっとして──

さっき、体育館の備品室に岡島を閉じ込めたのは……


;湯山茂

;怒り

だから!

テメーに関係ないって言ってんだろうが!


;背景縦揺れ


;主人公

……

…!


;湯山茂

あんま、舐めた口聞いてたら

ぶっ殺すぞ、コラ!?


;背景縦揺れ


;BGM:携帯の着信音


;湯山茂

あ?見つけた、だ?

……わかった。すぐ向かう


;湯山茂

;怒り

テメェ……、覚えてろよ?

岡島をカタにはめたら次はテメーだかんな!


;湯山茂、画面スライドアウト


;主人公

ゲホ、ゲホッ……!!


;広野愛

;涙

だ、大丈夫?

私、もう、何が何だか……


;主人公

湯山を追いかけよう

このままじゃ──、岡島が危ない!


;画面暗転


;屋上


;湯山茂

……


;岡島流人

……


;主人公、立ち絵画面スライドイン


;主人公

おい、二人とも!

早まるな……!


;広野愛

ナイフなんか抜いて……!

あんた、何考えてるの?

先生を──、ううん!警察を呼ぶわよ!?


;湯山茂

;怒り

うるせぇ!好きにしろよ!

こんなカス、その間に血祭りに上げてやるぜ!


;岡島流人

;呆れ

はぁ……

湯山君ってさ、ボクのことカスだカスだという割に

いつも、必死で絡んでくるよね?


;湯山茂

……あ?


;岡島流人

;笑い

ひょっとして、心の中ではボクのこと、

怖がってるんじゃないの?


;湯山茂

;怒り

て、テメェ〜!


;主人公ナレーション

猛獣のような怒声をあげ──

刃物を構えたまま、湯山が岡島に向かって

突進して行く。


;主人公ナレーション

俺も愛も身を強張らせていた。

数秒後、そこに繰り広げられる血の惨劇を想像して

しかし──


;岡島流人

;ハート

ふふふふつ、遅いよ……


;湯山茂

な、何ィ!?


;主人公ナレーション

目の前で起きた奇跡のような展開に

俺も愛も、言葉を失っていた。


;主人公ナレーション

鋭く繰り出されたナイフの切っ先をヒラリとかわした

岡島が湯山の腕に軽く触れたと思った次の瞬間、

湯山の体は錐揉み押しながら吹っ飛んでいった……!


;湯山茂

ぐはぁ……!


;広野愛

え?……え?

岡島君って実は──、

強いの?


;岡島流人

い、いや〜……

正直、ドキドキしたよ

一歩、間違えたら死ぬし


;主人公

一体、どういう事なんだ……?


;画面暗転


;岡島流人

ボクもよくわからないんだけど、

この湯山君はこの学校に入学した時から

目をつけられていてネ


;岡島流人

いい加減、決着をつけたいと思ってたんだ

……本当は武芸を喧嘩に使うのは

ご法度なんだけど


;主人公ナレーション

そう言えば、と俺は思い出していた。

岡島はナンタラ流とかいう、古武術道場の

跡取り息子だった……。


;岡島流人

;汗

ナイフを向けられた時は流石に

ヒヤッとしたけどネ


;広野愛

じゃ、じゃあさ──!

呪いは?

呪いの鶏脚は何だったの?


;岡島流人

あ、ああ、あれは──

お守りだよ

その、所謂、喧嘩必勝の……


;岡島流人

所持している事が他人にバレたら効果をなくすって話だから

君達二人に問い詰められた時は誤魔化したんだけど……

何か、誤解させたなら悪かったね


;広野愛

えっ、えええええっ〜

何、それ〜!?


;主人公

;汗

……ホント、人騒がせだな


[end]



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