第4話

 見た目幼女、中身は中年ババアなリリアンです。

 経理事務の世界に一石投じて以来、他に無いのかと知識クレクレされております。

 我が家の家計事情を説明し、商売をしつつ民達の生活水準の向上を掲げました。

 経理の事は分かりませんが、家計簿を使っていたので事業を立ち上げて完全に税金生活脱却を促した。

 税収方法も人頭税ではなく所得税に変更し、関税を無くす代わりに消費税を課すことで税収を安定させる方法を提案してみた。

 商人や金持ちに不利な条件に見えるかもしれないが、関税が無くなることで他領の商品を安く仕入れて売ることが出来る。

 また、今まで手に入れるのが難しかった庶民も、税が安くなることで購買意欲の向上につながる。

 物が売れれば安定した税が入るので、領としても嬉しい事この上ない。

 税が潤えば、飢饉などの蓄えや人を育てるための資金に出来る。

 ざっくりとこんな感じで説明してみたら、議題に上げるからプレゼン資料を作るようにと言われた。

 五歳児に自由は無いのかぁぁあ!!

 ガッツリ組まれた勉強の合間を縫って、草案をプレゼン用に資料を作成しました。

 睡眠時間を削って数十枚に渡る資料には、絵を書いてみたりと工夫を凝らしました。

 若干やつれた顔で資料を渡したが、資料の出来が良かったことに感嘆され撫でぽされました。

 撫でぽは要らないから、睡眠プリーズ。

 幼児の睡眠は貴重なのですよ。

 毎日、勉強勉強でいい加減飽きてきたのでストライキを起こす事にしました。

 朝食の場で、父のジョーズに直談判してみた。

「毎日毎日、勉強は辛いです! 週に1日はお休み下さい」

「行き成りどうしたんだ」

 戸惑うジョーズに、私は構わずに捲し立てた。

「朝から晩まで勉強し、父上のお仕事も手伝い休む暇がありません。私、まだ五歳ですよ! 大人でも休みがなく働くの辛いと思います。働き方改革として六日勤務・一日休暇を提案します!!!」

「そんな事をしたら、給金が下がるだろう」

「いいえ、月給制にすれば良いのです。一月が三十日なので、5~7日ほど休みを取らせるのです。休んだ従業員の分は、皆で分担すればカバー出来ますし仕事の質が落ちることはありません。落ちたとすれば、ただの職務怠慢です。休みがあるのと無いのとでは、働く者のやる気に違いが出ると思います。後、年1回は給与とは別に賞与を与えましょう。これは経営次第で金額が変わると思いますが、2~3ヵ月分の給与を与えるのです。勤続年数三年以上の者が対象とすれば、直ぐに辞めようと思う人は居なくなるでしょう。時間外労働や危険な仕事に着く場合は別途手当を出すようにして下さい。結婚しても職場復帰できるように産休制度や、女性特有の月もの休暇も取れるようにして下さい。昇給制度や資格制度も導入して手当を厚くしましょう。多少キツイ仕事でも、真面目に働けばお給金でしっかり評価されるのだと示せば、働く者達のモチベーションに繋がります!」

 私は休みたいんだ!

 勉強は嫌いじゃないが、毎日休む間もないルーティーンは癒しが無い。

 本で癒されたいんだよ!!

「確かに一理あるな。月給制と休暇については、屋敷の者たちで試験的に行うことにしよう。賞与や手当に関しては、当分は見送りだ」

「じゃあ、私も休みが貰えるんですよね!!」

「ああ、その前にお前が言った草案を書類にまとめて報告するように」

 喜んだのもつかの間、私はまたしても自分の首を絞めてしまった。

 ただ休みが欲しかっただけなのに……。

 どうして、どうしてこうなるんだぁぁあ!

 神は居なかった。

 物凄い良い笑顔で侍女長が淹れてくれた紅茶が美味しかった。

 君たちの職場の改善も一緒に頑張るよ。

 一応、五歳児なんだけどなぁ。

 ジョーズは、それすら忘れている気がするのは何故だろう。

 まずは、休暇を勝ち取るべし!

 私は気を取り直して、朝食を平らげて勉強の合間に就労規則や条件などを盛り込んだ資料を作った。

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