第31話 『邂逅』

 キラ達が教皇領の町に到着し、宿に宿泊するようになって数日。

 疲弊しきっていた一行も英気を養い、活力を取り戻しつつあった。

 次の出立に備える中、キラはと言うと宿屋の一室で腰掛けながら、仲間の服を縫っていた。

 誰の服も傷だらけで、あちこち破れていたからだ。

「あ、レアちゃん。そのケープも縫っちゃおうか? 穴が空いたままじゃ嫌でしょ」

 たまたま通りかかったレアはそう言われ、改めてトレードマークでもある赤いフード付きケープをまじまじと見つめる。

 血や泥といった汚れは洗濯して落としたものの、端がほつれたり、木の枝に引っ掛けて破けた穴など、みすぼらしい程にボロボロだった。

「じゃ、じゃあ頼むわ……」

 まだ今の仲間に頼るのは少々苦手だったが、かと言って自分で繕えるような器用さはない。

 渋々といった様子で、レアはケープを脱ぐとキラに手渡した。

 赤いケープは目立つが、その下の黒一色の洋服は地味そのもので、ケープを脱いだ途端に誰だか見分けがつかなくなる。

「ふん、ふん、ふーん……」

 鼻歌を歌いながら、手際よくレアのケープも縫って修繕していくキラ。

 この辺りはアルバトロスの首都に居た頃にルークから習って身に付けたもので、旅に出てもこうして役に立っている。

「……あ、あのさ」

 しばらくキラの縫い物を眺めていたレアだが、ぼそりと話を切り出す。

「ん? どうしたの?」

 キラは一旦手を止めると、レアの顔を覗き込む。

 キラも年齢にしては小柄な方だが、座って大体レアと目線が合うくらいの身長差だった。

「ボクのこと、お荷物だって思ってない?」

「えっ、どうして?」

 意外な一言に、キラは思わず聞き返した。

「だって、あんたのパーティには賢者まで居るし……。ボクみたいな半人前、別に要らないでしょ」

 レア自身、自分に魔力の才が薄いことは重々承知していた。

 魔法は個人の才能に強く依存する。

 魔法を学べる機会が幸運にも与えられても、本人に才能がなければ力は伸ばせず、道を断念する見習い魔術師は多い。

 そんな中では、レアは高い才能はなくとも、一応は魔術師を名乗れる程の力量はあった。

 だが、色々な魔法をかじってはみたものの、付け焼き刃で習得できたのは力を吸い取る吸収の呪文と、強化の術のみ。

 しかも強化と言っても、一流の魔術師が操るようなものではなく、ただ単に速度を底上げすることしかできなかった。

「そんなこと言ったら、私なんて本当に何もできないし……。それにレアちゃん、最初に鷹を落とすきっかけを作ってくれたでしょ? あれ、凄いと思うんだけどなぁ」

 血を見るのが駄目で全く戦えないキラからしてみれば、お荷物どころか可愛くも貴重な戦力だった。

 折しも、ソフィアは闇の呪文に分類される吸収の術は不得意で、その点ではレアに分があった。

 全体の才能で見ればソフィアが圧倒していても、一分野に限ってみるとレアにしかできないこともある。

「ほんとにそう思ってる?」

 なおもレアは疑いの視線を向ける。

 それに対し、キラは屈託のない笑顔で即答した。

「うん、頼りになると思ってるよ」

 使えないお荷物を保護してやっていると思われるのは癪だが、かと言ってこうも好意的に受け入れられると、それはそれでひねくれ者のレアはやりづらかった。

(出たよ、お人好しスマイル。こういう邪気のない奴、ボクほんと苦手……。眩しすぎる……)

 自分が素直になれない分、キラのような善意の塊のようでいて正直に生きている人間は、あまりに輝いて見えて隣に立つのが辛い。

 太陽光の眩しさを避けるかのように、レアは無意識に目を逸らした。

「キラさん、手伝いましょうか?」

 するとそこへ、ルークもやってきて声をかける。

「いいんですか? 忙しいんじゃ……」

「ちょうど今、手が空いていますので。取り込み中でしたか?」

 キラが首を横に振ると、ルークも彼女と向い合せの席に腰を落ち着けて、縫い針を手に取る。

 女物の洋服を縫うのはいささか問題があるので、ルークは男物を担当した。

「レアさん、どうかしましたか?」

 うつむいて視線を逸したまま、じっと立ち尽くすレアを見て、ルークは訝しむ。

「………………」

 当の彼女はと言うと、何か言いたげにしていながらも切り出せずにいるようで、居心地悪そうな表情を浮かべつつ黙っていた。

(お人好し集団ってやっぱ苦手だし、ボクが居るには不釣り合いな陽だまりみたいなパーティだし、でも、それでも……ボクが居ていい場所があるとすれば、ここくらい)

 キラ達と別れて、改めて他の冒険者とパーティを組むことなら簡単だ。

 冒険者の集まる宿のある町でフリーになり、次の仲間を探せばいい。

 だが普通のパーティでは大して戦力にもなれず、恐らくは除け者扱いを食らうだろう。

 善意があったとしても、子供だから保護してやろうと思われるのが関の山だ。

 このご時世、本当に人のいい集まりに出会い、居場所を見つけられるケースは稀だ。

 レアはその稀に、二度も遭遇している。

(言わなきゃ。『ここに置いて欲しい』って。格好悪いし、笑われるかもだけど……)

 本来ならレアは、安全な場所まで送っていくという予定で、キラ達のパーティに迎えられた。

 ギャングや盗賊という驚異が無くなった今、まさにその時が来ようとしている。

 魔術師という立場上、教皇領に置いていくのはまずいと判断されるかも知れないが、縦断してドラグマ帝国へ入るまでそんなに時間もかからない。

 その間に素直に気持ちを伝えなければ、安全な場所にレアを置いてキラ達は先を急ぐだろう。

 レアが何か言おうとしていることはキラとルークも察していたので、敢えて無言で繕い物をしながら言葉を待っていた。

「……その、えっと、お、おやつにしてくる!」

 結局、言うべきことを言えずに、レアはその場から走り去ってしまった。


 その頃、宿のラウンジのテーブルでは、ソフィアは旅に出る前のように、紅茶とケーキで午後を過ごしていた。

 ようやく湯汲みをして汗や垢をきれいさっぱり落とした後、欠かせないのはティータイムだった。

 さすがにフォレス共和国と同じ茶葉や同じ味の茶菓子は手に入らなかったものの、厳しい旅を続けてきた中での一息としては十分なご馳走だ。

「ふぅ……。本当に、一時はどうなることかと思ったわ」

 リカルドの案内でギャングのアジトに突入し敗北して以来、辛い逃避行の日々が続いた。

 キラを何とか安全圏まで逃せたことが、まるで奇跡のようだ。

「……正直、無事に逃げ切れるとは思っていなかった。無駄な抵抗だと、な」

 意外な組み合わせで、エドガーも同席していた。

 彼は紅茶ではなく、コーヒーにミルクを入れて飲んでいる。

「この世に、無駄なことなんてありはしないわ」

 研究熱心で様々な分野に興味を持つ、ソフィアなりの信念だった。

 事実、無価値だと思われていた魔法が思わぬところで活用法が見つかる、ということもままある。

「どうだろうか。今回は、たまたま運が良かっただけだと思うが」

 対するエドガーは、これまで傭兵として様々な戦地を渡り歩いた経験から、駄目な時は何をしても駄目だということを知っていた。

 祖国を焼かれた時も同じで、どれだけ手を尽くそうが無駄ということは決して少なくない。

「幸運に恵まれたことは認めるわ。……ただ、エリックとエレンの二人を見捨てたことは、今でも後悔している」

 本来ならヤンの居た修道院を拠点に捜索を行う予定だったが、ギャングの異様な執念がそれを許さず、仕方なく今居る面子だけで逃げるしかなくなった。

 やむを得ない判断だったと自分を納得させようとしているソフィアだったが、自分が二人を旅に誘った手前、割り切れないものがある。

「考えるだけ無意味だ。今頃、ギャングに捕まって二人共殺されているだろう」

「どうかしら……。エレンは普通の人間だけれど、エリックは致命傷がすぐに治癒してしまう異能者よ。殺せる者が居るとは思えないわ」

 ルークの報告によれば、胸を槍で深々と突き刺されて、それでも生還したと言う。

 その再生能力があれば、例えギャングに捕まっても彼だけは生きている可能性は残されていた。

「時に、生き残ることが幸運とは言えない。死ぬより辛い目に遭うこともある」

 エドガーの言葉を受けて、ソフィアは苦虫を噛み潰したような顔をしながら、唇を噛んだ。

「今更、引き返して救出に向かっても、希望は薄いでしょうね。何とかしたいのは山々なのだけれど……」

 例えこの町で即戦力として傭兵を雇い入れたとしても、付け焼き刃でまたあのギャング団に戦いを挑むのは無謀というものだ。

 むしろせっかく生き延びた仲間を、また死地に向かわせることになってしまうだろう。

「俺が言えた口ではないが、気に病むのはよせ。結局、どうにもならない」

「ええ、そうね。そうよ。わかっているわ」

 ため息をつきながら、ソフィアは自分に言い聞かせるように呟いた。

 冷えた紅茶を喉に流し込むが、ほとんど味が感じられなかった。

 そんな重苦しい空気を打ち破るように、元気のいい少年の声が宿のラウンジに響き渡る。

「よぉ! 『狼』、居るかー?!」

 ユーリが孤児院まで連れてきた、元少年兵のリーダーだった。

 後ろには、まだ年少組と思われる彼の仲間達も居る。

「残念ね、今ユーリは外出中よ」

「そっかぁ、しょうがないな」

 ユーリに懐いたリーダーやその仲間達は、一行がしばらくこの町に滞在すると聞き、連日のように宿を訪ねてきていた。

 年長のリーダーはさっぱりとしたものだったが、ユーリが今は居ないと聞いて後ろからついてきていた10歳前後の年少の子供はがっくりと肩を落とす。

「そうガッカリすんなって。『狼』にはまた明日会いに来ればいいだろ?」

「う、うん……」

 元々気が弱く自己主張しないタイプなのか、少年はうつむいたまま短くそう答える。

 こんな子供が、つい数日前まで盗賊に無理矢理武器を握らされて戦わされていたのだから、今の戦乱の世はどこまでも救えない。

 今でこそ元少年兵の彼らは暴力から解放され笑顔を取り戻したが、この世界には他にも大勢同じように兵隊をさせられている子供は居る。

「ユーリなら夕方には戻ってくると思うけれど……」

 宿の給仕に紅茶のおかわりを注文しつつ、ソフィアは少年達にそう言う。

「うーん、夕方か。門限あるからなぁ」

「なら明日ね。ユーリには私から伝えておくわ」

 それを聞いた少年達は、ソフィアに礼を言うと教会の孤児院まで帰って行った。

 そのやり取りを見ていたエドガーは、ぽつりと呟く。

「……考えても無駄だと分かってはいても、子供が争いの道具に使われるのはやるせないな」

 百年にも及ぶ戦乱は、大陸各地を荒廃させ、混沌と暴力の時代を作り出した。

 こんな世の中に誰がしたのか、今となっては発端もよく分からない。

(一介の傭兵や旅人にできることなどたかが知れている。だが、そうだとしても、もし平和を取り戻す方法があるなら、俺はそれにすがるかも知れん)

 すがったものそのものが、例え虚構で無意味だったとしても、こればかりは割り切れないとエドガー自身も思っていた。

(そもそも、平和と言ってもどう実現する? 誰かが大陸の覇権を握らなければ、この戦乱に終わりはない。だがそのためには、戦争を終わらせるための戦争、か……。結局、度し難いのは変わらんな)

 将来的に大陸を統一するのは、新政権が発足したアルバトロス連合か、はたまた同程度の国力を持ち野心的なロイース王国か、国土で言えば大陸随一のドラグマ帝国か。

 一番勝機のある国についたとしても、平和までの道のりは屍でできている。

 どんな大義を掲げたところで、流される血は止められない。

 いたたまれない気持ちを抱えつつも、個人ではどうすることもできないと、エドガーは一傭兵として熟知していた。


 翌日、キラは宿の裏庭で剣術の素振りを練習していた。

 過酷な旅で中々余裕がなかったが、アルベールから教わったことを忘れないよう、身体に覚えさせておきたい。

 とは言え、練習用の木剣などは馬車と一緒に失われたため、あの宝剣を使って真剣での一人稽古だった。

 木製の剣とは違う、ずしりとした金属の重みが、キラの両腕に伸し掛かる。

 裏庭には練習のための木人が置かれており、流石に真剣で切り刻むわけにもいかないので、木人と向かい合いながらも刃が当たらない距離で剣を振っていた。

「疲れてない? 水、持ってきた」

 キラが一人で練習しているところを見たメイは、コップに水を入れてきてくれた。

「ありがとう、メイ」

 重い真剣を振るうのは、それだけでも体力が要る。

 疲れていたキラは、水を一気に飲み干した。

「そうだ、私の素振りのフォーム、見て貰ってもいいかな?」

 一人稽古だと気付かないようなところも、実戦経験が豊富なメイに指摘して貰えば捗るだろうと、友人に頼んでみるキラ。

「いいよ」

 メイもちょうど時間が空いていたので、二つ返事で頷いた。

 キラはメイに見て貰いながら、再び素振りを開始した。

 今までと同じく、片手剣を両手で握って真正面に構える。

 まずは基本的な技である袈裟斬り、そこから中段の突き。

 更に大振りな薙ぎ払いへと繋げた。

「……ふぅ。どう、かな?」

「ちょっと、動きが硬いね。あと剣に振り回されてる」

 宝剣はショートソードと言う程ではなくともやや短めで、小柄な人間が扱うのにも適した作りではある。

 だがまだ筋力が足りていないのか所々、重みに振り回されるような箇所があった。

 動きの硬さというのは、かつてアルベールにも指摘された通り、剣術の型に囚われて柔軟な対応ができていないことだろうと、キラは解釈する。

「そっか。やっぱり、まだまだ駄目だなぁ」

 軽い木剣ならある程度振れたのだが、いざ真剣を扱うとなると全くの別次元だ。

「その剣、借りていい? 実はこういう技もあって……」

 キラから剣を借りたメイは、木人の足に当たる部分を強く踏み付け、直後に木人の首目掛けて水平に剣を振る。

 刃が木人に食い込む直前で寸止めする辺り、経験者であることは素人目にも分かった。

「足の甲って急所で、踏まれると痛くて怯むの」

「へぇ、凄い! メイって剣術もできたんだ!」

 相手の足を踏む間合いでは、近すぎて長柄戦斧は使えない。

 剣か短剣、もしくは格闘でなければ、逆に技をかけた側がリーチを持て余してしまう。

「後、片手剣なら左手でこう……」

 言いながらメイは剣を片手に構え、木人の顔面に素早く左手で裏拳を打ち込み、胴体へ剣を突き刺す動きを取る。

 これもまた、切っ先が木人に刺さる手前で止めた。

「顔も急所で、やっぱり痛い」

 メイが実演したのは、どれも急所攻撃だが相手を怯ませて、その上で武器による本命の一撃に繋げるという小技だった。

 元々は左手を自在に使う流派『蟷螂(マンティス)』の技のひとつである。

『蟷螂の型』は剣を右手に持ち、空いた左手で裏拳を繰り出したり、投げナイフを投擲したりと、器用な動きが特徴だ。

 剣を返してもらったキラは、早速メイがやって見せた小技を練習する。

 いつもの『獅子の型』の両手持ちから離れ、片手持ちで訓練を行った。

「メイ、こういう技って、どこで習ったの?」

「お父さんから」

 細かい動きを教えつつ、キラの質問に答えるメイ。

「お父さんも冒険者で、色んな技を知ってた」

「そうだったんだ。メイのお父さんって強そう」

 そうやって女二人で練習するところを、通りかかったレアが目撃した。

「ちょっ、何やってんの?!」

「あ、レアちゃん。今、剣の訓練してて……」

 汗を拭いながら答えるキラだが、レアはそんな彼女を指差しながら叫ぶ。

「いやいやいや、そんな高そうな剣使って練習とか、それマジで言ってんの?!」

 そう、キラの持つ宝剣は貴金属や宝石で装飾された、まさに芸術品のような一振り。

 それを使って剣の稽古をするというのは、傍から見ればシュールな光景だった。

「あはは……。他に、練習できそうな剣が無くって」

「って言うか、今更だけどその剣、売れば一財産できるわよね? 記憶よりお金じゃない? 厄介事もなくなるんだし」

 貧乏に苦しんだレアからすれば、宝剣を後生大事に抱えて旅をするよりも、売って安全な都会に家を買う方がずっと賢く思えた。

 また、仲間から以前交易都市の悪徳領主と宝剣が理由で争ったことも聞いており、彼女からすればトラブルの火種でもある。

「そ、それは……」

 記憶がないためこれが何の剣なのかも覚えていないが、非常に大切な物のような気がして、売るという発想は今まで無かった。

 そんな時、メイが代わりに口を開く。

「魔法剣だって、知ってるよね?」

 悪徳領主に奪われた時は力を発揮しなかったが、ソフィアの言うことが正しければ強力な古代の魔法剣。

 そのことは、レアも聞いていたはずだった。

「もし売って、悪用されたら私達のせい。どう責任を取るの?」

「うぐっ?!」

 メイの問いに、レアも言い淀む。

(せ、責任とか言われてもボク知らないし! でも、それで人が死んだりしたら、やっぱ目覚め悪いわよね……)

 知ったことではない、ときっぱり言い切れる程、レアも無責任ではなかった。

「わ、分かったわよ……」

 歯切れの悪いレアに、キラは話しかける。

「何か、ごめんね。でもこれ、やっぱり大切だから売れないの。ところで、そろそろお昼休憩にするけど、レアちゃんもご飯食べる?」

 ちょうど昼飯時で、訓練に一区切りつけるにはいい頃合いだった。

 それを聞いたレアは、逸らしていた緑と黄色の瞳を輝かせ、頷く。

「食べる食べる! やっぱりボク、スパゲッティが食べたいなー」

「三人で食べよう」

 メイも一緒に、宿へと戻っていく三人娘。

 キラは今まで、何か大切な物という程度の認識でいたのだが、メイの一言で宝剣が非常に危険な物でもあるということを、改めて実感するのだった。


 パーティが町に滞在して疲れを癒やしていたある日のこと、キラはルークやディックと共に、町を何とはなしに散歩していた。

 必死に目指した安全地帯と言うだけあって、落ち着いた平和な町だった。

 都会と呼べる程賑わってはいないが、石造りの建物が並び、大通りには露天があちらこちらで開かれていた。

 すると、キラは向かい合わせに歩いてきた歳の近いと思われる娘とすれ違う。

(わぁ、きれいな人……)

 透き通るような銀髪を腰近くまで伸ばして、黒いリボンで左右を結ってツーサイドアップにしていた。

 赤い瞳が印象的な顔立ちは人形のように整い、肌も髪の色のように色白だった。

 フリルをあしらった黒い女物の洋服が、髪や肌との対比になりより際立たせる。

 その上から鈍く光る鉄製の胸当てを着込み、背中には中背の娘が持つには長過ぎる身の丈を超える両手剣、腰の左右にも片手剣を武器ベルトに差していた。

 その装備から、旅の剣士か何かだと思われる。

 ただ道端ですれ違っただけでも、同性のキラですら思わず振り向きそうになる容姿。

 記憶に残らないはずもなかった。

「うわ、すっげー美人! まずはお友達になりた……いやいや、俺にはキラちゃんが」

 ディックに至っては思わず声まで出してしまうが、最後にぼそぼそと呟いて顔を前に向けた。

 それだけならよかったのだが、すれ違った直後にキラ達の背後から、苦しそうに咳き込む声が聞こえてくる。

「え? だ、大丈夫ですか?!」

 キラが振り返って駆け寄ると、案の定ついさっきすれ違った美人の女剣士がうずくまっていた。

「うぅっ、げほっげほっげほっ!」

 苦悶の表情を浮かべる娘の顔色は、色白を通り越して蒼白で、今にも死にそうに見える。

「これはいけませんね。近くに医者は……」

 ルークが周囲を見渡すと、道の先にちょうど病院があった。

「あの病院まで連れて行きましょう。ディックさん、手を貸してください」

「おうよ!」

 さっきまで平気に歩いていたのに、突然倒れてやがて意識を失ってしまった銀髪の娘を、ルークとディックは左右から肩に担いで病院まで運んだ。

 二人がかりなのは、装備が重そうでルーク一人では支えきれないと考えたからだが、意外にも彼女はそう重くなかった。

「すみません! この人、道端で突然倒れたんです!」

 病院に駆け込み、キラが医者を呼ぶ。

「何、急患か! そこの診療台へ寝かせてくれ。……うーむ、これは酷いな。何の病気だ?」

 娘を診た医者も、首を傾げた。

 重病であることは確かだが、病名が分からなかったのだ。

「これは、治療のしようがないな」

 病名が分からなければ、どんな薬を処方すればいいかも分からない。

 これには医者も困ってしまった。

「あ、そうだ! もしかしたら、この薬が使えるかも知れません」

 キラが持ち出したのは、アルベールから分けてもらった錬金術で作られた治療薬だ。

 他に方法もなく、効くかどうかも分からず薬を飲ませたキラだが、それが功を奏したのか娘の顔色に少し血色が戻ってきた。

 医者は思い当たる症例がないか医学書を当たることになり、キラ達もそのまま放っておけないのでしばし病院に留まることになった。

「凄く苦しそうでした。何とか治るといいんですけど……」

 キラにとっては、同じくらいの年齢でどこか親近感を覚える娘でもあった。

 そんな彼女が苦しそうに咳き込む姿を見てしまうと、どうしても同情を禁じえない。

「症状はかなり重いようでしたね。病人が単独行動するとは思えませんが……」

 病気を抱えたまま、旅をする人間も居るには居るが、もし倒れた時のためにサポートをつけるのが常識だ。

 そうしていると、一人の女性が病院に駆け込んできた。

「ここに、銀髪の女の子が倒れて担ぎ込まれたと聞いて来たんだけれど!」

 金髪を後ろで三編みにして、帽子を被り眼鏡をかけた、20代後半くらいの人物だ。

 旅人がよく羽織るマントの裏には、小型のクロスボウを携帯していた。

「もしかして、あの子のお連れさんですか?」

 キラが診療台に寝かせられた娘のところまで案内すると、女性も探していた人物だったのかほっと安心した表情を見せる。

「ああ、アン……。よかった、見つかって」

「アンさんって言うんですか? 道端で突然倒れちゃって……」

 キラ達がアンを病院に担ぎ込んだことを話すと、女性は頭を下げた。

「ありがとう、旅の人。本来は私がちゃんと見てないといけないのだけど、町の中ではぐれてしまって……。ひとまず、容態を診るために一度服を脱がせるから、悪いけど外してもらえるかしら?」

「そうですね、ここは彼女に任せましょう」

 ルークにそう言われ、キラ達は一旦病室から出た。

 しばらくすると、アンの状態を確かめた女性も部屋から出て来る。

「自己紹介がまだだったわね。私はエイダ、エイダ・ホフマン。薬学専門の錬金術師よ。アンの危ないところを助けてくれて、本当にありがとう。おかげで彼女も命拾いしたわ」

「えっと、エイダさん、そんなにアンさんの病気って悪いんですか?」

 キラが尋ねると、エイダと名乗った女性は苦い表情を浮かべた。

 一行はエイダを交えて病室の外でテーブルに着くと、詳しい事情を聞くことにした。

「そうね……。現代の医学では治療法のない、不治の病よ」

「そんな……!」

 沈痛な面持ちで、エイダは続ける。

「非常に珍しい病気みたいで、発症したらもう長くは生きられない……。アンも今年で19になるけれど、20歳まで生きられないと最初は言われたわ。何とか、錬成した薬で延命は続けているけれど……」

 そこでふと、疑問が思い当たったエイダは、キラ達に尋ねた。

「そう言えば、発作で倒れたにしては比較的容態はよかったわね。普通の薬じゃどうしようもないはずだけれど……」

「もしかしたら、この薬のおかげかも知れません。アルベールさんって言う、錬金術師の人から譲ってもらった薬なんです」

 キラが意識のないアンに飲ませた薬を取り出すと、エイダは薬瓶を珍しそうに眺めた。

「アルベール……アルベール・コルネイユのこと? あの、異端の錬金術師の? 通りで……」

 アルベールは傭兵業界だけでなく、錬金術師の間でも有名人だった。

 錬金術を戦闘に転用する人間と言えば、彼一人くらいのものだったからだ。

 エイダとて、同じ錬金術師ではあるが戦闘に使うわけではなく、アンの発作を抑える薬を錬成するために使用している。

 戦いになった時はマントの下のクロスボウが頼みの綱だが、特別射撃が上手いわけでもなかった。

「ところで、あなたも彼女も武装しているようですが、重病人でありながら旅をしているのですか?」

 ルークは気になっていたことを尋ねてみた。

「ええ、そうよ。不治の病と言っても、今の技術での話。治療法も探せばあるかも知れない……。けれど、そのためにも先立つ物がどうしても必要でね。二人で傭兵まがいのことをやって、それで治療費を稼いでいるわ」

「病気なのに戦わなきゃいけないなんて、大変ですね……」

 キラもまた、記憶喪失を治す方法を探して旅をしている身。命に関わる重病ではないものの、どこか近いものを感じていた。

 だが治療費のために傭兵をやると言っても、アンの装備は重装備だった。

 背中には身の丈を超える程の両手剣、両腰には片手剣を一振りずつ、そして胸の前のベルトにも短剣を二本差していた。

 発作で倒れてしまうような病人にとっては、剣一振りだけでも重いはず。

 それを短剣も含めて五本も持ち歩くのは、それだけで負担になっているだろう。

 重苦しい空気が流れる中、病室のドアを開けてアンと呼ばれた娘が部屋から出てきた。

 どうやらエイダの処置で容態が良くなり、意識が戻ったようだ。

「やあ、心配かけたね」

 ウインクして見せながら陽気に話すアンだったが、か細い声は少しかすれており、キラの目にも無理に明るく振る舞っているのだと分かった。

 恐らくは、エイダに心配をかけないようにと気遣っているのだろう。

「アン、目が覚めたのね。駄目じゃない、突然どこかへ行っちゃ。今回は親切な人達のおかげで命拾いしたけれど、いつもこんな幸運に恵まれるとは限らないのよ?」

 エイダは心底アンのことを心配していたようで、厳しく叱りはしなかったものの、優しくたしなめた。

「えー! だって、病院に行く途中で病気でうずくまってるお爺さんが居たから、放っておけなくってさぁ。声なら何度もかけたんだよ? 気付かないエイダも悪いってー」

「そうだったの。ごめんなさい、喧騒でよく聞こえなかったわ。今度からはもっと気をつけるから、もう一人で行動しちゃ駄目よ?」

「はぁーい」

 二人のやり取りは、まるで子供と保護者のようにキラ達の目に映った。

「ほら、この人達が倒れたあなたを病院まで運んでくれたのよ。ちゃんとお礼を言わないと」

 そう言われたアンは、ようやくキラ達の存在に気付いたように向き直ると、両手でスカートの裾をつまんで軽く持ち上げ、深々とお辞儀をした。

 カーテシーと呼ばれる、女性の伝統的な挨拶のし方だ。

「はじめまして、私はアン・マリー・ベディヴィエール。助けてくれてありがとうネ」

 その仕草から、教養はあることが伺える。

 だがルークは、彼女の名前について引っ掛かっていた。

(ベディヴィエール……? どこかで聞いた名字だ。どこだったか……)

 魚の小骨が喉に引っ掛かったように、答えが出てきそうで出てこない。

 思索も程々に、ルークを含めキラ達もそれぞれ名乗った。

「いやぁ、まさか病気のお爺さんを送っていったら、自分まで倒れちゃうとはね。アンってばうっかりさん」

 どうやらアンは、うずくまっていた老人をこの病院に送り届けた後の、ちょうど帰りにキラとすれ違ったらしい。

 そしてその直後、病気の発作が突然に出て倒れてしまった。

「優しい人なんですね、アンさんって」

 病気の老人を放っておけなかったことから、キラは素直にそう思った。

「うーん、どうかなぁ。同じ病人として、何か他人事じゃないって言うか。優しいかはともかく、そんな経験って、ない?」

「ふふ、そうですね」

 根は善良なのだと分かったキラは、微笑みながら答えた。

「さあ、アン。私達はそろそろ仕事を始めないと」

「あっ、そうだった。仕事しないと治療費も払えない、世知辛いわー」

 とても、命に関わる不治の病を患った病人とは思えない、ノリの軽い会話だった。

「私達は、北の魔法大学を目指してるんです。アンさんとエイダさんは、どちらへ?」

 キラが尋ねると、エイダが答えた。

「残念ね、私達は逆。これから仕事で南へ向かう予定よ」

「え? いや、南って、盗賊やらギャングやら、えらいことになってる場所だぞ?!」

 何せキラ達は、その南から逃げてきて、教皇領に入ってようやく一息ついているところだ。

「まあ、仕事内容は人探しだし、何とかなるでしょ。それに発作がなければ、私こう見えて結構強いからネ」

 さっきまで意識不明だったとは思えないくらい、ウインクをしながら元気に胸を張るアン。

「薬で発作を抑えている間に、仕事を済ませて帰りましょう。じゃあ、私達はこれで失礼するわね。今日は本当にありがとう、お礼にもならないかも知れないけれど、錬成した傷薬をいくつか渡しておくわ」

 席を立ったエイダは、懐から何本かの薬瓶を取り出し、キラに渡した。

「流石に、アルベールの薬程効き目はないでしょうけど、まあ旅の足しにしてちょうだい」

「ありがとうございます。いざという時、使わせて貰います」

 受け取った薬をポケットに仕舞うと、キラは町の出口へと向かっていく二人の後ろ姿をしばらく見つめていた。

「アンさん……大丈夫でしょうか?」

「不治の病である以上、医者でもない我々にできることはありません。せめて、旅の無事を祈るくらいでしょう」

 ルークは冷静にそう言った。

「きれいな子だったのになぁ。病気で長生きできないとか惜しい! ……っと、俺はキラちゃんが一番だからなっ!」

 この日はこれで散歩を切り上げ、三人は宿へと戻っていった。

 楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、すぐに出発の日が訪れる。

 馬車の荷台に、水や食糧から毛布といった必需品、そして町で買った着替えなどの物資を積み込み、人間の方も疲れと汚れを落とし、全員分の服も縫って心機一転。

 準備万端の一行は、カルロが御する馬車に乗り込み、更に北を目指して出発する。

 すると、町の門から見覚えのある顔が手を振っていた。

 ユーリが教会に預けた、元少年兵達だった。

 先頭ではリーダー格の少年が声を上げている。

「『狼』ー! 俺達、あんたのこと忘れないからなーっ!!」

 年長のリーダーの後ろでは、気弱な年少の子供も一緒になって懸命に手を振る。

 ユーリは何も言わず、だが右手を掲げて呼びかけに応えた。

 一行はドラグマを目指して教皇領を縦断しているが、道中何かに襲われるということもなく、平穏に旅は進んでいった。

 それもそのはず、教皇領は中立地帯を名乗っているが、この乱世において中立を保つのは非常に難しい。

 それを実現するためには、抑止力となる強大な軍事力が必要だった。

 教皇領を守る教皇軍は精強であることで知られ、僧兵で固められた軍はまともにぶつかるべきではない、と各国の参謀も判断する程だった。

 その教皇軍が定期的に巡回する教皇領内は治安がよいことで知られており、賊などのならず者が生き残れる環境ではなかった。

 だからこそ、国境ひとつを隔ててギャング団も手が出せないでいたのだ。

 久々に訪れた平和な旅を満喫しつつ、平穏無事に数日が過ぎて行った。


 一方、教皇領との国境線近くでは、キラ達を追ってきていたギャング団の構成員が野営をしながら打ち合わせをしていた。

「何とか、教皇軍の国境警備隊に賄賂を握らせて、数人くらいなら通してもらえることになった。後は本部からの暗殺チーム待ちだな」

 ギャングはここに来てまだ諦めておらず、少人数の部隊を教皇領内に潜入させ、キラ達を暗殺で仕留めようと画策していた。

「待っている時間が惜しい、俺が直々に奴らを始末してやる!」

 逸るのは、レアの吸収の魔法で相棒の鷹を失った鷹匠。

 あれからと言うもの、彼はキラ一行を自分の手で殺すことに固執していた。

「落ち着け、相手はあの教皇軍だぞ。下手に動けば、獲物を仕留める前に斬り捨てられるか、豚箱送りだ」

 ギャング団でも手を焼く相手、それが教皇軍だ。

 彼らとしても、教皇領で問題を起こして軍とやり合うのは得策ではないと考えている。

「キャサリンの敵を討つのは俺だ! 奴らめ、絶対に殺してやる!」

 するとそこへ、か細い若い女の声が聞こえてきた。

「なーにー? 悪そうな人達で集まって、悪巧みの相談か何か? やだ、こわーい」

 ギャング達が一斉に振り向くと、そこに立っていたのは他でもない、アンとエイダだった。

 キラ達が北へ向かって数日経っているその間に、逆に二人は南下して国境線を越えてきたのだ。

 最初警戒したギャングだが、彼らも早い話がならず者。

 相手は女二人だけと見て、態度を変える。

「へへっ、見ろよ! 鴨が葱背負って来たぜ!」

「こりゃいいや、こんなべっぴんさん高く売れるはずだ」

「けど売る前に、ちょっと”味見”させて貰ったってバチは当たらねぇよなぁ?」

 下卑た笑みを浮かべるギャングを前に、アンはそれまでのにこやかな表情から一変、突き刺すような眼差しを向けて凄みのある顔を見せる。

「近寄るんじゃねぇよ、ゴミムシ共が」

「は?」

 これには、流石のギャングも一瞬呆気に取られた。

 ドスの利いた剣幕と、最初に見せたフランクな態度とのギャップに驚いたからだ。

 だが彼らも犯罪歴の長い無法者、すぐに調子を取り戻してナイフを抜く。

「生意気な女には、分からせてやらねぇといけねぇよなぁ?」

 それに対し、怖じるどころか威圧するような態度でギャングを睨みつけるアン。

「私も全く同じ意見だわ。これも仕事のうち、ゴミ掃除といくか」

 そう吐き捨てるように言うと、左腰に帯びている片手剣を引き抜く。

 作りは標準的な長剣だが、その刀身はどう見ても鉄ではなく、ほのかに茶色に光る透き通った謎の材質だった。

 一目でそれと分かる、強力な魔剣だ。

 その魔剣をアンは大上段に構える。猛攻の型『餓狼(ウルフバイト)』のフォームだ。

 アンは信じられないような速度で跳躍し、素早い踏み込みで最初の一人を斬り伏せる。

 謎の材質の魔剣は恐るべき切れ味で、革鎧ごとギャングを一刀両断してしまった。

「このアマァ!」

 仲間をやられて頭にきた他のギャングは一斉に飛び掛かるが、アンはあざ笑うかのように軽々とかわし、すかさずカウンターに入る。

 魔剣を受け止めようとしたギャングは剣ごと圧し斬られ、革鎧も全く意味を成さなかった。

 続いてアンはすぐ近くの敵に下段蹴りを入れ、怯んだ隙に横薙ぎの斬撃で首を跳ね飛ばす。

 それを見ていたギャングは本能的に逃げようとするが、アンの踏み込みの方が速かった。

 アンの力任せの振り下ろしが、棍棒ごと頭部を粉砕する。

 すぐ横に居た敵は腰を抜かして命乞いを始めるが、アンは聞く耳を持たず逆手に持ち替えた剣で突き下ろした。

「ところでさぁ、キャサリンって誰? やっぱり女?」

 最後に残されたのは、鷹を失った鷹匠一人となった。

「そんなに会いたいなら、愛しのキャサリンと同じ場所へ送ってやるよ。あの世へなぁ!!」

 嗜虐的な表情を浮かべながら、アンは片手剣で鷹匠を袈裟斬りに切り裂いてトドメを刺した。

 こうして、キラ達を追跡してきたギャングの先遣隊は呆気なく全滅する。

「いやぁ、歯応えなくて困っちゃうなぁ。張り合いがないでしょ、こんな雑魚」

 いつもの調子に戻りつつも、目だけは死体となって倒れ伏すギャングにゴミでも見るかのような視線を送る。

「今回の仕事の本当の目的を忘れないで。あくまで、今回はスカウトよ」

「はいはい、分かってまーす。じゃ、ちゃっちゃと目撃情報のある場所まで移動しますか」

 地図を取り出し、目的地を確認するアン。

 地図には印がつけられており、それはキラ達がギャング団と交戦した山から少し北へ向かった場所だった。

 何らかの目的を帯びたアンとエイダの二人組は、ギャングを全く恐れもせず南へと進路を向ける。


To be continued

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