第18話

成る程、だからイクリスはジョージさんが告白すると言っていたのか。


そこでメイは納得した。


「じゃあ、相談事っていうのは、イクリスの背中を押す為だったんですね。」


「うん、まあね。」


「あの、ありがとうございます!」


そうメイはジョージに頭を下げた。


「ジョージさんのお陰で、無事に両想いになれました。」


ジョージはそんな事ないよと話す。


「君たちは前から両想いだったんだから、俺はただ背中を押しただけで。」


「いいえ、その背中を押してくれただけでもありがたいです。

でなければ私、ずっとイクリスの気持ちを分からなかったかもしれないですし。」


そうメイは明るく微笑んだ。


「あ、それに何か相談が本当にあるなら、私で良ければいつでも相談に乗りますよ!」


「いや、大丈夫だよ、そもそも相談事なんてないし、俺と会ってたらイクリスさんも今度こそ本当に嫉妬するだろうし。」


そう言ってチラリとジョージは影に隠れているイクリスと目が合う。


イクリスは直ぐ様隠れたが、恐らくメイが来た時からずっといたのだろう。


「それじゃあ、上手くいって良かったよ、末永くお幸せにね。」


そう言ってジョージはメイに背中を向けて歩き出す。


「あの、本当にありがとうございました!」


メイはその背中にお礼を言った。




そしてジョージは家に帰ろうとすると、メアリーに出会った。


「相談事はあるかい?」

そうメアリーは尋ねてきた。


恐らくメアリーは分かっていたのだろう。


「俺、何で彼女が出来ないのかな~。」

ははと笑いながらジョージは話す。


その眼には少しだけ涙が溢れていた。


「…ジョージ兄ちゃんもいつかいい彼女出来るといいね。」


そうメアリーはぽんぽんとジョージの頭を撫でる。


「イクリス兄さんが告白しなかったら、メイさんに告白してたの?」


そうメアリーが直球で聞いてくる。


「まあ、そのつもりではいた。

どっちにしろ振られてただろうけど。」


そうやさぐれながらジョージも返事をする。


「今日は妹が存分に励ましてあげよう!

何か食べたいなら何でも奢るよ!」


「あー、優しい妹様を持って俺は幸せだなー。」


そしてジョージとメアリーは共に帰っていった。



一方メイもその後帰ろうとすると、イクリスと出会った。


「もしかして、待っててくれたの?」

そうメイが尋ねると、イクリスは顔を赤くして目を逸らす。


恐らく図星なのだろうか。


メイは少しふふっと微笑んだ。


そしてイクリスは無言でメイに手を差し出した。


メイはその手を握りしめる。


「えへへ、手を繋いで帰るなんて、昔みたいだね。」


「…そうだな。」


昔は何とも思わずに手を繋いでいた。


いつしかそれをしなくなだたが、またこうしてまたイクリスと手を繋ぐ事が出来た。


それは凄く幸せなことなんだなと実感する。


2年後、彼と結婚して。


その後もずっと、共に生きていけたらいいな。


メイは心からそう願った。

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お嬢様は愛されたい!〜許嫁に振り向いて貰いたいお嬢様vs実はお嬢様大好きな不器用すぎる許嫁〜 本田ゆき @hondayuki

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