黒猫のクロちゃん

 仔猫のころのミケちゃんは、やすらぎさんの治療室から300メートルほど離れた公園で暮らしていました。仲良しの黒猫さんといつもいっしょでした。

 その公園から治療室までは、車の多い通りがあります。それなのに、ミケちゃんは小さな三本足の体で危険な道路を渡って、ひとりで治療室や美容院のあるこの場所までやって来たのです。



 何年かしてミケちゃんがやすらぎ治療室の看板猫になってから、公園時代のミケちゃんのお世話をしていたお家のご主人がミケちゃんに会いに来ました。

 ご主人はミケちゃんを見て「当時とは、全然顔付きがちがうなぁ。幸せそうでほんとうによかったよ」と、喜んでくれました。

 ミケちゃんは、周りの心優しい人たちに見守られていたから、これまで生きてこられたのでしょう。そして、野良猫だったミケちゃんを守っていたのは、人間だけではありませんでした。

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