憑依転生〜最弱のゴースト、最強へ至る〜

卯月 幾哉

第一話 転生。そして、二度目の死

 転生したらゴーストだった。


 お前は何を言ってるんだ、と思われるだろうが、俺もどういうことかわからない。


 ここはライトノベル、またはゲームの世界なのかもしれない。

 たぶん、地獄ではないと思う。

 詳細は省くが、現代日本で生きていた俺が死んだのは間違いない。


 俺が次に目を覚ましたとき、そこは荒れた地面の上だった。

 昼か夜かもわからないが、大気は淀んでいて薄暗い。

 目の前には、人の片腕が手先を空に伸ばしているような、奇妙な縦長の岩が地面に突き刺さっていた。


 ……ん? 何だこれ?


 キョロキョロと辺りを見回していると、なんだか視界の端っこに緑色の四角いアイコンがくっついていることに気がついた。

 「邪魔くさいな」と思いつつ、そのアイコンに意識を集中すると、突然ゲームのウィンドウ画面みたいなホログラフが表示された。


 うおっ、びっくりした。


 そのウィンドウっぽいホログラフには、日本語で下のように表示されていた。


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【ステータス】

種族:ゴースト

名前:なし

Lv:1

HP:10/10

MP:2/2

スキル:怨讐憑依

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 まるで、ゲームでよく見たようなステータス画面だった。

 ステータスを見るまでもなく、既に自分が人間以外の何かになっている自覚はあったが、どうやらゴーストという種族らしい。

 「ゴーストってなんだよ」と思ったところ、画面の表示が切り替わった。


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【種族】

ゴースト:最下級のアンデッドモンスター。人間や動物、他の下級モンスターの霊が魔物化したもの。

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 ――なるほど。

 ステータス低いな、と思ったら最低辺だったわ。


 それにしても、この画面は色々と知らない情報がわかって便利だな。

 じゃあ、この見慣れない文言のスキルはなんだろうか――と俺が思ったとき、急に自分の体が青白く燃え上がった。


 あ、アツ゛ッ!! ……いや、ゴーストだからか熱さは感じないけど、めちゃくちゃ痛いっ!!

 119番! 119番はどこっ!? ってか、電話とかねぇし……


 俺は全身がねじ切られるような苦しみを感じた。

 まるで、体中のエネルギーが蒸発していくようだった。


 こ、これは間違いなく死ぬ……!!

 ……おいおい、嘘だろ。転生したばかりなのに、こんなにあっさり死ぬなんて。

 超ハードモードだったのかよ……


 やがて俺の体は一片残らず燃え尽き、俺は二度目の死を迎えた。



 ……あれ?

 俺、まだ生きてるのか?


 気がつくと、ここは相変わらず薄暗く淀んだ荒れ地だ。

 ただ、さっきいた場所から少し離れた岩陰にいるようだ。なぜなら、つい先ほど見かけた、人の片腕みたいな岩が向こうに見える。

 状況がよくわからない。こんなときは――、


 俺は相変わらず視界の端に居座っている緑のアイコンを呼び出し、ステータスを表示する。


----

【ステータス】

種族:ウィル・オー・ウィスプ

名前:なし

Lv:2

HP:14/24

MP:8/10

スキル:怨讐憑依、鬼火

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 転生したらウィル・オー・ウィスプだった。


 どういうことだ……?

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